第45話 戦争のおわらせかた⑬ ネニング平原会戦⑧

 オルクセン陸軍野戦憲兵隊エミール・グラウ中佐は、アルトリア中央河岸沿いのレストラン「小鹿亭」に入った。

 決して大きな店とは言えなかったが、瀟洒なつくりだ。

 あのアルトリア攻囲戦の大砲撃から生き残ったのは奇跡であって、良いことだと思う。

 グラウは軍服のままだが、憲兵隊を示す緑の腕章は外している。

 さしあたって、勤務時間外といったところだ。

 清潔な仕着せと前掛けの給仕に名を告げると、すぐに二階の一室に通してくれた。

 春になって客の増えてきたテラス席でもなければ、一階の気軽な一般席でもない。二階の特別個室であった。

 既に、紹介状を出してくれた知己は到着していた。

「やあ、モリウェン警部」

「どうも、中佐」

 白エルフ族では珍しい、黒髪に鳶色の瞳。髪は短く、顔立ちは彼女たち種族全体の特徴として整っている。

 リューディエル・モリウェン。

 アルトリア警察重大犯罪課主任警部。

 グラウがこの街に進駐して以来、担当区で何か事件があれば協同で解決にあたってきた。

 先日も、ちょっと厄介な展開を見せた闇屋殺しを片付けたばかりのところだ。 

 互いに皮肉屋なところがあり、また職務に対しては有能で、ともに仕事をするには良い相手だと思うようになっていたが、それはあくまで職務上の付き合いで、食事を供にするのは初めての事である。

 それほど打ち解けてきた―――と言いたいところだが、昨日、モリウェンはグラウからある重大な件に関して耳打ちをされ、この場に招待しないわけにはいかなくなった、というのが実際のところだ。

「ご昇進おめでとう、中佐」

「なんの。君たち優秀なアルトリア警察のおかげだよ」

 軍帽と、私物の山羊皮の手袋、それに拳銃嚢とをサイドテーブルに置き、席についたグラウはメニュー表を眺めた。

 今日の昼食の内容については任せて欲しいと、モリウェンから言われていた。彼女が食と酒に造詣が深いことは部内では有名で、グラウは喜んで従っていた。

「なんてことだ。鱒の燻製とザリガニの蒸し物。仔牛肉の焼き物。旬のホワイトアスパラガスを使ったスープ、牛乳の焼き菓子に苔桃ジャムを添えたデザート・・・ あるところには、あるものだね。一階では提供していないだろう、これほどの料理は?」

「当然でしょう。一部になったとはいえ、未だアルトリアは配給制下。ここは戦前から食通の集う店で。今は、店主が苦労して材料を仕入れているところ。特別メニューを食べられるのは、会員及びその紹介者のみ。警部の安月給では、私も楽しめるのは月に一度あるかどうか」

「宮仕えは辛いね、お互い」

 グラウは喉をくっくと鳴らした。

 給仕が前菜とワインとを運んできて、モリウェンがワインの品定めをし、グラスに注いでくれた。

「まずは白からいきましょう」

 そちらの方面の知識はさっぱりであるグラウは、無垢な子供が未知の玩具に触れるような態度で、ワイングラスの縁でひと嗅ぎしたあと、含んだ。

 酸味と甘味、繊細な芳香のバランスが良かった。

「・・・美味い。今後はこれを愛飲しよう。何処のだい?」

「御国のものよ」

 ちょっと勝ち誇ったように、モリウェンは答えた。

 見せてくれたボトルのラベルには、確かにオルクセン西部産の銘柄がある。

「こいつは驚いた・・・ 取り寄せてくれた―――というわけではないね?」

「残念ながら。戦前から、ここのワインセラーの奥にあったもの。私がこの店を信用しているのは、美味ければ御国のものだろうが地の果てのものだろうが、仕入れて振舞おうという、その姿勢ね」

「なるほど。こいつは期待大だ。よほど良い材料ばかり揃えているに違いない」

「・・・それで―――」

 心配顔を潜ませた給仕が去ったところで、モリウェンはちょっと俯いて、尋ねた。

「この店も、摘発しろと?」

 昨日、彼女は「小鹿亭という店があるそうだね。招待してくれないか?」と耳打ちされたのだ。

 この店が現在提供している材料は、質が質だけに闇屋から仕入れたものばかりである。

「冗談を」

 グラウは目を丸くしてみせた。

「例えこの店がどのような仕入れをやっていようが、それはエルフィンド内の問題だ。オルクセン軍が絡まない限り、私の職務からは管轄外だよ」

「・・・でしょうね。では、やはり他に何か主題があるのね?」

「うん。君は鋭いね。しかし・・・」

 グラウは少し迷った。この素晴らしい食事たちを摂る前に告げたほうがいいのか、デザートまで平らげたあとにしたものか。

「食と心配事は同時並立しないわ。心の芯から楽しめなくなる。忘れるか、出来れば解決してからのもの。あるいは、心配事を霧散霧消させて明日への活力を与えてくれるもの。不安を抱えたまま料理が来るのは、御免被りたいところね」

