シナリオ26
「実は俺……村中に落ちているエログッズを集めてました!」
「君って、最低!」
アグリは
羽トカゲがこの組織で社畜同然の扱いを受けていたこと。
シャチョーの寝姿を見て、(羽トカゲが)カッとなってしまったこと。
アグリは当初の目的も忘れ、ついつい夢中になって村中に落ちているエログッズの収集に明け暮れてしまったことまで正直に打ち明けた。
女性プレイヤーから「最低」呼ばわりされるのは、正直辛い。
しかし、元カノや不肖の弟子からも散々言われ続けているので、多少の耐性はついていた。
(慣れって怖いな……)
「ところでこの騒ぎどうやって収集するの? 人質はまだ見つかってないんだよね?」
「シルヴィさんこそ、何か情報は?」
「う~ん、高台から村の様子は見てたけど、あまり情報は得られなかったのよね……君の裸踊りが気になって……」
「アレまで見てたの!」
「見たというか……
アグリに踊り子系戦闘スキルなどない。アレは完全にアドリブだった。
だから、モンスター相手に通じなくとも不思議ではないのだが、シルヴィには効果があったという。
「シルヴィさんのえっち! 俺が組織を揺動させたら、シルヴィさんが強襲するって約束だったのにっ!」
「いやいや、あの状況で強襲は無理だって! ゴブリン、ぜんぜん普通だったよね!」
「確かに……」
結局、意見はまとまらなかった。
しかし、この混乱に乗じて人質を確保できなければ、人質救出はより困難となる。組織が指揮を取り戻せば、村の警戒は一層厳しさを増すだろう。
「そうだ……ここへ来る途中、こんなもの拾ったんだけど……君はゲットした?」とシルヴィがアイテムストレージから取り出したのは、一枚のチラシ広告だった。
「これは……」
アグリにも覚えがあった。同種のものが『村の倉庫』にも山積みされていたから。
アグリもシルヴィもモンスター語は読めないが、そのチラシ広告には、ゴブリンレッドが見張っていた『洋館』への簡易マップと、切り外して使用する『ご優待券』がついていることまで判明していた。
「コレがあれば、あの洋館に潜入できるかも?」
ついでにゴブリンレッドとの約束も果たせる。まさに一石二鳥。
「でも……なんでこんなものまで持っているんです?」
シルヴィの所有していたチラシ広告には、あられもない姿のラミアやボンテージで着飾ったオークのかなり過激なイラストまで描かれていた。
シルヴィのような女性が所有するには、とても適さないゴミだ。
シルヴィの中の人は、腐女子なのだろうか……。
「ちがうからっ! アイテムコンプ目指しているだけで……!」
「それでよく、俺がエログッズ集めていて、最低呼ばわりできますよね?」
とまでは言わなかった。エリートプレイヤーにもプライドがあるだろうし。
「二手に分かれましょう!」
アグリは『ご優待券』を手に入れた。
☼
洋館へ向かう。
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