第2話 これから

「さて・・・」

仕事の打ち合わせが終わり、スマホを片手にこの後の予定をどうするか考えていた。

時刻は午後7時を回った所なので、帰るか・・・それとも買い物するか微妙に悩む時間。


「誰か呼んで食事というのもちょっとな・・・」


そう言いながらLINEを開いて見る。


「先輩!今日の打ち合わせが終わったら相談があるので連絡ください!」


後輩の時藤時雨・・・通称シグからLINEが届いていた。


「悪い、打ち合わせが伸びてしまって返信が遅くなった。どうした?」


返信を終えてスマホをポケットにしまおうとしたが、すぐに通知の音が聞こえた。


「お疲れ様です!大丈夫ですよー!今どこにいますか?」


俗にいう即レスという奴である。

本当にいつも思うけれど、返信早い人って早いんだよな・・・俺は人並みだけど。

しかし、いつもなら大体は画像を送ってきたり通話で済むのにどうしたんだろうか?


「あぁ、大学の側で打ち合わせだったからいつものビルにいる」


送信ボタンを押してトークが送られてすぐに既読がついたのでそのまま待ってみると、案の定すぐに返信が来た


「実は今日蚤の市で面白いものを見つけたんですよ!それを見てもらいたくて!私も大学にいるのですぐそばの、いつもの喫茶店で!5分で行きます!」


面白いもの?、また未来からきたアヒルとか・・・ツチノコの先祖の仲間とかそういうんじゃないだろうな・・・。

食事もしたいし、まぁいいか。

そう思い先に行くことを伝えて喫茶店に向かった。

ついてすぐに少し広めのスペースのあるテーブル席に座った所で後輩がきた。


「お疲れ様です!先輩、これですこれ!!」


入店音が終わる前に、もう席にたどり着いていたシグに驚きながらも腕を突き出して、その面白いものを俺に見せてきた。


「・・・本?・・・いや手帳か日記帳か?」


そこにはA4サイズくらいの一冊の分厚い本のようなものがあった。


「これ面白いんですよ!、見てください全部真っ白のページなんですよ!!」


そう言いながらパラパラとページを見せてくるが、全て真っ白だった。

よくある年号日記みたいなものじゃないか?と思ったのだが・・・表紙にも裏面にも何も書くスペースはない。


「面白いなーと思って買ったんですけど、何か書いても消えちゃうんですよ!ほら!」


そういって目の前でボールペンを取り出し適当に文字を書いて見せた。

すると、不思議な事に書いたそばから文字が消えて行くじゃないか。


「これは・・・?」


流石に見間違いじゃないかと思い、自分でも書いて見たが消える。

雷に打たれたような感覚というのは、まさにこの事をいうのだろなと自己分析しながらも驚きを隠せずにいた。


「蚤の市で手に入れたといっていたな?、どういう状況だったんだ?」


すると、後輩のシグは頬に指を当てつつ思い出す仕草をしながら答えた。


「いつも通りに蚤の市を見ていたんですけど、こうガチャガチャーっといろんなジャンルのものを扱ってるお店を見つけたんですよ。それでその中に一冊だけ本があったので気になって値札を見たら500円だったんで衝動買いしたんです。そしたらー」


なるほど、ただ単に偶然で見つけたというわけか・・・それにしてもこれは一体・・・?

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