第6話 俺の経験
それから俺はみんなにカレーを食べさせて、走ったり筋トレしたり、色々と体を鍛えていった。
それで魔王さまが迎えに来て、風呂に入り、卓球をしてから改築が終わった部屋で寝る。
こんな感じで数日間鍛え続けていると、ステータスも徐々に上がっていき、初めて数値が100を超えた時は、感動して雄叫びを上げてしまうのも仕方ないだろう?
更にステータスを上げようと、色んな人に模擬戦を挑み始めて、戦い方のコツを自分なりに理解していった。謎に勘違いされたドラゴンに勝負を挑まれた事もあったっけ。良い経験になったから良かったけどな。
そのドラゴンと模擬戦して大型の魔族の戦い方も学べたし、自分で言うのもアレだけどこの国に馴染んでいったと思う。
魔王さまが俺に任せたい事があるって言われて行ったら、まさか避難している人たちの所で炊き出しをやるとは思わなかったから、びっくりした。でも、当たり前だけどなんで
でも決して俺に向かって石を投げたり、殴ってきたりはしなかった。それどころか俺の事情を話すと逆にこっちが慰められる。
優しい人たちだと改めて思い直し、炊き出しに力を入れて頑張っていると、みんながありがたいと言って特盛カツカレーを平気で平らげる。おかわりも要求されるのは流石に、予想外だったけどな。
そんなこんなで、避難している人たちとも仲良くなれて、結果的には良い思い出も出来たし、本当に良かった。また来るって言うと、待っているって言われるのは嬉しかったな。
戻ってくると魔王さまがどうだったと聞いてきたので、とても良い体験が出来ましたと言うと、そうか、良かったなと言い頭を撫でられました。少し恥ずかしかったけど、幸せな気分になれたから俺のした事は間違いじゃなかったと思う。
それからしばらくは鍛えたり、模擬戦をしたりしながら、訓練を続けること数ヶ月でステータスの項目が最低でも500を超えられた。
まだまだ器用貧乏なステータスなので、オールラウンダーを目指して低い防御面を鍛える為に魔法で加減しながら自分を攻撃していると魔王さまに怒られる。
悩み事を相談すると、魔王さまが私と模擬戦するかと言われ、暇がある時にお願いする事にした。普通に魔王さまは強くて勝てそうな気がしなかったけど、これも良い経験になると思って挑み続ける。
魔王さまと模擬戦していく内に少しずつ、魔王さまの攻撃する時の癖が分かってきた。同じように防御する時の癖もわずかにだけど分かってくる。
またステータスも、始めは防戦一方だったので防御面がどんどん上がっていた。ほとんど瞬殺みたいなものだけど。防御面が上がってくれるなら、やっている意味があるな。
少しずつ模擬戦の時間が伸びてきて、試合と言える程には強くなれていると思う。そんなこんなで、だんだんステータスが上がってきた事で魔王さまに近づけていってるのは確かだ。
魔王さまと模擬戦しているおかげか、ステータスが上がるのが早い気がする。それだけ経験になっているという事だろう。高い数値で1000を超えたからな。
だがずっと、魔王さまと模擬戦している訳にはいかない。魔王さまも忙しい中、俺の為に時間を割いてくれている。それに他の人とも模擬戦やっておかないとこんなにも、色んな人たちがいるのにもったいない。
みんなと模擬戦やっている時に俺が酷い怪我をした。当たり前だよな、みんなステータスが高いのだから防御面が低めの俺には、被害が大きい。でもすぐに治って元気になった。
異常とも言える、俺の回復力を見ていたやつらの一人が、文字化けのスキルの内容が気になると言って、俺のスキルの詳細を聞いてきた。俺も気になったので、調べてみると説明文が『あらゆる物事に対して**する』と書いてあった。
これはもしかして**の部分は適応なのか?そう思った瞬間、酷い頭痛に襲われながら、俺は意識を失った。
意識が戻ってきたら、俺の部屋のベッドに寝かされているようだ。みんなに大丈夫か!と言われてとりあえず体に異常がなかったので、もう平気だと言ってみんなを宥める。
何が起こったのか分からなかったので、自分のステータスを見てみると文字化けしていたスキルが適応に変わっていた。文字化けが無くなっただと、どういう事だ?
