第2話この世界と繋がりたい

 斉藤という女性に電話をかけたら、後日会う約束をした。

 声の感じは低くくもなく、高くもなく一般的な普通の声だった。


 あれここでいいんだよな。

 待ち合わせ場所はリンゴを持っている女性の銅像の下となっていたが、待っても一向に現れない。

 この待ち合わせ時間が1番緊張する時間帯だ。

 時計の針を見ると既に30分近く待った時、携帯電話が突然鳴り通話ボタンを押すと「銅像の前にいますよ」 と連絡が入った。

 リンゴを持ってる銅像の前で最悪分からない時もあると思ったので、本当にリンゴを持っていて立って欲しいとお願いしたので、振り返るとリンゴを持った女性がいた。

「あ…あなたが斉……プハァハッハッハッハ」

 俺は初対面だというのに豪快に笑ってしまった。

 まさか本当にリンゴを持って来るなんて……「ぷっ」、いかんまた笑ってしまう。

「ちょっといきなり失礼じゃないですか?あってそうそう」

「す…すぷ…すいません」

 話しが中々進まないので、斉藤さんは俺の所をギロっと睨んだ。


「本題に入りましょう。と言っても俺もどうすべきか良く分かっていないのだけれど」

 俺があたふたしていたら、女性の方から話しをふってきてくれた。

「私に会う人を紹介してくれるってきいたんですが………まさかあなたじゃありませんよね?」

 それはあれだろう。

 俺の見た目がきもでぶオタクだからだろう。

「俺です」

「はい?」

 ちょっと早口で聞こえなかったんだろう。

 今度はゆっくりと。

「お…れ…で…す」

「すいません帰ります」

 斉藤さんは踵を返した。

「ま…ま……待てい」

 ラジカセをオンにして俺は上半身裸になり、BGMと共にどこかで見たお笑い芸人の踊りをマネし、一言「36億」と言った。

 斉藤さん以外も子供から大人まで、老若男女問わず俺のだらしないお腹プラスちょっとおけけが生えた身体を見ていた。

 公然わいせつ罪になりそうなので、急いでTシャツを着た。

 斉藤さんは他人のフリをして、人混みの中へ消えていった。

「へ…helpme」

 俺の声は届かず斉藤さんは完全にどこか消えていった。


 家に着くと携帯電話を取り出し斉藤さんに電話をかけたが、機械音だけが鳴り続け出る事はなかった。

 斉藤さんは俺を怒らせてしまったようだ。

 あのきもでぶオタクならどんな事をしても怒らないと思っているのだろう。

 俺のムカつくランキング上位に入る無視しやがった。

 俺は俺中心の世界を作ると決めた。

『カタカタ』とノートパソコンを開き掲示板に書き込みをした。

 分からせてやるよ。

 俺はこの世界と繋がってる事を。

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それでも世界はまわっている てるた @teruo0310

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