時は無限の輪廻

不法侵入者発見


家族揃いで帰って来て

動じずどうどうとしてるその少女を皆で見つけてしまった


「お前は誰だ!」


少女は動じずに胸を張り答えた

「サンタクロースよ。見れば解るでしょ。

最近は私たちの仕事は忙しくて少女の私まで駆り出される始末だわ」


家族みんなキョトンとした

最初に怒り声をあげたのが父親

「あほか!空を車が走る時代だぞ?この世にサンタクロースなんていない

過去に着古された赤い衣装なんてもうイブの今日でも着る奴は居ない

本当にサンタなら赤い鼻のトナカイとソリとでかいプレゼント見せてみろ!」


少女は余裕なすまし顔で答えた

「良きかな。良きかな。サンタクロースがどんなものかちゃんと知ってるじゃない。

お父さんえらいわねぇ。

でもね、さっきお父さんが言った通り今や空に車が走る時代なの

そんなイメージ持たれてもね、正直困っちゃうな」


そう言うと手をくるりんと回して手のひらを上に向ける

手のひらの上には一つの箱が乗っかっていた

それを持って父親に差し出す少女

「一家にひと箱だけの特別サービス

家族で本当に欲しいものが3つだけ手に入るわ」


そう言うと男の子がぐずる

「かぞくで3つだけーっ。ぼく欲しいもの沢山ある」

少女がとても優しい顔をしてまだ小学にも上がらぬだろうその男の子の頭を撫でた

「そーゆものはパパにおねだりしなさい。ほしいものはもっと尊いものよ」

そう言うと少女は腰を曲げてた姿勢を正し、指を鳴らす

あっという間に幻のようにかき消えてしまった。


箱はある。

夢ではないらしい

狐にとり憑かれたような顔を家族でして箱を開けてみる

中には一つのキャンドルが入ってるだけで何も他にはなかった


おとうさんはキャンドルに火をつけ

「ふん、本当に欲しいものが3つ手に入るなら金と名誉と永遠の命よこしやがれ」

たしなめるようにお母さんが

「おとうさん。それはお父さんのものだけではないですか。私は3日でいいから本当の休養が欲しいわ」

上の女の子が声をだす

「親だけずるーい。私だって演奏会が近いのよ。失敗しないことを願いたいわ」

女の子に撫でられた男の子が言う

「そんなことどうでもいいよ。早くスキー場に向かおうよ」


「そうだな、変な化け物みたいなのが置いてったもの何も反応無いし遊んでても仕方ないな」

そして家族はそそくさと各自、帰ってきたばかりなのに今度はスキー場で

クリスマスと正月を過ごすために準備に取り掛かった

もう忘れられてたと思ったキャンドルは小さな男の子が自分のリュックに入れました


「坊やは怪我無いのか?正気か?喋れるか?」

「うん。でもパパやママがお姉ちゃんが・・・」

「あー、もう死んでそうだな。すごい出血と火傷だ・・・おい!脈がある!全員だ・・・早く救出だ!!」


慌しい中救出活動が空の中行われます。男の子も注射を打たれ眠らされ家族と一緒に運ばれました

手に抱えたキャンドルは救助隊員の手に渡ります


病院に連れて行った。救助隊員が言います

「あの家族は助かったが他の連中はほぼ全滅だった・・・あの家族とて五体満足ではおられまいな」

キャンドルを弄んでた。隊員が言います

「そんなこと言うなよ24人中助かった唯一の4人だ。何事もない生活にも取れる健康を返したいものだ」

キャンドルが突然燃え盛ります。うっかり落としそうになった隊員が・・・びっくりして見つめます

「熱くない・・・こんなに明るいのに・・・」

「何かのしかけランプか?それにしちゃろうそくの芯にしか見えないな。電流が流れてるようにも見えん」


ろうそくを持ってた消防隊員がほおけたように言います

「奇跡のサンタクロース・・・・・・」

「はぁ?」

「俺、爺から聞いた事ある。サンタクロースは存在するって・・・

ただし昔のように平和じゃないから・・・サンタクロースは趣旨を変えて奇跡を配る様になったって」

もう一人の消防隊員が呆れたようにいいます

「おいおい、そんなの信じてるのか?」


「おれ奇跡の子だから・・・川に流されたんだ。救助隊に助けられたのは2日目。生きてたのが奇跡さ

お棺の中で息を吹き返した・・・リハビリも無く元気に育ったのはサンタクロースのおかげだって

爺がよくはなしてくれてたから・・・おかしいだろう?事故の中心で暴走者の直撃を受けてるのだぜ?

