第一部 第四十九章 光、色、ロウソク、ランプについてと、各色は、どの星、黄道十二宮、四大元素に所属するのか

 光は形を取る性質が有る。

 光は単一の作用である。

 光は理解の表れである。


 第一に、神の精神は光を全てのものに放射している。

 実に、光の父である神では、光は第一の真の光である。


 第二に、神の子イエスでは、光は美しい満ちあふれている輝きである。


 第三に、神の聖霊では、光は、全ての知的存在である善良な霊的存在を超越している、燃える輝きである。

 さらに、偽ディオニュシオスが熾天使セラフィムについて話しているように、天使では、光は、放射されている、輝く知性である。

 天使では、光は、思考の全ての限界を超越している、満ちあふれる喜びであるが、光を受け取る知的存在である善良な霊的存在の性質に応じて、光は色々な度合いで受け取られる。


 第四に、光は天体に降下する。

 天体では、光は、命の貯蔵庫と成る。

 天体では、光は、効果的な伝達者と成る。

 天体では、光は、目に見える輝きと成る。


 第五に、火では、天が、ある自然の活力を光に吹き込む。


 第六に、人では、光は、思考力での明確な会話である。

 人では、光は、神のものについての知である。

 人では、光は、完全な理性である。

 しかし、アリストテレス学派の人が持つような肉体の性質のためか、より正しくは、光をもたらす神の善い神意のため、光は多様である。

 神は、思い通りに、光を全てのものにもたらす。(神は、人に応じた光を人にもたらす。)


 光は、想像へ移動するが、感覚を超越していて、想像できるだけである。

 光は、想像から感覚へ移動する。

 特に、光は、想像から視覚へ移動する。

 視覚で、光は、目に見える明るさと成って、肉体の他の明るい部分へ広がる。

 肉体の明るい部分では、光は、色と、輝く美しさに成る。


 しかし、肉体の暗い部分では、光は、特定の助けに成る創造的な力と成る。

 光は、中心に浸透する。

 中心では、光線が狭い所に集められて、光は暗い苦しめる燃える熱と成る。


 そのため、全てのものは、自身の収容能力に応じて、光の命の力をとらえる。

 光は、命をもたらす熱を光に加えて、全てのものを透過して、光の性質と力を伝える。


 このため、病人の尿を病人の影にばらまく事と、病人の尿を太陽や月の光にさらす事を、魔術師達は禁止した。


 なぜなら、病人の尿を透過した光は、病人の体の有害な性質を健康な人の肉体に伝えて作用する。


 そのため、魔術師は魔術の道具を自身の影で覆うようにする。


 このため、ジャコウネコは犬の影に触れて犬を黙らせる。



 また、ランプ、たいまつ、ロウソクが人工的に作る光が存在する。


 星々の法則に従って適切に選んだ特定のものと油で、星々の調和に従って星々に囲まれて作られたランプ、たいまつ、ロウソクは、灯すと輝き、人々が不思議に思う天の結果を常にもたらす。


 交尾後の雌馬の有害物質をたいまつで照らすと、馬の頭の奇形の光景を現す。

 とプリニウスがアナクシラスの話から引用しているように。


 同様に、交尾後の雌ロバの有害物質をたいまつで照らすと、ロバの頭の奇形の光景を現す。


 ハエを混ぜたロウソクは、灯すと、ハエの奇形の光景を作る。


 蛇の皮をランプに入れて灯すと、複数の蛇の光景を現す。


 ビンを、花盛りのブドウの木に縛りつけて、油で満たし、ブドウの実が熟すまで放置して、ビンの油をランプに入れて灯すと、ブドウの光景が見られる。


 同様に、ビンを、花盛りの果樹に縛りつけて、油で満たし、果実が熟すまで放置して、ビンの油をランプに入れて灯すと、果樹の光景が見られる。


 セントリー、ハチミツ、タゲリという鳥の血を混ぜてランプの中に入れて、灯すと、ランプの周りに立っている者は普段より遥かに大きく見えるであろうし、晴れた夜に灯すと、相互に星々をばらまくように見えるであろう。