だが、普通に考えたら強くないかこのスキル。俺の要望通りにある程度できるのだろう。それって俺が強くなりたいって、スキルに要望を出せば俺は簡単に強くなれるという事だと思う。
問題は意識を無くさないと、スキルが使えない点だ。これさえ無ければ最強なのに。そもそもなぜ意識を無くさないといけないのか。それが一番謎だ。
『回答、それは今までスキルが不完全だったからです。不完全だったがために体に負荷がかかり、それが意識を失う事に繋がっていました』
なるほど、そういう事だったのか。という事は今なら、意識を失わずにスキルを使える訳だ。
そもそもなんで、スキルが不完全だったんだろう。
『回答、勇者召喚システムに異常が発生している為、スキルが不完全なまま付与されました。例の王国が召喚し続けることで勇者召喚システムが破損し、勇者に相応しくない者が紛れています。気をつけてください』
うん?『勇者に相応しくない者が紛れています』だと、一体どういう意味なんだ。
『回答不能』
それは分からないのか。それじゃあ仕方がない。とりあえず、強くなる事に専念しよう。みんなに声をかけて模擬戦をやろうとした時に、急に地震がきた。
これは模擬戦どころの話じゃないな。この建物がどこまで耐震性があるのか分からない。外に避難するか。
みんなが固まっているのを呼び掛けて、フリーズを解除させて外へ向かうように指示する。みんな素直に従ってくれて、みんなと一緒に外に出ると地面がでこぼこしていた。
「これはなんなんだ?」
「何者かの襲撃かもしれないぜ。リュートはここで変なものがないか探していてくれ!俺は魔王様の所に報告してくるからよ!」
「分かった、気を付けてくれよ!」
「そっちもな!」
ゴブルが魔王さまの所に向かっていった。俺もやる事をやらないとな!空を見上げるとドラゴンがあちこちに飛んでいる。空の警備は大丈夫だな。
後は避難している人たちが危ないか。獣人たちに頼んでそこに向かってもらった。ゴブリンたちにはこの辺りの警備を頼み、俺も異常がないか走って確認していく。
このでこぼこしているやつはもしかすると、敵の攻撃だったりしてな。そうじゃない事を祈るが、どうやら駄目だったようだ。急いで俺の所に来たゴブリンを見て、そう思った。
「リュートさんあっちから襲撃者が来てます!俺たちじゃ対処は無理なので、お願いします!」
「分かった。お前たちは、俺の攻撃が当たらない所まで逃げておけ!くれぐれも怪我はするんじゃないぞ!」
「分かりました!仲間にも伝えておきます。それでは、ご武運を祈ってます!」
「ありがとうな、気を付けて移動しろよ!」
襲撃者か、一体どんな奴なんだ?さっきよりも速度を上げて襲撃者の所に行く。そこにいたのは、見覚えがある人たちだった。見た瞬間、頭を抱えたくなった。よりにもよって弟と妹かよ。本当に、ロクでもない事になりそうだ。
この二人が俺の事をどう思っているのかは知らないが、襲撃者として来たなら容赦はしない。どんな攻撃が来ようとも、俺は適応してみせるぞ!
『要望を確認しました。この戦闘に限り、適応し続けます』
これで準備は整った。どこからでもかかってこい。いつもの俺だと侮るなよ。
「あれ、その服装は
「
「そうだな。さっさと行こうか」
「俺を倒したら、教えてやるよ。逃げたゴブリンたちの行方をな!」
「雑魚がイキるなよ?どっちが上かを教えてやる!」
弟がダッシュで切りかかって来る。普通に速い!でも俺には適応があるから慣れるまでなんとか攻撃を受け流す!
ステータス頼りの攻撃なら俺には効かないぞ。魔王さまより遅いのなら、問題ない。散々鍛えてもらったんだ、この位かわしてみせる!
何度か攻撃を受け流したり、避けたりした時に表示された。
『敵のAGIの数値を確認しました。自身のAGIを同等まで上げます』
おっ案外早かったな。よし、上がったことだし反撃してやるぞ!後ろに回り込んでもっている剣を弾き飛ばす。これで武器は無くなったな。ついでに縛っておこう。動けない様にガチガチにな!
魔法を無効化する縄を弟に縛り付けるイメージをする。そして額に思いっきりデコピンをかましてやった。
「雑魚だと見下していた奴に負けた気分はどうだ?ははっ意外と楽勝だな」
「調子に乗らないでね!今度は私が相手してあげるんだから!」
「そうか。なら、来いよ。その余裕を、叩き潰してやる」
すぐに来るのかと思ったけど、杖を掲げて何か口ずさんでいるようだ。もしかして魔法の詠唱?そんなの必要ないだろ。それならこっちも、魔法を無効化する盾でも作るか。
左手に装備してっと。これで魔法は問題ない。これ以上待ってやる気もないから、さっさと終わらせようか。念の為に盾で杖をぶん殴って、さっきと同じ様に縛り付けてデコピンしてやった。
こんなもんで良いのか?ついでに武器を分解しておけば、流石に攻撃手段は無いだろう。剣を分解して、杖も分解。
『戦闘の終了を確認しました。適応するのを一旦終了します』
戦闘が終了したらしい。確かにこの状態で戦闘続行は難しいよな。さて、逃げないように見張りでも付けておきたいな。そうだ、ドラゴンたちは忙しそうだし、ゴブリンたちを呼ぼうかな。
「おーい、ゴブリンたち!襲撃者は縛っておいたから、見張っておいてくれ!」
遠くから「「「了解です!」」」って言ってるからもう良いか。でも、一応来るまで待っておいた方が良いな。
ついでだ、こいつ等を眠らせておく。かなり眠くなるイメージで掛ける。余程睡魔に強くなければ問題ないだろう。
そしてゴブリンたちが到着した。
「大分息を切らしているけど大丈夫か?」
「急ぎで来たので、少し辛いですが大丈夫です……」
「じゃあ俺は他の所見てくるから、ここは頼んだぞ」
「はい。わかりました」
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