「では―――」

 グラウは足元に置いていた革鞄から厚紙製の書類挟みを一つ取り出した。「指定関係者のみ閲覧」と表示がある。

 中身を、書類挟みごとモリウェンに差し出した。

 モリウェンは形よい片眉を上げたあと、それを無言で眺めた。

 奇妙な、一種のリストであった。

 アルトカレ平原北部にある村の幾つかと、その村長の名が記されている。

「・・・これは?」

「カランウェン支隊のゲリラ戦に協力したと疑われている、村のリストだよ」

「・・・・・・」

 モリウェン警部の美しい顔立ちが、明らかに強張った。

「いますぐ支隊への協力を止めさせなければ・・・ まあ、想像もしたくない光景になるだろうね」

「・・・・・・」

「ゲリラは―――カランウェン支隊は、もう終わりだよ。長くは持たない」

 希望的観測でもブラフでもなく、実際にそうなるだろうとグラウは見ている。

 ゲリラ戦術というものは結局のところ、圧倒的に数の劣る状態では正規軍には勝てない。本質的には、軍事上の「嫌がらせ」のようなものである。デュートネ戦争半島戦役のゲリラ戦が首尾良く運んだのは、後方から対デュートネ包囲網の支援があったからだ。そういった援助が無ければやがて先細りになって、鎮圧される―――

 既に第三軍は様々な手を打っていた。

 まず、輜重縦列には直接の警護が着くことになった。シュヴェーリン元帥は、麦粉のひと握り、銃弾の一発、医薬品の一瓶たりとも敵に与えるなと檄を飛ばしている。そして近在の村々には哨兵所が置かれることになった。こうしてゲリラたちの兵站を断ってしまう。

 第八山岳猟兵師団は、廃坑道の一つ一つを爆破することに決めた。坑道口や換気立孔に五〇〇キログラムから七〇〇キログラムという途方もない量の工兵隊用爆薬を仕掛けて、崩落させてしまう。無論、内部のゲリラたちはそのままだ。

 支隊の放った鉄道破壊班は、巨狼たちが猛烈な勢いで殲滅している。

 ―――可哀そうに。

 破壊班の連中は、なまじ民間の格好をして武器を携えているから、軍法で保護もされない。

 遠く、汽笛が聞こえた。

 アルトリアの北の辺り―――オルクセン軍第三軍の兵站拠点の方角だった。

 グラウ中佐は時計を眺め、確認した。

「オノリン川の鉄橋が復旧したんだ。フェンセリヒへと向かう輸送列車、再開後最初の一本目だよ」

「・・・・・・」

「編成の前後に、無蓋貨車を入れていてね。なかは兵隊で一杯、グラックストンや山砲まで積んでいる。襲撃があれば、もちろん反撃するそうだ。線路に怪しいところがないかどうかの見張り役も兼ねている」

「・・・それを、どうして私に?」

 モリウェンは尋ねた。

「うん。誰かが連絡を取ってくれると助かるんだ」

「・・・・・・」

「もう、君たちは戦後を見るべきだよ。納得はできないだろうし、同情もするが。カランウェン支隊に協力している村々に、今すぐそれを止めさせたいんだ。いまならまだ、私の手でどうにか出来る」

「・・・・・・」

「君、マルリアン大将の作り上げた地下抵抗組織に参加しているだろう? そのお仲間たちの経路を使って、知らせて貰えると助かる」

 まるで公然たる事実だとでも言うように、さらりとグラウは口にした。

「・・・・・・中佐。貴方、以前から気づいてはいたけれど―――」

 モリウェン警部は喘ぐように言った。

「ただ治安維持を担当している野戦憲兵というわけじゃないわね?」

「さて、どうだろうかね―――」

 グラウ中佐は韜晦する。

 実際のところは、戦前から国防参謀本部測地測量部にも籍を置いていた。いまや総軍司令部情報部長となっている、あのローテンベルガー少将の配下だ。

 グラウはもう一通、書類挟みを取り出した。

「これは、君のことを書いた報告書だ。写しはまだない」

「・・・・・・」

「私としては、職務のやりやすい相手を失うのは避けたいところだ。こいつは今日の料理の御礼に進呈しよう。そこの暖炉で、燃やしてしまうといい」

「・・・・・・」

「さあ、扉の前で隠れている、この店の―――君たちの拠点の連中に、どうか素晴らしい料理が冷めてしまわないうちに運ばせてくれ。もう気取った態度は限界だと、胃袋が悲鳴を上げていてね」



