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目次
歯
歯が痛い
緊急で医者に行く
出張先だったので
行き着けでもない
待ってもらいますよ
そう言われた
しかたあるまい
7時半まで待った
歯医者は閉まる時間だ
やっと呼ばれた
この歯とこの歯も怪しいな
一応レントゲン取りましょうか
そういってレントゲンをとる
やっぱりそうですね
麻酔するんで痛いですよ
そういって麻酔をかけていく
痛くないほうまで麻酔をかけていくので
先生そっちはいいですよ
いいからまかせておきなさい
うがい終わったらこれだけ一杯飲んでねと言われた
なんだろう？ただのみずに感じたが
このあたりから私の意識は遠のいていく
目が覚めると9時だった
まだ麻酔がとけない
かけすぎなんだあの医者め
あくたいついて
立ち上がった
看護婦にもうかえっていいか聞く
上手くしゃべれない
これは麻酔がきかないというより…
恐ろしさのあまり
でも確かめずにはいられず
舌でぐるりと歯をなめまわす
ない
俺の歯がない
ひとつもない
看護婦にいいよる
これはどういうことなんだと
ただ看護婦は先生はこの歯もためだ
この歯も駄目だといいながらぬいていきました
と応えられた医者を呼んでこい！！
舌足らずな言葉で語気を荒くしても
迫力も何もない
先生が降りてきた
これはどういうことなんだというと
全ての歯をチェックしましたがつかえるものじゃありませんでしたので
そうそうめげずに
歯なんてあるから痛むのですよ
なければ楽なものです
今度来た時は入れ歯のチェックをしましょう
予約とって帰ってくださいね
さすがに2時間残業は疲れますなぁ
のんきなことを言う
私は真っ白になった
抜いた歯は戻ってこない
訴訟を起こすにも
彼のカルテは真っ黒になっていた
私の歯が駄目だと言う証だ
そうだレントゲン
レントゲンをよこせ
撮ったはずだ
何の話かな
君の歯はレントゲンをとる必要もないくらい
ぼろぼろだったではないか
私はゴミ箱をあさる
どこかにあるはずだ
私の歯が生きていた証拠が
散らかされては困りますな
看護婦が二人かかりで止める
全部ごみ箱はチェックなさったでしょう
気がすんだらお帰りください
訴訟を起こしてやる
歯を抜いた慰謝料は払ってもらうぞ
そういって私はその歯医者を後にした
予約は取ったものの
歯医者には行かなかった
もともと出張先である
行きつけの歯医者でその話をすると
あー確かにありましたねそんな医者が
何でも抜いてしまうことが有名で
でももう廃業してるはずなんですがね
廃業も何も実際俺は歯を抜かれた
客だって来てたぞ
いわゆる都市伝説みたいなものなんですがね
本当に歯がありませんね
入れ歯を作るしかありませんね
どういうわけかわかりませんが
最近の入れ歯は精巧ですし
気を落とさないでください
気を落とすどころじゃない
鼻息荒く
弁護士をつれて入った歯医者に行く
愕然とした
本当に廃墟だった
くもの巣もいくつもかかり
ぼろぼろのカーテンから見えるのは
確かにあの日の病院だった
弁護士も相手が居なくては訴訟もおこせないと
帰って言った
俺の歯はどこにきえてしまったんだろう…
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