第4話 俺は再度強くなる事を決意する
みんなに特盛カツカレーを配り終わって一段落着いた時に、魔王さまに話しかけられる。
「なあリュート、どうやってカレーを作っているんだ?材料を出しているところも見当たらない。何も無い場所から、いきなり出てきているのように見えるのだが」
「簡単ですよ。魔王さまが言っていたじゃないですか。魔法は想像して作る物だって。それを参考にして、剣とかを試しに作ってみたんですよ。思っていたよりも容易に出来たので、それと同様に作ってみただけです」
バケツプリンは途中で飽きそうになったけどな。でも、なんでこんな事を聞くんだ?みんな普通にやっているんじゃないかと思うんだが。
「試しで剣を作ったのか。では、それを見せてほしい」
「分解してしまったので、もう一度作ります。少し待っててください」
集中してもう一回、ゲームに出てきたあの剣を作る。ついでにゲームみたいにATKが20位上がるようにして、おければ少しは使えるかな。
よし出来た。でも、作れた物の詳細見られれば、ちゃんとイメージ通りに作れたかが分かるのになそうしたら楽なのに。
『**しますか? はい/いいえ』
出てきたな文字化けスキル。今は意識を失うのは危ないから、寝ている最中にやってほしいな。
『要望を確認。**を睡眠時に実行します』
割と自由がきくんだ。意外だった、こういうのって普通は選択肢の中から選ばないと、いけないものだと思い込んでいた。文字化けスキルは有能だな、意識失う必要があるみたいだけど。
そうだ、作った剣を魔王さまに渡さないとな。すっかり忘れてた。というか、もう魔王さまが持っている。随分と興味津々だな、魔王さま。
「リュートが作った剣、良いな。中々使えそうだ。私が少し使ってみてもいいか?」
「その為に作ったんですから、ご自由に使ってください」
「ありがとう」
魔王さまが、剣を片手で構える。おかしいな、アレはゲームだと両手で持つ剣のはずなんだけど。魔王さまだし、片手で持てる位のステータスはあるか。
魔王さまが何回か剣を振っている。何かを確かめているみたいだ。どうかしたんだろうか?
「なあリュートこの剣変な感じがするのだが、何か仕込んだか?」
「……遊び半分でステータスが上がるようにしました。ちゃんと出来ているかは、分からないですけど」
「ステータスが上がる剣だと!いや、なるほど。そういう事ならおかしくはない。凄いぞリュート、ステータスが上がる武器は今まで存在しなかったからな!そうだ、同じように防具も作ってくれないか?」
また褒められた。魔王さまは褒める事に抵抗がないみたいだ。凄いなー。家の親にも見習ってもらいたい。
「分かりました。出来るかどうか分からないですけど、やれるだけやってみます」
防具か、人によってサイズが違うから、普通に作るのが難しい。でも、サイズが勝手に変化すれば問題ないよな。ゴムみたいに伸び縮みする感じで、作ればいけるか?
適当にゲームの防具を再現する。注文通りにステータスを上げるか。防具だしDEFとMDFにしよう。それが上がるようにしてと。こんなので良いのかな。
「出来ましたよ。多分ステータスが上がると思います」
「分かった。じゃあ来てみるか」
魔王さまに手渡して、防具を付け終わるまで待つ。でも、防御面って着ただけで分かるもんなのか?まあ、自分のステータスを見れば分かるよな。
「着てみたぞ。どうだ、似合っているか?」
「とても似合っていると思います」
魔王さまは割と、何を着ても似合いそうな感じがあるから、この防具も当然の事と言わんばかりに似合う。可愛い系は似合うか分からないけど。
「ありがとう。ふむ、確かにステータスが上がっている。流石だリュート。だが料理に武器と防具も作れるんだ、店でも出せばいいんじゃないか?何も戦う事だけに力を注ぐのはどうかと思う」
確かにここまで出来れば、店を開いた方が良い。そっちの方がみんなの役にも立てるのは分かっている。だけど俺は自分が強いと認められるまではやり続けたい。
「それは分かっています。でも俺は、あの国に見返させてやりたいんです。雑魚だからという理由だけで、殺されかけた。だからどうしても強くなりたいんです!その後なら店を開くなり、なんなりするので、それまではどうか、俺に鍛えさせてほしいです!」
どうしてもコレは譲りたくない。どうか、思いが通してくれ!
