裏街 下層
検問所を抜けて、裏街とでも呼びましょうか、少し薄暗い区画に入りました。
左右には壁のような家が道を挟んで並びます。
集合住宅なのでしょう、大きい建物ですが、それでも過剰と言える人が出入りしています。
幸い、道が広く、渋滞するほどでは無いですね。
商店のようなものは見当たらなく、ただ様々な人々でごった返しています。
どこに繋がるか分からない家と家の隙間に入る方もいますし、路上で泥酔している方もいます。
たまに、部外者である私を物珍しげに眺めてくる視線を感じます。
しばらく進んでいると、広場のようなところに出ました。
真ん中の花壇を中心に円形になっている広場で、外側沿いには小さな屋台がいくつか出店しているようです。
長旅になりそうなので、ここで少し休みましょう。
設置されていたベンチに座ってゆっくり周りを眺めていると、広場に一つ、面白いものを見つけました。
客寄せ人形です。
首から屋台の看板を下げて、屋台の近くをうろうろしています。
たまに、蓄音器から店の宣伝を流しながら、愛嬌を振りまいています。
客寄せ人形のような機械人形は、この街のいたるところで使われているそうで、比較的高価ながら上層街では各家庭にあるほど普及されているそう。
なんだかたくさんの方々が並んでいる屋台があったので、試しに並んでみます。
小さめの屋台なのですが、見た目に反して繁盛しているようですね。
注文できるまでに何人も後に並んできていました。
さて、肝心の商品ですが、なんと水。
とはいえただの水ではなく、塩や砂糖を入れた特製の水らしいです。
ふむ、たしかにただの水とは味が違います。
並んでいた人に話を聞いてみると、公衆水道で飲める水はあまりいいものでは無いので、少しでもいいものを飲みたいそう。
水を飲み終わり、広場を後にすることにしました。
中央街に近づくにつれて、何故だか空気が悪くなっていっているような気がするので、念のため顔布をつけて歩くことにします。
地図を信じるなら、もう少しで裏街から出るでしょう。
砂によって地面の石畳がところどころ見えなくなっています。
中央街。
話によると、元々の街があった地区。
今はどのような状態になっているのでしょうか。
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