灰色の時間
あれほど怖いことは他にないと言えるのだから、
あれはトラウマなのだろう。
だが、あれを思い出しても何も感じない。
自分の体事態、あのときどのぐらい痛かったか、
どんな感じだったかを覚えていないのだ。
それほどに怖かったのだろうか。
忘れてしまうほどに思い出したくないのだろうか。
文章にしても、あれのことを書いている気がしない。
モノクロの映像のように、現実味がないのだ。
あのときの記憶はまるで感情のないただの言葉のように、
モザイク懸かった灰色の時間だ。
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