第2話
やってしまった感はあるけど、これ以上は頑張れなかったのも事実。それにもう決定してしまった後だ。ここからの変更はできない。
《アイテムドロップ率アップ 30%》
戦闘で有利に働くユニーク特性ではないにせよ、腐っても最高値。攻略動画や攻略掲示板を見渡しても、最高値の特性を持っている人なんていなかった。狙った結果とは違うけど、これをベースにキャラメイキングを進めよう。
次に決めるのはジョブだ。初期から選択できるのは七種類で、ジョブ毎にジョブ特性と呼ばれるものが設定されている。これによって戦闘での役割が示されている形になる。
ファイター:
与物理ダメージ20%アップ。単体物理攻撃スキルを多く覚える。一撃のダメージが重く、パーティ内での役割はアタッカーが適任。
ナイト:
被物理ダメージ20%ダウン。防御スキルとヘイトアップスキルを覚える。HPがとても高い。
メイジ:
与魔法ダメージ20%アップ。攻撃魔法と支援魔法を覚える。ファイターの魔法版だが、こちらは範囲攻撃を多く覚える雑魚敵殲滅役。
ヒーラー:
被魔法ダメージ20%ダウン。回復魔法と支援魔法を覚える。攻撃力は低いが物理防御力と魔法防御力は同じ魔法職のメイジより高い。
レンジャー:
敵からの攻撃対象になりにくい。支援魔法を覚える。また、ある程度の物理攻撃スキルと回復魔法も覚える万能型。
シーフ:
アイテムドロップ率20%アップ。敵からアイテムを盗めて、罠の解除もできる。速度を活かした連続攻撃が得意。
ダーク:
全ステータス10%アップ。範囲物理攻撃スキルを覚える。また、ある程度の攻撃魔法と回復魔法も覚える。街に入れない。取得経験値30%ダウン。
ダークが強そうでカッコいい。全ステータスアップは、かなりのアドバンテージに思えるし、魔法もそこそこ使えるようだ。半面、街の施設(武具屋、道具屋、宿屋、ギルドなど)を利用できないのは序盤にストレスが溜まりそう。取得経験値にペナルティがある点もいただけない。玄人向けの大器晩成型ジョブだと言える。
気分的にはダークを選びたい。でもユニーク特性を活かすなら、ジョブ特性を合わせるとアイテムドロップ率が【50%アップ】にもなるシーフが最適だろう。
そんな感じでサクサク進めて、キャラメイキングを終了。キャラの外見もデフォルトが数百種類用意されていたので、適当に見栄えの良いものを選択。デフォルトキャラを細かくいじる機能もあったけど、そこまでする必要は感じなかった。ユニーク特性を決定してから二分も経過していない。拘らない人なら五 分以内でゲーム本編を開始できる簡単仕様だ。
因みに僕が作ったキャラはこんな感じ。
キャラネーム こしあん
ジョブ1 シーフLV1
ジョブ2 なし
HP 35
MP 20
物理攻撃力 6+1
魔法攻撃力 2
物理防御力 5+1
魔法防御力 2
速度 20
幸運 25
ジョブ特性 アイテムドロップ率20%アップ
ユニーク特性 アイテムドロップ率30%アップ
ジョブスキル スチールLV1 罠解除LV1
武器1 木の棒 物理攻撃力+1
武器2 なし
頭防具 なし
体防具 布の服 物理防御力+1
足防具 なし
装飾品 なし
SP 0ポイント
所持金 1000G
キャラネームはテーブルの上にあったパンの外袋に書かれていたもの。深い理由は特にない。グレンやレオンハルトなどの厨二ネームも頭に過ったけど、さすがに恥ずかしいので却下した。
さて、ステータスから推測できる要素がいくつかある。物理攻撃力から幸運までの数値を足すと【60】だ。これをジョブ特性に合わせて割り振ったものが初期数値なのだろう。ファイターを選んだ場合は物理攻撃力の数値が【20】くらいだと推測できる。これはシーフの実に三倍以上。もしレベルアップで増える能力値がオート割り振りなら、シーフの攻撃力は壊滅的と考えられる。
次にHPとMPの数値。これは簡単に想像できた。HPは物理防御力と魔法防御力を足したものを半分にした数値の十倍。MPは単純に魔法攻撃力の十倍なのだと思う。
シーフの取柄は速度と幸運だけど、これがどう戦闘に影響してくるのかは今のところ分からない。後で攻略サイトを見て、情報が掲載されているかどうか探さなければ。ゲームの説明書? そんなのは読まない主義です。
《キャラクターメイキングを終了してゲームを始めますか? YES/NO》
不安な要素もあるけど、とりあえず始めてみよう。
YESの個所を指で触れると、タブレットの画面が真っ暗になった。それから徐々に明るくなってくる。
キャラクターメイキングを開始してから十時間以上の格闘を経て、僕はようやくレガリアワールドオンラインの世界に飛び込んだ。最新のグラフィック技術に彩られた美しい風景。明瞭な音声で語られる本編のストーリーと幻想感いっぱいの音楽。
凄い! ワクワクする!
しかし興奮よりも眠気が勝っていたようで、オープニングを見ている途中で寝落ちしてしまった。
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