 四月一六日から一七日にかけての二日間という日は、オルクセン及びエルフィンド両軍にとってネニング平原会戦の「後半戦」へと繋がる、重要な二日間だった。

 この大会戦の「前半」と「後半」が何処だったのかは、難しい。識者によって見解は様々だ。

 日付で捉えるのか。

 クーランディア攻勢における、両者の攻防が入れ替わったときか。

 極めて劇的だった、第三軍第七軍団の到着時であるのか。

 ひとつのヒントがあるとするなら、それはこの日まで、ただただ懸命になって事態に対処してきたオルクセン軍が、

「この会戦の終結を、包囲殲滅戦を以てしてのけよう」

 と決意した、四月一五日夕刻であろう。

 先の見えない苦しさに耐え、ひたすら勝利につながると信じて戦い続けてきたこの会戦の様相に、ともかくも目指すかたちが生まれた。

 何かの物事が「終結」するとき、そこに至るまでの「過程」が必ずある。

 軍隊が決してある日突然出現したりしないように、会戦の結果も突如として現れたりはしない。

 そこには、たいへんな準備期間と、無数の計画や腹積もりと、失敗や錯誤と、修正や訂正、成功と挫折、兵たちの血と涙と汗がある。

 この辺りの事情は、エルフィンド軍にとっても勿論変わらない。

 北部戦線に続き、南部戦線が崩壊したとき、クーランディア元帥は戦線の縮小を決意した。

 この段階で彼女と彼女の司令部が脅威に感じていたのは、依然としてオルクセン軍第四軍団の猛攻に晒されている北部側だった。

 何しろそちらは、ディアネン市に近い。

 かといって、イーダフェルトとヴィアキスタルの丘が失陥してしまった以上、南部戦線の、現在地でのこれ以上の抵抗もまた不利であると思われた。このままではエルムト川沿いの防禦線は、その側面を攻撃されてしまう。

 とくにアルトカレ軍の損害が酷かった。

 会戦開始時、コルトリア中将率いるアルトカレ軍は四万三〇〇〇を数えていた。

 ところがクーランディア攻勢で主攻を担って損害を重ね、ついにはその負傷者を中心にイーダフェルトで約五〇〇〇名が捕虜になり、現有戦力は約三万六〇〇〇を割り込んでいる。

 砲弾の欠乏も深刻だった。

 既に会戦が始まって、一六日の時点で七日目。

 イーダフェルトの失陥により弾薬集積所まで失ってしまい、アルトカレ軍の砲弾所有量は急速に悪化していた。彼女たちは、同地にあった最後の弾薬車一六両を必死になって後退させていたが、コルトリア中将は主要火砲一日当たり一五発までという砲弾制限を、発せざるを得なくなっている。

 そこでクーランディア元帥のネニング方面軍司令部は、アルトカレ軍北隣のネニング軍を含めて戦線を縮小し、戦力の集中整頓と、兵站状況の改善を図ることにした。

 オルクセン軍としては、当然これに乗じて一気に間合いを詰め、追い込みたい。

 ところが、この運動がなかなか上手くいかなかった。

 第一軍団はイーダフェルトからディアネン市に向けてアルトカレ軍を追い、繞回進撃する。これは比較的上手くいった。

 しかし第五軍団のエルムト川渡河には、時間がかかった。

 これは彼らの攻撃が何か失敗をしたのではなく、架橋に対して絶対的に必要となった作業上の問題であった。

 エルムト川は、それなりに川幅がある。

 ここに合計四本もの架橋を行う必要があり、それぞれの架橋作業に八時間から一〇時間を要した。

 またエルフィンド軍側も全てが一挙に撤退したわけではなく、とくに第五軍団第二〇師団の正面ではかなりの抵抗をし、架橋地に対して砲撃や銃撃を加えた。

 一時は、渡河中止が検討されたほどであった。

 この戦区を担当していた第二〇師団擲弾兵第八二連隊長は、驚くべきことをやっている。

 まず、一個大隊を選抜して舟橋による強行渡河隊を組織し、架橋作業を援護しようとした。また自らもこの危険極まる任務の例外とせず、重門橋のひとつに参謀や副官、連隊旗手、連隊通信隊のコボルト通信兵、僅かな護衛兵とともに乗り込み、半ば川の上から指揮をとった。

 架橋続行の是非を問う旅団司令部からの問いに対し、

「もう炊事釜も届いている! 続行だ、続行!」

 魔術通信で返答させ、

「いったい八二連隊長は何処にいるのだ・・・?」

 などとケルムト川東河岸の丘上にいた師団砲兵観測所を不審がらせた。

「大尉、大尉! あれを!」

「なんだぁ、おい?」

 部下の叫びと、その示す方角に向けた双眼鏡の視界に広がる光景に、観測班の砲兵大尉は仰天した。

 連隊旗と、コーヒー用の湯でも沸かすつもりなのか、本当に調理釜を積んだ重門橋船のうえで八二連隊長が腕を振り上げ、サーベルを振るい、喚き、部下たちを叱咤激励していたのだ。