「リュートの考えは分かった。お前がそう考えているなら、良いんだ。特に強くなる事に執着している訳じゃなければ、そうしても良いと伝えたかった。だから、安心しろ。リュートは絶対に強くなれる、何故なら私が付いているからな!」
ポンと肩を叩かれる。 ……良かった。魔王さまは分かってくれたんだ。安堵して、手を胸に当てる。そして、いつの間にか止まっていた呼吸をする。
「魔王さまありがとうございます。いくら感謝しても、し足りないです!」
「感謝するのはこっちの方だ。料理やこの剣と防具も素晴らしい物だ、それにステータスは鍛えれば鍛えるほど高くなる。元がどれほど低くてもだ、それを忘れるな」
「はい、分かりました!」
俺はちゃんと強くなれるんだ。どんな奴が来ても、倒せるようになってやるぞ。
そう気合を入れたのは良いものの、ここで鍛えるのはみんなの食事の邪魔になってしまうな。ちょっと場所を変えるか。
「魔王さまもう少し鍛えたいので、ちょっと遠くで体を動かしてきます」
「分かった。少ししたら、迎えに行く。くれぐれも、張り切りすぎて体を壊さないようにな」
「体を壊さない程度に、頑張ってやります!」
魔王さまの許可も貰った事だし、鍛えに行こう。
ここならさっきの所から大分離れているから、問題ないだろう。まずは筋トレしよう。腕立て伏せを出来るだけやってみるか。その前に、シートを作って場所を整えてからだな。
作ったシートの上で腕立て伏せをし始める。あれ?前に、家で腕立て伏せやった時は10回出来れば良い方だったのに、今10回を超えたけど辛くない。マジか。
15回を超えても、20回を超えても、疲れが来ない。もしかして回復する速さが速いせいで、いくらやってもほぼ問題ない程度まで回復しているのか?
そんな上手い事なるはずがないよな。でも文字化けスキルの効果ならありえる。なんせあの崖から落ちた時に、体のあちこちが骨折しまくっていた俺が、何事も無かったように治ったんだ。
正直、信じられないけど、俺の体はそういう風になってしまったかもしれない。まあ好都合だよな、時間ギリギリまで鍛えられるんだ。俺の考えが合っていれば、筋肉痛もほぼ無いはず。
でも腹が減るのも早くなっている気がする。エネルギー消費が多くなっているのかもしれないな。
幸い飯は自分で作れるから、あんまり問題ない。飯を食う時間を確保すれば良いだけだし、なんなら今食うか。
体を起こして正座をする。しまっておいたスプーンを出して、カレーを手元に出す。いただきます。
ごちそうさまでした。相変わらず美味しいなこのカレー。食後にすぐ動くと駄目と聞いたことがある。休憩も兼ねてゆっくりしよう。
こんなもんでいいか。よし、腕立て伏せを再開しようと思ったんだが、魔王さまが近付いてきているのが見えたので、鍛えるのは一旦中止だな。ゆっくりしておこう。体を壊さないようにって言われていたからな。
ふと、空を見るともう夕方に近い。こっちの夕方も綺麗だな。空を見上げていると、魔王さまが近くに来ていた。
「どうだ、少しは鍛えられたか?」
「はい。鍛える事ができました。時間を作ってくださり、ありがとうございます」
「それは良かった。では帰るぞ。ついて来い」
「分かりました」
アイテムボックスにシートを入れてから、魔王さまの後に付いて行く。てっきり戻るのかと思ったけど、向かう方向が違うのでそうじゃないみたいだ。
そして着いた。ここはなんなんだ?
「ここは大浴場だ。汗を流してくるといい。右側の扉に入れよ。私も久々に入るから、一緒に行くぞ」
「はい」
へえ、こんな所に風呂があるんだ。中も広そうだな。これは期待しちゃうぞ!
良い風呂だった、色んな種類の風呂があるのは驚いた。その中でも、攻撃力が上がりやすくなる風呂とか、防御力が上がりやすくなる風呂とかがあって面白かったな。
一日一回しか入れないって魔王さまに言われた。前に欲張った者が大変な事になったらしい。確かに、ステータスに関係している風呂だから、体の負荷も凄そうだ。
ちなみに俺は防御力の方にした。火力も必要だけど、防御の方が大事だと思う。死にかけた身ですから。
そんなこんなで、魔王さまと卓球をする事になった。何故かって?俺がやってしまったからだ。ほら、銭湯とか行くと卓球をやるらしいから、やってみたくなっただけなんだけど。
という事で魔王さまは勿論やった事は無いだろうし、俺も授業で少ししかやった事がない。そんな二人で卓球をするという、ちゃんと楽しめるのか怪しい展開になった。
俺が卓球台を作り、ピンポン玉も作り、球を打つ板……名前何だっけ?を2つ作って、魔王さまにルールを覚えている限りのものを教えて、準備は整った。
結果、俺はいくらやっても魔王さまに勝てないまま、終了する。魔王さまって初心者なはずなのに、どうしてそんなに上手いんだ!これもステータスの差なのか……。
それを見ていた他の人たちも卓球をやりたいと言い始め、後3セット程作っておいた。これでなんとかしてくれ。
他の人たちが盛り上がっている間に、俺と魔王さまはいつの間にか作ってくれた俺の部屋に向かう事にした。
「ここのようだ。どうだ、気に入ったか?」
中に入ると、大分広い部屋らしい。所々に豪華そうな物があるのは何故なんだろうか。色々とドアを開けるとトイレと風呂、寝室に何も無い部屋まで色々とあった。
便利だな。こんなに良い部屋で寝られるのか俺は。普通に贅沢だろコレ。
「気に入りました、ありがとうございます!造ってくれた人にもお礼がしたい程です!」
「それはありがたい事ですな。また、何かあれば連絡くださいな!では、またですな」
「気に入ったならいい、私は仕事に戻る。リュートはしっかりと寝ておけ」
「はい!」
魔王さまが歩いて行ったのを確認した。そして俺は速攻でふかふかのベッドに入って寝始める。
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