陸上部の彼

どうしたらいいのだろう?

そんなことを考えながらチョコを溶かしていた

1年上の先輩

接点なし

いつもグランドを走る姿に憧れていた

バレンタインデーに告白を!

ありきたりだがそんな計画を立ててみたりする


始めてチョコを溶かしたのは小4の時

食べれこそするもののプレゼントにはちょっと…

そんな出来栄えだった

あれから毎年作っている

もうお手のものだ

ビターとミルクを合わせて味の調節までできる

なかなかの大進歩だと思う


しかーし

告白となるとわけが違う

ハート型にメッセージじゃありきたりだし

なにかの冗談と思われてしまうかもしれない

それではこまる

結局砕いたナッツをいれボール型にしていく

チョコだけではインパクトが弱い

なにより甘いものが好きか嫌いかも知らない

なのでお小遣いを奮発して

運動靴を買った

陸上部で走り続けている彼にとっては必需品

年に何足はきつぶしてるかもしれない

サイズは確認済み

私が調べたわけじゃないが

れい子の情報はいつも確実だ

下駄箱さへ確認できればサイズの確認なんて楽ちん

と言っていた

私なんてドキマギして先輩の下駄箱

のまえで先輩が来るのを待つなんてできないけど

上級生の下駄箱の前でぶらぶられい子はしてみせる

兄が2つ上にいて同じ陸上部なので

そっちからも情報が入ってくるのかもしれない

どちらにしろ

苦しい時の友頼みである


そして本番

まずはれい子にチョコを渡す

ただ働きをさせたわけではないというより

れい子は無類のチョコ好きなのだ

ポッキーから始め板チョコまで市販のチョコは

知り尽くしている

今回私が溶かしたチョコも手作り用チョコじゃない

しっかり溶けて塊も上々だがそれではものたりない

市販の美味しいといわれるチョコを溶かして作った

失敗しがちだがそこは毎年のことクリアーした

それより現状

れい子にひっぱられ先輩の教室に来ている

なんでれい子は上級生の教室の前で堂々としているのだろう

私なんて逃げ出したくて仕方ない

そでぐりつかまれてるから逃げれないけれども

ひとり教室からでてきた所ですかさず

れい子は先輩を呼んでもらう


いよいよだ

くるいきなり

「チョコ?」と発言する先輩

「しかしでかい袋だなぁ」と覗く

「あれ下にでかい箱入ってるじゃん

まさかこれ全部チョコ?」

「いえ、その、靴です。走るなら何足あっても足りないかと」

「ふーん、それでおれの下駄箱覗いてたのか」

「あれ?ばれちゃってる?」とおどけてみせるれい子

「当たり前だすれ違いざま下級生が走って自分の下駄箱みてるんだ

ばれるだろう。てっきり手紙でもしのばせたのかと思ったよ

なかったけどな」

「で、結構俺もてるんだけど陸上以外に興味ないし

女と付き合って長続きしたことないんだよね」

「これはもらっとくけどそーゆことで」

あーあーいっちゃうと思った瞬間声がてた

「じゃ、邪魔にならない範囲でいいんです。

好きだから側にいたい近くでみていたいんです

マネージャーとか考えたけど

それじゃ先輩のこと特別にできないし

好きなんです。少しだけ今より近くにいさせてください」

「あのね。女の子は男もだけど好きって感情がはいると

独占欲が生まれるの?見てるだけでいいなんて

最初のうちだけだよ?そのうち時間を割いてほしいと思うようになる

そん時俺は誕生日だろうがクリスマスだろうが走ってるんだよ?

だいたいそれで別れる。正直面倒なんだよもう。こりごりと言ってもいい」

「ふーん。逃げるんだ?」

れい子がとんでもないことをいいだす

「れいちゃん。そんな言い方…」

「里子は黙ってて。陸上やりたいから女とつきあえない時間がさけない?

ふざけるのにもいい加減にしなさいよ

陸上に逃げてるだけじゃない。ほんの少しの思いやりがあれば繋がるはずよ。

自分の欠陥陸上のせいにして女と付き合うのが悪いんだこりごりだ?

餓鬼みたいなこと言ってるんじゃないわよ!

うちの兄貴は小学生のころから走ってるけど中学でしりあった彼女と

学校も違うのにいまでも交際してるわよ。

今は携帯だってメールだってあるんだ5分10分の時間が割けないのは

あんたが割く気がないからよ。そんなのスポーツのせいにしないでよね」

「行くわよ里子。あんたにはあいつはもったいなさすぎる」

そしてずんずんひっぱられて教室にもどってきた


「れいちゃん。言いすぎだよ。先輩かわいそう。一生懸命走ってるのに」

「スポーツ選手がみんな恋愛できないなんてあるわけないじゃない

プロに入ったって結婚してる人は沢山いるわよ

ようするに身勝手だから続かないってこと。つきあう必要ないよ」

「れいちゃん?」

「あーくちは災いのもとってね私も短気だわねぇ

こんなに美人なのに彼氏と長くは続かない

私なら誕生日もクリスマスも走ってるなんで豪語するやつ付き合えないわ

よいしょよいしょしてくれなければねぇ。男はそれができない

だから私は数撃ち当るの毎回彼氏が違ういけず女なんだわ

でも将来は絶対ひとがうらやむほど優しくてできた彼氏持つんだから」

「れいちゃんは女の子には優しいのにね」

「男にも優しいですよ?癇癪さへおこさせなければね」

「はーっ。そっか、どーしょ」

「まだ好き?」

「うん」

「気持は伝えたんだ。後は向こうが折れるまで待ちなさい。

なまじもてるから、つきあいたいと思わないんだよ」

「れいちゃんはフリーならいつもOKするくせに」

「こりごりしたらいい奴のがすかもじゃない」

「そっか」

「そうだよ」


それから私は毎日さく越しに彼の姿を眺めていた

私の思いが成就するのは

それからしばらくかかってのことだ

今の私はそれを知るよしもなく

ただ失恋したかなと悲しんではれい子にはげまされていた

というかれい子のくちからでる先輩像は100年の恋も冷めるようなものだった

よくめげずに彼をみつづけたなと後で思うことになる

もちろんれい子とは大学でたあともつきあっていくことになる

それもこれも知ることなくそれなりの青春を謳歌していった


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