 その周囲にはエルフィンド軍銃砲火の水柱が上がり、ちかくには不幸にも直撃を受けたらしい軽架橋船が水没していて、兵士たちの死体も浮いているという惨状である。

「なんてこった・・・! 砲撃だ、砲撃! 対岸に砲火を集中しろ!」

 この八二連隊の渡河は、同日夕刻にかけて強行された。

 第二〇師団司令部では、軍団から野戦重砲兵第一四旅団の一五センチ榴弾砲一個中隊を借り出して、地元名グルアスカール島と呼ばれていた中州に渡し、翌朝まで支援砲撃を実施。

 架橋作業は夜間まで続行されて、一六日深夜にようやく連隊本隊が渡河に成功している。

 第三軍第七軍団も、すぐには前進できなかった。

 イーダフェルトを攻略した彼らは、なにしろ手持ち糧秣の殆どを使い尽くしていた状態である。

 ネニング平原進出による運動とこれに続いた戦闘とで、兵士たちの疲労も甚だしい。

 第一軍兵站部は、彼らのためにイーダフェルトが陥落するや否や、鉄道路線修復のための鉄道中隊二個と、これに先導されるかたちで糧秣を満載した軍用列車を次々に送り込んだが―――

 もはやオルクセン軍得意の、整理整頓された兵站拠点駅など築いている暇がなかった。

 エルフィンド軍が撤退に際し焼却した糧秣庫のうち、焼け残ったものは活用されたし、現地調達も図られた。

 しかもこの新たな兵站拠点を、アルトカレ軍への追撃運動のために前進を続ける第一軍団も利用することになったため、混乱に拍車がかかった。

 結果として何が起きたか。

 まず、いったいどちらの軍団が優先して補給を受けるのか、両軍団の兵站担当参謀同士で、衝突が起きた。

 第一軍団は主に砲弾を欲し、第七軍団は糧秣を求めたため、第一軍兵站部側も混乱した。

 ついには第一軍兵站総監ヴァレステレーベン少将が、片腕の副総監をイーダフェルトに送り込み現地の統制をとらせるまで、この混乱は続いている。

 恐れていた事態も起きた。

 とにかく送り込めと出発させられた軍用列車の何編成もが、イーダフェルト及びネブラス間で停滞を起こしたのだ。こうなってしまうと、解消されるまで後続はひたすら留まるしかない―――

 第三軍が行った、兵士たちの腕力による貨車輸送を迎えに行かせるための機関車も送り出されていたのだが、この機関車は停滞に巻き込まれ、目的を果たせなかった。

 第一軍団長ホルツ大将はその司令部で、

「いったい何をやっているんだ、砲弾を寄越せ!」

 と喚き散らし、第七軍団長ラング大将も糧秣を求めて譲らない。

 ついに、鉄道車両から直接に補給物資が供給された。

 第一軍団の弾薬馬車や輜重馬車は、軍用列車から直接荷を移した。

 第七軍団の各師団は、停車車両の真横に輜重馬車や炊事馬車を用意して、兵士たちはこれを貪るように食べた。

 供給品目や供給量といった定めは最早果たされることもなくなり、それどころか第二一師団ではごく一部の隊とはいえ欠食が起きたし、第九師団のある連隊では一六日の一日中、兵士たちは茹でたジャガイモばかりを食べている。

 オルクセンでは、ジャガイモもまた主食として扱われる。

 だからこんな真似も通用したが、彼らはこの日一食当たり三キロものジャガイモを食べた。

 兵士たち自らが背嚢や雑嚢に忍ばせている、塩や、マーガリンや、ジャムをつけて味には変化を持たせた。

 しかし、ふかしたイモは口中の水気を吸うし、塩気を増せば喉の渇きは加速する。

 イーダフェルト市内にある井戸の近くには、各小隊から一名乃至二名ほどで全員分の水筒を持たされた兵士たちが長蛇の列を成した。

 そして、食えば睡魔がやってくる。

 第七軍団の兵士たちは、もう舎営など気にしている間もなく、街のあちこちで毛布を被り、地べたで寝て、鼾を立てた。

 それは、生への渇望だ。

 生き物の我が剥き出しになった、膨大な光景である。

 このような光景は、兵站総監部が第一軍団の補給地をイーダフェルトにし、第七軍団の拠点は同市西方郊外の地フィヴィレとして分け、さらには第七軍団の再補給が進んで、その所属各部隊が徐々に前進を再開、整理整頓が図られるまで解消されなかった。

