中央街 下層

先程、地図上では中央街の地区に入りました。

砂塵が吹いていて、視界はかなり悪いですね。顔布があって助かりました。しかし、何故砂漠であるような砂塵嵐が起こっているのでしょうか?きっと、中央に着けば、その秘密も分かるでしょう。

横を見ると、風化した建物。ところどころ崩れていますが、積もった砂塵によって支えられて、建物全体が崩れることは無さそうです。

地面にも深く砂塵が積もり、歩きにくいです。しばらく歩き続けていると、十数人が張られた布の裏で休んでいました。体勢は、寝転がったり、座り込んだりと様々。その集団の、恐らく最年長の方がこちらにこいと、手招きをしています。布の裏に入った瞬間、強かった風と砂の重圧が消え、体が軽くなりました。布一枚ではありますが、効果、強度は充分のようですね。

手招きをしていただいた方によると、今日は普段よりも酷いのに当たったようだが、もうすぐ止む頃、とのこと。

言われた通り暫く待機していると、砂塵が晴れてきました。それと同時にここの全貌も見えてきます。先ほどのような布はそこかしこにあったようで、崩れた建物の影からぞくぞくと人が出てきます。天井は高く、隙間は見当たりません。恐らく、丁度列車が到着したのでしょう。ガタガタと天井が揺れています。私やこの人たちが目指している方向には、なんでしょう?大きな、機械のようなものがあります。遠目から見た感じだと巨大な掘削機のようです。近づいてみましょうか。

近づくと、その巨大さに圧倒されます。人が数人、縦に並んでもまだもう少し大きいくらいでしょうか?そんな機械がゆっくり、ゴウン、ゴウンと音を立てながら動いています。先ほどの人たちはこの機械が開けたのでしょうか、真ん中にある大穴に入っていきます。覗いてみると、思わず竦むような深さ。上から見ると、真ん中を避けながら蜘蛛の巣のようにトロッコの線路が敷いてあります。大量の砂、もしくは岩を積んだトロッコがたくさん行き交っています。下の方はまだ砂煙が立ち込めているようで、まるで見えません。

しばらく観察していると、警告音が鳴り始めました。念のため少し穴から離れます。少しして削岩機がゆっくり降り始めると、周囲の様子も慌ただしくなりはじめて、あまり長居していられなさそうな状況になってきました。穴からさがりながらもう一度ちらと見ると、入れ違いになるようにもう一台の削岩機が出て来ている所でした。

大穴を離れてしばらく。また、砂塵嵐が吹き始めました。大穴の方向に進んでいた先程とは違い今度は逆方向なので、そこまで苦労はしないで次の場所に辿り着けそうです。次は、下層最後、表街。下層街の中では特に観光客がよく入る場所で、環境整備もある程度為されているとか。地面の砂もまばらになってきて、久しぶりに顔布を外せそうです。

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