第7話
翌日、サラはジャヒードに連れられ、大聖堂へとやって来た。
荘厳な正面にはいくつもの彫像が飾られ、素晴らしい荘厳さだ。
内部に入ってみると、天井は高く、神々しい雰囲気に溢れていた。
信者のための長椅子がずらりと列を並び、奥に供物が山と積まれた美しく浄められた祭壇があった。
祭壇上には星を象ったと思える黄金の五芒星形のモニュメントが、高い窓から煌めく五色の光りに反射し、まるで虹彩に溢れたダイヤモンドのように輝いていた。
「これはジャヒード様。良くお越し下さいました」
内陣から慌ただしく現れた司祭が、小走りに近づき挨拶した。
「ご機嫌よう、ウェンツ司祭殿。昨日知らせた通り、この娘の鑑定をお願いしたくてね」
司祭はもみ手せんばかりに激しく頷き、
「はい。お聞きしております。では鑑定の間にどうぞ」
三人にシスターを交えて、奥まった鑑定の間へとやって来た。シスターはなにかあったときのためだ。
司祭はサラを祭壇の前に導いた。
祭壇には大きな円形の鏡が飾られていた。
「これ、なんですか?」
サラが不思議に思ってウェンツ司祭に訊ねると、彼はにこやかな顔になって説明した。
「これは、照応鏡、または”真実の鏡”と申します。鑑定を望む方は皆、この鏡に己の霊体を晒さなければならないのですよ」
サラは促され、鏡の前のクッションに跪いて手を組むよう言われた。そして、司祭に促され、じっと鏡を見ていると、意識が遠くなった。
………………………………
……………………
…………
Nou, je bent hier
――え……
Ei bine, ești aici
――なに……
Ну, ты здесь
――なにこの声……
ٹھیک ہے، آپ یہاں ہیں
――あれ……
Ну, ти тут
――えーっと……
よく、いらっしゃいました
――なに……
――あれ日本語かな?
Wellcome
――あ、英語?……
使用言語の適正化完了 登録者IDは未確認ですが
――え、えーと……
――なんか……
残念ながら訪問者の霊魂パターンは開拓者住民台帳に登録されていません
よって非一般転送を使用した渡航証明不所持の不法入境者に分類しました
それでは自己紹介させていただきます
私は
MaZar8001 "マザー"です
――えっと、サラです……
――サラ・ミンデル……
――よろしくね……
よろしくお願いします
さっそくですが この後の登録手続きを簡略にするため
訪問者御本体の情報取得と霊魂特性パターンの分析をさせていただいてよろしいでしょうか
なにそれ……
それではご説明いたします
現在 あなたは
登録のためには個人の承諾を確認後 輪廻と呼ばれる
同意された場合 台帳登録の上 渡航証明の発行がされまして
この惑星での住民サービスと各種バックアップが可能になります
――え、移民登録みたいな感じかな……
端的に要約するとそうなります。
――あの、バックアップとか住民サービスって、なに?……
ではご説明いたします
住民サービスについては三点ございます
第一はスキルの実装化です
――スキルって……
――なに?……
スキルとは 成長あるいは経験することによって獲得される個人特化技術です
種類は多岐に渡りますが、ご本人の職業に益するスキルを付与させていただきます。
スキルは成長と経験で取得数が増えます
例えば
農業に従事する場合
土壌改善のための土中窒素の固定のため 地属性スキルを取得でき
成長促進のスキルへと発展させることなどが可能です
――なるほどね……
第二点は
――ライセンス……
――運転免許みたいなもの?……
これも職種全般にありますが、開拓事業に貢献するほど高度なものとなります
先ほどの農業について申し上げますと
新種改良のための研究などの許可資格 生態系の保全と育成などの研究資格などがそれに当たります
取得された場合 優先的に資材人材の提供が為されます
――開拓事業……
――ん?……
では第三点は
当方ではご本人の適性にかなった職業をお勧めしますが
ご本人が違う職業を選択された場合にも
開拓事業に貢献する限りにおいて職業を実行していくにあたって必要となる援助と助言を提供させていただきます
――ね、開拓事業とか、この惑星とかって、どういうこと?……
………………
――わたしもこの環境が
――いったいぜんたい、どうなってるの?……
では環境説明をさせていただきます
この惑星は連邦宇宙軍名称アヴァタール
惑星座標は
エリダヌス座ベータ&ラーン星系第八惑星です
――え!
――違う星ってことなの!…………
――え――!……
――なんでこんなことになったの!……
…………
…………
被験者の心拍に異常を検知しました
いったん対話用時空フィールドブースを凍結
訪問者の身体活動諸元値が適正になるまで
鑑定作業を
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