第30話
ジョブチェンジが一大イベントすぎて気がつかなかったけど、メールアイコンが点滅している。タップすると運営からのメッセージが届いていた。
プレイヤーの皆様へ
この度は大型アップデートに伴うメンテナンスに御協力いただきまして、誠にありがとうございました。つきましては御協力いただいたお礼を、お贈り致します。
今後ともレガリアワールドオンラインを宜しくお願い致します。
運営一同
《1000000Gが贈られました》
《ガチャ券10枚が贈られました》
ただ寝てただけなのに、すごく得した気分だ。ゲーム内通貨は、あればあるだけ気持ちに余裕ができる。
それにしても、このゲームにガチャなんてあったっけ?
……あったわ。色々探してみると、メニュー画面から【その他】の項目を開いた先に、ひっそりと【コーデガチャ】が設置されていた。
説明によると、能力値は上がらないけど見た目を変更できるアイテムが獲得できるものらしい。コーデ専用の装備画面もあるようで、獲得したコーデアイテムはそこで設定するようだ。ニャン太郎様も、これでネコぐるみを揃えたんだろうね。
ネットゲームでガチャといえば主力商品だから、普通はこんな感じの扱いじゃない。もっと大々的に、何ならそのゲーム内容以上に宣伝しているものなのに。この辺りが国営企業らしくて好感が持てる。
ガチャ券を使わなかった場合の価格は、一回十円。十連続でガチャをする場合は、一回分おまけで十一回できるらしい。しかもダブりなし。他のネットゲームに比べて価格と設定が良心的すぎる。これなら毎日ワンコインを投入する人がいてもおかしくはない。僕はガチャ券しか使わないけど。
ではさっそく、コーデガチャをやってみよう。ガチャ券が十枚あるから、もちろん十一連ガチャに挑戦だ。ていっ!
ボタンをタップするとクルクル回転する魔法陣が出現して、その中からどんどんアイテムが放出されてくる。可もなく不可もなくの演出だ。
・ジーパン(青)
・釣り竿(白)
・長靴(青)
・くまモンボディ(©2010熊本県くまモン)
・くまモンフェイス(©2010熊本県くまモン)
・ハムスターフェイス(灰)
・海賊マント(黒)
・風船(黄)
・イヌボディ(茶)
・ネコミミ(白)
・ローラースケート(黒)
見事にバラバラだ。まあ無料だし、こんなもんでしょ。それにしても、くまモン(©2010熊本県くまモン)! さすが国民的アイドルゆるキャラ。こんなところにまで進出してるとは。ボディとフェイス以外も揃えてみたくなってきたよ。
……課金者の心理が少し分かってしまった。
せっかくなので、コーデ専用の装備画面を開いて装備してみた。
頭:ネコミミ(白)
顔:ハムスターフェイス(灰)
体:イヌボディ(茶)
右手:釣り竿(白)
左手:風船(黄)
足:ジーパン(青)
靴:ローラースケート(黒)
他:海賊マント(黒)
他:なし
他:なし
うん、統一感ゼロ。街中でこんな格好してたら、絶対に通報される。画面を戻して周囲を観察すると、同じようにチグハグな格好をしたプレイヤーがたくさんいた。みんな、取りあえず無料ガチャで当たったものを装備したんだね。その心境はすごく分かる。僕は外すけど。
さてと、やることもやったし行動開始だ。パワーレベリング中に入手した激レアアイテム。それがインベントリにいくつかある。まずはそれの検証かな。流れに身を任せすぎていて、そもそもどのモンスターのドロップアイテムなのかすら覚えてない。
ラビットテール ラビットコーデのひとつ。
ポイズンミストのスキルブック 使用すると魔法・ポイズンミストを覚える。
麻痺耐性のスキルブック 使用するとスキル・麻痺耐性を覚える。
即死耐性のスキルブック 使用するとスキル・即死耐性を覚える。
ラビットテールは、コーデアイテムだ。以前入手したラビットイヤーとラビットフェイスもそう。パワーレベリング中に、ラビットボディとラビットレッグも手に入れていた。この四種類はインベントリにたくさんあるから、多分レアアイテム枠なのだろう。
でも、ラビットテールだけはひとつしかない。一度しか戦っていないモンスターなんて、封印の洞窟にいた通せんぼモンスターだけだ。そいつからドロップしたのかとも思ったけど、他のものは全てウサギ系のモンスターから入手した記憶が朧気にある。だからこれもそのはずなんだけど……。
スキルブック三種類は、もうさっぱり分からない。封印の洞窟で入手した気もするし、ウサギ系モンスターからだった気もする。あのときの僕は空気に徹しすぎていた。
「僕は風、僕は幻。ただひたすらに、クリームの無双を影で見守る者」
何となく思いついたセリフを声に出したけど、これじゃストーカーみたいだ。取りあえず封印の洞窟へ戻って、通せんぼモンスターのドロップアイテムから確認してみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。