あの家族は奇跡としか言えないだろう」


「まぁ・・・なぁ・・・普段ありえない血液の輸血まで調度手に入って母親も助かったしな・・・

でもそれが奇跡のサンタクロース?俺には信じられないな」

「とにかく・・・このろうそくは坊やに返してこよう」


家族はクリスマスも正月も豆まきもひな祭りも台無しにしましたが無事に退院の日がきました。

「3カ月は長かったわね。あの子はどうしてるかしら?」

「先に退院してるのよね弟?施設?」

「国が動いたらしいからそうだろうな」


家に帰ると少年がニコニコ笑って家族を迎えに来ました

母親がびっくりして

「一人でずっとここで暮らしてたの?」

男の子は首を振りました

「ううん、さっき施設からサンタのお姉ちゃんに連れてきてもらったとこ」

そう言うと俯いて涙を流します

「ほ・ん・と・・・よか・・った。みんなふつうにげんきだ・・・」

家族は末っ子のその言葉に胸が熱くなり駆け寄ろうとします


それをサンタクロースの少女が

「来ないで!!もう契約はなされたわ。この子に近づけばこの子は貴方達が背負った不幸を

一人で背負って死ぬことになる」


びっくりして家族の動きが止まります

男の子が言いました

「ごめんね。ぼくよっつめのお願いしちゃったの。

きうじょのひとでもない、けいさつのひとでもない、しせつのせんせいてせもない

サンタクロースになりたい!!って・・・だからぞくせとかいうのにはもうもどれないのだって」


今度は少女が口を開く

「どんな奇跡も私は起こすわ。ちょっとばかり優秀でね。そのろうそくも強いものだった

でも3人の人間の命と健康とそして本来元に戻れる為にかかる時間の短縮

それは私だけの力じゃ無理なはずなの・・・調べたら・・・

奇跡の心を持つ子が2人係わってた。それでおわりのはずだった。私の仕事はね・・・」


男の子は家族にごめんなさいする

「だけど僕は4つ目の願いを唱えちゃったんだ。サンタクロースになりたいって」

そう言うと子供の姿から少年の姿になった


家族は信じられないという顔をする

「そんな顔しないで・・・ちゃんと僕だよ・・・

ただパパママの子供のままじゃもう居られないみたい

祈ってて?沢山の奇跡を起こしてくからこれから沢山沢山」


「どんな奇跡を犠牲にしてもママは貴方に傍に居て欲しい」

「そうよ私だって弟がずっと欲しかったのよ」

母と姉がいう

「サンタクロース・・・これは罰かお前を受け入れなかった私への」


少女が言う

「サンタクロースは罰なんか与えないわ」

「でも・・・ろうそくの奇跡は・・・悪いけど私がどんなに優秀でも私だけじゃ起こせないのよ

「そして禁句の願いを貴方の息子は唱えちゃった・・・」


怖い顔で父親が問う

「優秀な貴様が願った奇跡とはなんだ」

「聞かない方がいいと思う・・・」

「答えろ」


「世界は一度滅んでるわ・・・一族全ての生贄にしてもいいから滅びゆくこの世界を元に戻して」

「・・・第三次世界大戦の奇跡か?核が世界を覆い大陸は割れ生命は根絶やしにされたかに思われた・・・

私たちあらゆる命は何かに導かれその中で奇跡の場所をみつけたのだったな・・・導きの者か?」


少女は首を振る

「導きの者は・・・奇跡の者じゃないは聖者よ。私は一族を導くはずだった、ただの子供

でも力が強すぎた。一族は確かに滅び。死に絶えたはずのこの星に生きる場所を生みだし

聖者を生みだしあらゆる生き物を導くものとした。そして再生を世界は果たした・・・その3つが私の願い


それを確認すること無く一族の後を追ったはずの私は一人のサンタクロースの願いで

サンタクロースになることになった・・・」


サンタクロースの少女ととサンタクロースになる為の少年は戻るべき場所に戻った

「・・・僕だね・・・君をサンタクロースに導いたのは・・・」

少女はまじまじと男の子だった少年を見る

「どうしてそう思うの?」

「お姉さんは言ったサンタクロースは願ってなれるものではないと・・・

そしてサンタクロースは導き手によって選ばれる

自らサンタクロースになれるのはサンタクロースの導きてだと・・・」

「導き手は少ないけど・・・貴方だけじゃない」


「でも・・・僕だよね・・・過去現在未来を自由に行き行きする僕たちは・・・

僕は・・・自分の家族を助けたいから・・・過去まで行って君を連れてくる・・・きっと」

「サンタクロースに成りたてでそこまでわかるなら・・・もうわかるよね?」

「うん。僕と君はアダムとイブだね・・・食べてはならない果実を食べた・・・」

「私が滅びに導いた一族も・・・」

「古いサンタクロースたちと魔女だね

二人で今のサンタクロース作り上げたんだね?力ある者たちを探し出し導いて・・・」


「・・・ごめんね。貴方は助けられた家族の中で子供でいた方が幸せだったはず

男の子の願いは聞かれなく済んでしまえばよかったのに私は聞いちゃった」

「仕方ないよ。世界を滅びから救う為に君は僕を必要として

僕は家族を救う為に君を必要として・・・空間と時空をねじ負けで無限の輪を生みだした」


少女がビクンとして俯く

少年が真面目な顔で答える

「隠さなくてもいずれわかるよ。君が力が強くても君一人では世界は救えなかった

だから僕を迎えに来たのだよね・・・」


「怖いな・・・さっきまでただの男の子だったのに覚醒させた途端これだもの」

「一つだけ聞いていい?サンタクロースじゃなく魔女の巫女の力に・・・この世界はどこへ向かってる?」

「再び滅びに・・・」

「君はまた滅びから救うの?」

「・・・わからない。自分のもっとも大事な物を捨てて救った世界の今が救うに値するか・・・

それに私にはもう捨てる・・・犠牲にできるものがない・・・」


「・・・祝おうか?」

「???滅びゆく世界を?」

「違うよ。覚醒するとともに思いだした。クリスマスの祝い方」

「もう4月よ?」

「別にいいじゃん」

「変な子ね」


クリスマスの約束

「?なんか言った」

「ぼくは何も・・・だけど聞こえたね」

約束だよ

クリスマスイブの日までに思いだしてね

「やはり聞こえるね」

「うん」

「思いだすまでもない」

「ああ、刻み込まれてる。なにを犠牲にしてももう離れないと誓った最初の時は」

「でも、なにの声」

「ああ、君はまだ不完全な記憶のままだからね。イエスが生まれる日だよイエスの声だよ」

少女は不思議そうな顔をする

「ぼくたちは本当に長い旅路を永遠に繰り返してるのさ。君にはいろいろ封印してある秘密がある」


ごめんね。封印は解けないよ。二人の約束は守られないから

こうして君が僕を見つける日までまたいつか離れ離れになる・・・


でもさらにいつか同じように出会うから・・・


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