 両拠点に、組織的に系統立ったあのオルクセン軍式の拠点が完成する目途が最終的にたったのは、一九日深夜である。そうしてそのころには、もはや新たな兵站拠点を前進させる必要が生じていた―――



 一七日。

 オルクセン軍総軍司令部は今後の作戦見通しと言うべき、各軍団に対する新たな訓令を発している。


 一.第四軍団は、スリュヘイム・ディアネン間鉄道の西側に進出し、同方面の敵を攻撃すべし。また敵の西側側背へ進出すべし

 二.第三軍団は、ケルムト川北側の敵を攻撃し、第四軍団と協同すべし

 三.第六軍団は、正面において総砲撃を実施し、また敵中央南翼を圧迫し、主攻撃点を隠蔽すべし

 四.第五軍団は、エルムト川西岸の敵を脅威し、第一軍団と協同すべし

 五.第一軍団は第三軍第七軍団と協同し、敵南翼を圧迫。ディアネン市南側側背を脅威すべし 

 六.第三軍第七軍団は主攻役にして、第一軍団と協同、ディアネン市西方側背へ向かい前進すべし


 つまり、第三軍団から第五軍団にかけて、直接攻撃か砲撃に依って敵軍をディアネン市に押す。押しに押していく。

 この北側翼にいる第四軍団と、南側にいる第一軍団及び第三軍第七軍団が、敵を包み込むように運動していく。とくに第七軍団は「主攻」であって、第一軍団の西隣に進出し、この猛攻に沿って前進し、計三個師団を以て敵の退路を断ってしまう。

 注目すべきは、いままで戦場にあって南北両戦線を繋ぐ要の役割を果たしてきた、第六軍団であろう。

 「猛砲撃しろ」と言っている。第六軍団の背後には二八センチ砲を操る攻城重砲兵第二旅団がいるから、これも活用して、敵中央を猛烈に撃つ。まるでここが主攻かと誤解させ、エルフィンド軍側から見ればオルクセンは中央突破しようとしているのではないかと、慌てさせるほどに撃つ。

 この第六軍団の猛砲撃と、第一軍団の猛進の陰に隠れて、第三軍第七軍団が戦場端に進出。敵の背後を扼す。

 第四軍団は、これを受け止め、連繋するためにやはり敵背後に一部を進出させ、翼を伸ばすように運動する―――

 このような作戦方針の変更を伝えるために、一七日には各軍団司令部に対し総軍参謀が連絡に出た。

 もっとも戸惑ったのは、それまでの作戦計画のかなりの部分を修正することになった、第四軍団司令部であろう。

「・・・ふうん。つまり全周包囲を目指すんだな?」

 優秀な牡だけあって、第四軍団参謀長ブロン少将の理解は早かった。

 説明連絡に訪れた総軍司令部作戦部ライスヴィッツ中佐を前に、総軍司令部の意図をたちまちのうちに察している。

「だが、第四軍団としては、こいつはだぜ」

 直ちには着手できない、という意味だ。

 第四軍団は、敵アシリアンド軍と四つに組んで戦っている。

 いままでの総軍司令部の命に基づいて、そうやってアシリアンド軍を猛攻し、ひたむきにディアネン市を目指してきた。

 この、がっぷり組み合った腕を解いて、いったん離れ、攻撃軸をずらして、敵の更に後ろ―――西側に回り込むことになる。

 言葉で述べるのは簡単だが、確かに難事である。

「一日・・・そう、丸一日は時間を貰わないと」

 ともかくも急いで欲しいと言いたげなライスヴィッツ中佐に対し、簡単に言ってくれるなと、ブロンとしては少し小馬鹿にしたような態度になった。

 第四軍団は、いままで南翼のクーランディア攻勢に対する牽制のため、必死になって敵を攻めてきた。

 言うなれば「主攻」は彼らであったのだ。

 そこへ、第三軍第七軍団が主攻役となって、第四軍団はこれを受け止め、ディアネン市の背後で連繋を目指す側になった。

 なにがしか会戦勃発前の攻勢作戦計画の、「槌と金床」の役割が真逆になってしまったようでもあり、ブロンとしては二重の意味で面白くない。

 そのような態度が無垢に出てしまうところが、この牡を評して「お調子者」などと言わしめた総軍司令部参謀たちの心証、その原因であった。

「まぁ、引き受けたよ」

 戦後のことだが―――

 ベレリアンド戦争の結果、たいへんな権勢を持つようになった総軍司令部参謀たち、参謀科将校閥とも言うべき軍主流の連中からブロンは睨まれ、優秀な牡であったにも関わらず、やがて中将の地位で軍を退くことになった―――

