表街 下層
中央街からしばらく。舗装路の柄が変わって来ました。ただの石畳から少しおしゃれな模様の石畳に。とはいえ、あまり観光客のような人影は見当たりません。代わりに住人が多くいるようで、ここは住宅街のような箇所なのでしょうか。色とりどりの建物が天井から降るライトの光に照らされて薄暗く光っています。ほとんどの建物が住居のようですが、たまに不思議な雰囲気のお店を見かけます。看板を見る限り占いや古物商などのようです。まだ開店前の飲食店は大穴の労働者向けでしょうか。
だんだん人通りが増えてきました。通り沿いのお店も徐々に外観が豪華になってきています。たまに土産屋のようなお店に出入りしている人もいて、少しずつ観光地の様相が滲んできました。地図によるともう少しで中層に向かう昇降機に着くそうです。きっと、あの大きな筒がそうなのでしょう。
昇降機のすぐ下に着きました。しかし、昇降機は動いておらず、横に置かれている看板に紙が貼られています。その紙は時刻表のようで、それによるとどうやら上層に上がれる時間は大体三十分ずつに分かれていて、次が来るまでにはそれなりに時間がかかるようですね。ただここで待つのも時間がもったいないですし、近くのお店にお邪魔してみましょう。
通りを少し歩き、たまたま目についたお店に入ってみることにしました。どうやらここは、大穴で取れた鉱石などを売っているお店のようですね。青、金、虹と、色とりどりの石や金属が並んでいます。一通り品物を流し見していると、一つの石に目が止まりました。外見こそただの石なのですが…綺麗な小さい緑色の粒がいくつか。店主はこれに大した価値を感じていないのか…実際大した価値もないのですが、割高な他の石と違い、値段が低く設定されているようです。せっかくお店に入ったのに何も買わないのももったいないですから、これを買っていきましょう。
売れなくて困ってた、という店主に少しまけてもらった石を鞄に入れ、昇降機の方に戻ることにします。その途中に目を引くお店があれば、少し覗いていきましょう。ついつい寄り道をし過ぎてしまい、昇降機の受付のアナウンスが流れて走ったりもしましたが、無事に昇降機には乗る事が出来ました。先ほどまでいたお店たちがもう小さく見えます。鉱穴のほうから歩いてきている集団も見えます。中層、この街でもっとも賑わう層です。それも表街ですから、人通りも相当のものでしょう。地図も下層のことしか記載がないので、迷子にならないように、気をつけなくては。
まちあるき kurono_くろの @SW_kurono
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