第31話
******************************************
《特殊イベントのお知らせ》
本日の深夜零時より、ゲーム内イベントを開催致します。
期限は本ゲームのサービス終了まで。
【イベント内容】
三日に一度、メイダスと日本の両陣営よりプレイヤーが三人づつ選出されます。発生時刻はランダム。選出されたプレイヤーは、特殊イベント空間に強制誘致となります。
【特殊空間内での概要】
マップ中央の【シンボル】に触れることが勝利条件。勝者はそのとき参加している敗者の中から、ひとりを選んでロストさせることができます。
また、シンボル接触前にどちらかの陣営プレイヤーが全員ロストしていた場合、残った陣営の勝利となります。(生き残ったプレイヤーは勝敗が決した後に、通常マップへと送還されます)
みなさまのレガリアワールドオンライン2ライフが、楽しいものでありますように。
運営一同
******************************************
レガリアワールドオンライン2にログインするとメールアイコンが点滅していた。開くとこんなお知らせが。
このタイミングでこんなタイプのイベントを盛り込んでくるとか、作為を感じずにはいられない。僕が隠し要素を発見した件と、絶対に関係があると思う。
「ほわっ?」と声を上げて、近くにいたプレイヤーさんが消えた。あ、これ誘致されたな。ということは……、今日のイベントはこれで終了と見なして大丈夫だろう。心置きなくレベルアップに励める。
冒険者ギルドで紹介してくれるらしい個別ダンジョンに、行ってみたかったんだよね。
「すみません、個別ダンジョンを紹介してほしいんですけど」
「二人以上四人以下のパーティを組んでから再度お申し込みください」
NPCの受付嬢に話しかけると、そんな返答が返ってきた。ソロで行けないなんてボッチにはキツい。
「
「いやいや、勇者と組むのは俺だ」
「私なら前衛も後衛もできるわ。猥談もお好みに応じて」
「ちょっとちょっと。こしあんくんに用事があるなら、マネージャーの私を通してよね」
僕と受付嬢の会話を聞いていた人たちが、名乗りを上げてくれた。どうやらPKを倒した件が、高感度アップにつながってるようだ。前作では序盤のボッチがデフォルトだったけど、ここではパーティを組めそうで嬉しい。で、さり気なく沸いてる地雷のテフロンさん、いつからマネージャーになったのかな。
「みんなありがとう。一斉にパーティー申請を送るから、受諾の先着順で決定するよ」
若干、上から目線な気もするけど仕方ない。早く個別ダンジョンに行きたいからね。
結果的に今回パーティーを組んでくれるのは、僕を合わせて男性三人、女性一人の構成になった。しっかり含まれてるテフロンさんは、安全距離を測る以外に早押しも得意らしい。
「改めて、個別ダンジョンを紹介してください」
「かしこまりました。どのランクに挑戦いたしますか? 尚、皆さまの合計幸運値が50以下の場合、稀にダンジョンが変異します」
「変異って?」
「従来の等級より、難易度が高くなります」
「それってキャンセルできないんですか?」
「転移魔法陣に乗れば、すぐにここまで戻ってこられますよ」
「じゃあ、安心……なのかな」
「どうでしょうか」
受付嬢の不穏な台詞が終わると同時に小窓がポップアップ。
・初級ダンジョン:推奨パーティレベル10
・中級ダンジョン:推奨パーティレベル30
・上級ダンジョン:推奨パーティレベル60
・超級ダンジョン:推奨パーティレベル90
※ダンジョンルールは等級によって変化します。
パーティ内で一番レベルが低いのはテフロンさんだけど、他のプレイヤーさんも大して高くない。何度も挑戦できるようだから、まずは安全に攻略したい。
「初級に行こうと思うけど、それで大丈夫?」
「ワシは何でもええけん」
「拙者も同じくでござる」
「私はぁ~、中級でも良いかな~みたいに思ってるんだけどぉ~」
今回一緒にプレイしてくれるパーティが決まった。広島弁のジャケンさんと武士口調のゴザルさんだ。
「よし、じゃあ初級にするよ。みんな宜しく~」
「こしあんくん酷い! 私の意見が反映されてないわよ」
「いや、だってテフロンさんだし」
「私の身を気遣ってくれたのね……うふふ」
すごいなー、そのポジティブ思考は尊敬に値する。お前、胞子を撒き散らしてフレンドリーファイアしたこと忘れてないか?
ではいざ行かん。初の個別ダンジョンへ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。