 しかし、ブロンは本当に優秀な牡だった。

 連絡会議が済むと、すぐに第四軍団司令官シュトラハヴィッツ大将のもとへ行き、軍団としてもっとも懸念すべき点を伝えた。

「我が軍団の配置上、ディアネン市の背後を目指して運動するのは後備第一旅団ということになります。何も配慮なく送り出せば、後備兵には荷が重いでしょう。後方兵站支援には気を配り、そして野戦重砲兵第一五旅団から一五センチ榴弾砲の一個中隊を増強に着けてやろうと思いますが。如何でしょう?」

「・・・うん、是非そうしてくれ」

 大将は、ただちに同意した。

 彼から見て、後備第一旅団長ミヒャエル・ツヴェティケン少将は、階級こそ下だったが、先輩格にあたる。

「ツヴェティケン少将には、苦労してもらうしかあるまい・・・」 



 このころ、戦闘序列上は第四軍団の隷下にあったもうひとつの部隊―――アンファウグリア旅団の浸透は、頂点を迎えようとしていた。

 後世、極めて勇壮なものであったかのように語られるアンファウグリア旅団の騎兵浸透作戦は、その実施期間の大半において、長駆、行軍に次ぐ行軍、また行軍。この難事にあたるばかりであった。

 軍隊は、例え戦時下といえども、常に戦闘をやっているわけではない。

 アンファウグリア旅団は確かにこの作戦中、幾つかの奇襲や強襲を成し、鉄道施設や電信線、敵兵站拠点などを破壊したが、それは作戦期間中の時間で数えれば、ほんの僅かでしかなかった。

 彼女たちは、なにしろ大量の軍馬を使っている。

 これ即ち旅団にとって戦闘力の根幹であり、決して失うわけにはいかない。

 ふだんは極力無理をさせず、その「無茶」はどうしても必要な強行軍や戦闘時のためにとっておく。

 愛馬を気遣い、飼葉や水の確保に苦心し、体調に配慮を重ね、維持をする。ただ休ませればよいというわけでもなく、体調管理のためには適度な運動も要する。

「騎兵は馬のそばで死ぬのだ」

「馬は相棒であり、父であり息子であり、母であり娘であり、伴侶のようである」

 おそらくそのような感覚は、古今東西、例えどの時代の何処の国の騎兵であっても、首肯するものだろう。

 この軍馬たちを維持するために、彼女たちは前哨を放つのとは別に、しばしば設営準備隊と呼ばれた一隊を先行させている。

 宿営地を確保し、とくに飼葉及び水の調達を図るためのものだ。

 そうして大規模農場などを占拠し、舎営に備えた。

「例え自らが欠食しても、軍馬の飼葉、水は確保するつもりでやった」

 といい、作戦前に設営準備隊の心得としてつけられた優先順位もそのようになっていた。

 もっとも長駆浸透したアルディス・ファロスリエン中佐率いるアンファウグリア騎兵第三連隊を中心とした支隊が、ヴィハネスコウ大鉄橋の襲撃前夜に宿営した大規模農場及び周辺村落も、この基準で選ばれている。

 スオラティエという村で、村落としてはかなり大きかった。本来、このような目立つ場所は避ける方針であったが、なにしろ諸条件が良好だった。

 飼葉が豊富であったこと、井戸の水が清涼であったこと、回りに丘陵と林があり防備に適していたこと、支隊の本部とした大規模農場と周辺村落を利用すれば支隊全てが舎営可能であったこと―――

 また実際のところ、彼女たちの行動を隠密偽装することは、不可能であったといってもいい。

 これほど大兵力の騎兵集団が移動すると、大地が乾いていれば土埃も立ち、それは存外に遠くからも望見できるものであったし、後方には当然ながら膨大な蹄鉄の跡が残る。

 そして馬も生き物であり、は出す。

 輜重隊や弾薬隊、工兵隊の火薬を積んだ馬車の轍も刻まれる。

 これらが膨大な痕跡となって、彼女たちの行動を周囲に知らしめた。軍馬たちの残した痕跡は、その風化具合から、見る者が見れば経過時間まで推察できた。出すものからは湯気が昇るし、やがてそれは消え、次には埃が被さるからである。

 通過村落などの方角から、しばしば不審な魔術通信が起こって、アルディスは支隊に対し決して気を抜かないこと、地元住民は信頼しないこと、会計処理については必ず部隊が立ち去る際に支払うこと、単独での行動は行わないことなどを通知した。

 会計処理を最後に行うのは、信頼を寄せられない相手にまず対価を払ってしまうと、先方はもうオルクセン軍に用はないとばかりに、たちまち利敵行為に走る恐れがあったからである。

 彼女たちがこれほど配慮を重ねたのは、やはりダークエルフ族の部隊であったという要因が大きい。舎営や通過村落住民などは、軍威には従うが、ダークエルフ族の風下に立つのは真っ平御免だとでもいうような、面従腹背の気配を潜ませている白エルフ族ばかりであった。

