Desiderium
こうしているとネガティブな考えしかまとまってこないけれど。
僕は今、何をするべきなのだろうか、、、。
駄目だな。もうそれすらわからない。
言葉を紡いでいる間や音を並べている間はこんなことを考えたことは無い。
思い出の中の匂いをたどってその情景を見ている間はその綺麗さしか頭にないのだ。
今はそうでもないけれど。
どちらかというとつまらない、といえばつまらない、、、といった感じ。
だいぶ回りくどい言い方をすると自分でもわからないものだ。
「曲を聞こう」
唐突な僕の思いつき。
憧れの人の曲を聞くことほど心休まることは無い。
心の中の霧が一気に消えていく感覚は心地いい。
きっと感情が溢れてしまうからすっきりするのだと思う。
泣いてしまうことだってあるし、
嬉しくなってしまうことだって、
機嫌がよくなることだって、
やるせない気持ちになることだってある。
それがあの音楽の力。
僕もあんなものを創ってみたい。
動画投稿サイトを開いて、聞く。
たったそれだけの作業で聞けはする。
それでも僕はなんとなくCDで聞きたい気分だったからCDで聞く準備をする。
どうしても動画だと映像だからMVの情報が入ってきてしまう。
それが今の僕には辛かった、ただそれだけだ。
視覚から得る情報を遮断してしまいたい気分だったから。
再生ボタンを押してCDが回るのを眺む。
こんな時間でさえもう幸せだった。
まだ曲が流れていなくてもこれだけで十分幸せになれる。
一本足りなかった時間が後からやっと追い付いてきた一本と出会って幸せになる。
そんな僕だけの時間。
携帯のバイブ音がする。
これはそれを壊す音。
妙に長かったから表示を見ると、「小川 瞬」の文字。
切ってしまおうかとも思ったけれど、今日は喫茶にはいけないとさっき思ったばかりだったから思わず出てしまった。
まぁどうせいつものだろうから出ないと。
兄さんに連絡がいくから。
「もしもし」
「あー!おはよー」
「で?」
「で?っていつもの生存確認だけど」
「メールでいいって言ったじゃん」
「偽装されて終わりそう」
「そんな面倒なことしないよ」
「まぁ生きてて良かったよ」
「うん。じゃあね」
「今日は来るか?」
「行けるもんなら行きたいよ」
「まぁ雨だから無理だよな。知ってる。」
「うん。」
「じゃあ明日な!秋翔」
「だからメールにしてくれよ」
「無理(笑)。今日もとりあえず生きてろよ」
「おう」
ようやく切れた。
この不思議な制度は兄が北欧に転勤するときに瞬に頼んだものだ。
僕があまりにも情緒不安定だから心配だと毎日生存確認されることになっている。
まぁ実際、兄が行った頃は鬱になりかけていたので
ありがたいといえばありがたかった。
さて。
お預けになってしまったCDをようやく流そうか。
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