【episodes9】命の分断
父方は幼い頃。
母方は成人した頃に祖父母を亡くした。
身内を失った経験はあった。
だが、自身と身体の一部で繋がりを持った生命との別れは初めてである。
その辛さは想像を絶するもので、身を引き裂かれるような苦しみと寂しさを反復する心が、処置をした身体以上に辛かった。
お腹にいた我が子を失った悲しみと辛さは娘と。
そして、見守ることしかできないもどかしさと葛藤に苦しんだ元夫の心情は娘の彼と重なった。
お腹に宿った子供の性別が判明するのは医学的にはまだもう少し先のことだったが、母親の勘とでもいうのだろうか、男の子だという確信があった。
息子が産まれ、生きていたら娘の彼と同じ年頃である。
自分の息子だったらこの状況でどう話すだろう。
私は、思いを巡らせながら慎重に言葉を選び話を続けた。
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