 第二騎兵連隊第五、第六中隊と、猟兵連隊第二大隊が中心になって宿営した農場では―――

 家主の挙動不審を感得し、そこには嘲りよりも怯えの色が濃いと訝しんでいると、敷地の隅にあった粗末な小屋に、なんとあの忌まわしい民族浄化発生時に農奴として連れ去れたダークエルフ族が見つかった。

 ぼろのような衣服を着て、やつれきった姿であり、旅団の兵士たちが愕然とするなか、

「見ないで・・・ 見ないで・・・」 

 瞳を真っ赤にして、泣いた。

 兵たちは先を争うように、シャツや、外套を着せてやり解放して、次いで、いきり立って農場主を取り囲んだ。まるで殺害しかねない勢いだった。

 これは、志願して支隊に同行していた旅団作戦参謀ラエルノア・ケレブリン大尉が、必死になって止めた。

「やめんか、貴様ら! 大事の前ではないか!」

 ただしラエルノア自身も憤慨しており、怯えきった家主に向かって、

「いいか、ご主人。これは必ず記録する。この戦争が終わったら、きっと無かったことにする連中がいるだろう。だが、絶対にそうはさせない! 何年経とうが、何十年、何百年経とうが、絶対に許さない! そのつもりで生きろ!」

 襟首をつかんで叫んでいる。

 この救出されたダークエルフ族は、「支隊の道案内役として雇用、同行させる」ということになった。

 土地移動に制限のある農奴が、ごく周辺土地以外の詳細を知るわけもなく、これは方便というものである。

 オルクセンの軍規上、例え占領地といえどもエルフィンドの法律は維持される。

 農場主の「所有物」である農奴を無理矢理解放していくことは、何とも嫌な話だが略奪罪に問われ兼ねない。かといって農場主から「調達物品」として買い取るなどという真似は、決してやりたくなかった。

 ならば、道案内役として現地住民を雇用したという形式を取りたい―――

 これなら、件のダークエルフ族に対し路銀というかたちで、当座の資金を軍の会計から与えることも出来る。旅団は、偶然出会った現地住民を「農奴とは知らず雇用しただけ」である。彼女がそのままオルクセンに着いてくるか、生まれ故郷に戻ったとしても、それは彼女自身の選択であり、「旅団の知らぬ存ぜぬところ」である―――

 あれほど怯えた農場主が訴え出るとも思えなかったが、例え何があっても旅団長ディネルースや支隊長アルディスに迷惑が掛からないようにという、ラエルノア苦心の策だった。

「そうか・・・それは良くしてくれた」

 ラエルノアから事の処置を聞くと、アルディスは頷いた。

 この旅団作戦参謀が着いてきてくれて本当に助かった、と思っている。

 ラエルノア自身による熱心な志願であり、これはアルディスと彼女とがヴィハネスコウ大鉄橋襲撃計画をともに協力して研究、立案してきたという、友誼と義侠心からに依るものだった。

 本来なら司令部の参謀が、一段下の組織の作戦行動へ義侠的に参加するという行為は、あまり褒められた真似ではない。

 そこで旅団長ディネルースはラエルノアの希望を汲んで、支隊との連絡役に命ずという命令書を作り形式を整えてくれ、サインをしている。

 このラエルノアの配慮にアルディスが安堵を覚えたのは無理からぬところで、彼女は支隊長として実に様々な難問に遭遇していた。

 まず彼女を悩ませていたのは、出発以来、麾下に六個いた騎兵中隊の中隊長たちが、次から次へと現れ、襲撃班本隊への参加を望んでいたことだった。

 騎兵の将校は、鼻息が荒い。

 そのようになってしまうものらしい。

 アンファウグリア旅団が背景として抱えていた、部隊の創設経緯もあるだろう。

 なかには、かかる一大襲撃に参加できないのなら、敵陣に突っ込んで死ぬとまで喚いた者までいた。

 大鉄橋の襲撃には、支隊の全てが直接に参加するわけではない。

 襲撃後、支隊はこのネニング平原最奥の地から急速に離脱を図ることになるが、その部隊収容地へと進出して、同地の守備をし、糧秣や水の準備を整えて、迎え入れる役が必要となる。

 そちらに回されては堪らない、という者ばかりであった。

 この部隊割を当夜発表したところ、案の定というべきか、「外れ」を引いたと慨嘆した中隊長の何名かが、再考を願い出てきた。

「いいか。例えどれほど襲撃そのものが上手くいっても、一番の難事は支隊総員で生還することなのだぞ。そのために最大の役目となる収容隊を務めることを、まるで軽んじるような態度は何事か」