 イカのスミにも同様の力が存在し、

イカのスミをランプの中に入れて灯すと、黒人達の光景が現れる。


 いくつかの特定の土星のもので作られたロウソクを灯して、最近、死んだ人のくちの中で消火すると、以後、灯すたびに、ロウソクの周りに立っている人々に悲しみと恐怖をもたらすであろう。


 同様のたいまつやランプについて、

ヘルメスは話しているし、

プラトンは話しているし、

「キラニデス」に記されているし、

アルベルトゥスは論文に記している。



 また、色は、あるしゅの光である。


 ものに色を混ぜると、色に対応する星々にさらす事に成り、ものを星々と対応させる。



 私、コルネリウス アグリッパは後で、惑星の光の色について話すつもりである。

 惑星の光の色は、恒星の性質を理解させる。

 惑星の光の色は、ランプやロウソクの火に応用できる。

 しかし、私、コルネリウス アグリッパは第一部 第四十九章では、下の混合物の色と惑星の対応について話すつもりである。



 黒色、透明、土色、鉛色、茶色は、土星と対応している。

 サファイア色、空色、緑色、あざやかな色、紫色、やや暗い色、金色、銀色混じりの色は、木星と対応している。

 赤色、焼けるような色、火の色、燃えるような色、青紫色、紫色、血の色、鉄色は、火星と対応している。

 金色、サフラン色、紫色、明るい色は、太陽と対応している。

 白色、金色や白色、不思議な色、緑色、赤色、サフラン色と紫色の中間色は、水星と金星と月に対応している。

 (とコルネリウス アグリッパは考えている。)



 黄道十二宮では、白羊宮と天秤宮は、白色と対応している。

 金牛宮と双魚宮は、緑色と対応している。

 双児宮と宝瓶宮は、サフラン色と対応している。

 巨蟹宮と磨羯宮は、赤色と対応している。

 獅子宮と人馬宮は、ハチミツ色、黄褐色と対応している。

 処女宮と天蝎宮は、黒色と対応している。

 (とコルネリウス アグリッパは考えている。)



 四大元素には色が存在する。


 四大元素の色によって、自然学者は、自然の性質について判断している。



 冷たさと乾燥の原因である土の色である茶色と黒色は、四体液説の黒胆汁、陰気な性質を表す。

 白色に近い青色は、四体液説の粘液を表す。


 なぜなら、冷たさは白色をなすし、湿気や乾燥は黒色をなす。


 赤みがかった色は、四体液説の血液を表すが、火の色、燃えるような色、焼けるような色は、四体液説の黄胆汁を表す。


 黄胆汁は、希薄で、他の物と混ぜるのに適しているので、多様な色をもたらす。


 黄胆汁を血液と混ぜて、血液が最も支配的に成ると、黄胆汁はバラ色をなすが、黄胆汁が支配的に成ると、黄胆汁は赤みがかった色をなす。

 黄胆汁と血液が均等に混ざると、黄胆汁は、わびしい赤色をなす。


 黒胆汁を血液と混ぜて、黒胆汁と血液が均等に混ざると、麻の色をなす。

 血液が支配的に成ると、赤色をなす。

 黒胆汁が支配的に成ると、やや赤い色をなす。


 黒胆汁を黒胆汁と混ぜると、黒色をなす。


 黒胆汁を粘液と混ぜて、黒胆汁と粘液が均等に混ざると、麻の色をなす。

 粘液が支配的に成ると、泥の色をなす。

 黒胆汁が支配的に成ると、青みがかった色をなす。


 粘液を粘液と混ぜて、均等に混ざると、淡い黄色をなす。

 均等に混ざらないと、青白い色をなす。



 さて、絹、金属、明瞭な物体、宝石では、全ての色は、より有力である。

 色が天体に似ている物では、全ての色は、より有力である。

 特に、生物では、全ての色は、より有力である。

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