 アルディスは、静かに、一名一名を諭すようにして、返した。

 ようやく、燕麦のミルク粥、塩茹でした卵、鶏肉の焼き物という夕食を摂り終えたときには、ほっとした。

 この襲撃前夜―――

 支隊のなかにも、様々な光景があった。

 彼女たちを含むアンファウグリア旅団は、ずいぶんと軍馬たちの維持には気を使ったが、それでも病馬は発生した。なにしろ、母数が母数だ。メラアス種はまことに軍馬向きの頑丈で壮健な馬種だったが、それでも多い日で支隊約一三〇〇頭のうち二〇頭ほどを数えた。

 第二連隊第三中隊では、この夜、一頭の馬が「疝痛せんつう」という消化器系の病に倒れた。

 飼葉の不良や、水の不足、給食直後の激しい運動などで起こる、馬には多い病である。

 同隊所属イルマリエン伍長のヴェルシグネト号という馬で、疝痛には様々な症状があるが、このヴェルシグネト号の場合は、腸閉塞を起こし、もがき苦しみ、壮絶な七転八倒を示した。

 作戦開始前から腹の具合が悪く、ここ数日も飼料の種類に好悪を示し、イルマリエン伍長を心配させていた矢先の出来事である。

 連隊付きのサトゥロス獣医軍曹が駆け付け、周囲の助けも借り、露天での開腹手術を試みたが―――

 午後八時ごろ、ついに息を引き取った。

 イルマリエン伍長は瞳を充血させ、懸命に涙を堪えており、同じ騎兵だけに中隊全員の悲嘆を誘ったものだった。伍長は愛馬の亡骸から、たてがみの一房を切り取り、これを形見にした。

 また他方では、兵たち自身にも、情景があった。

 騎兵第六中隊は、襲撃隊参加組になった。それも工兵隊とともに橋梁に爆薬を仕掛ける爆破工作班となったので、工兵隊から講習を受けた。

 その上で、いよいよ明日は決死行だというので、夕食の席が控えめながらも宴になった。

 中隊長ユスティーエル大尉が皆に少しだけ火酒を配り、旅団歌を歌った。

 食事を摂ると、みな、軍服のポケットを探す仕草をし、次いで、ああしまったという顔をする者が多かった。

 出発以来、既に日が経っている。煙草を切らしている者ばかりであった。

 煙草は、無いと意識してしまうと、喫煙者にとって無性に渇望の沸くものである。

 すると、

「おい、皆。中隊長のお心遣いだ。大事に吸えよ」

 ダークエルフ族としても、ちょっとゴツいところのある見かけの、中隊先任下士官サッラミア曹長が、まるで魔法のように多量の煙草包を取り出し、皆に配った。

 流石にひとり一本とはいかず、二名から三名当たりに一本の回し吸いとなったが―――

 自らが準備していたのだとされたユスティーエル大尉は、内心驚いていた。

 それもそのはず、これはサッラミア曹長が用意していたものだったのだ。

 つまり、功を譲られた格好である。

 サッラミア軍曹は、見た目に反して―――と評しては悪いが、実に細やかな配慮をする下士官であった。

 この年の一月一日、新年を祝うものとしてオルクセン軍の全出征兵士には一名あたり一ラングの「酒肴代」がグスタフ王名義で配給されており、サッラミア曹長は感心にもこの全額を残しておいて、更には自らの給金から幾らかを足し、この長駆騎兵行の実施が決まると、ここを先途と思い決め、連隊酒保から煙草を買っておいた。これを防水性の油紙に包み、鞍嚢のなかにしまって大切に持参した。

 そうして、もっとも大事なときと見定めたこの夜、敬愛する中隊長の心遣いとして皆に配ったのである。

 ユスティーエル大尉は、大いに感動した。

 大尉と曹長は、かねてより階級差を越えて仲が良かった。

 それというのも、この二名は同じ氏族の出身で、あの苦難に満ちたシルヴァン川脱出行も一緒だった。

 出征前には揃って写真を撮るほどだったし、大尉は「私が男だったなら、あいつを女房にしたいほどだ」と半ば本気の冗談にするほど信頼を寄せ、曹長のほうもそんな大尉を盛り立ててやろうと懸命になって、この戦役を戦ってきた。

 そのような関係のひとつの発露が、この煙草に出たのである。



 ファロスリエン支隊がこのような夜を過ごしていたころ―――

 エルフィンド首都ティリオンに司令部を置く、ネニング方面軍後方兵站司令官ギルリエン中将は、もはやアンファウグリア旅団の存在を偵知情報から感得していた。

 そしてどうやら、ディアネンとの間の鉄道線襲撃を企図しているらしいということも。

 彼女はヴィハネスコウ大鉄橋の警護強化のため、竜騎兵三個中隊、騎砲一個中隊の増派準備を命じていた―――



(続)

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