昼食談話 その2

話は昼食3人衆に戻る


「殺人現場には猫の死骸があるって話だよね。

うちの学生が目撃してるって。」


「ぬぁぁ、おおよそ食事の最中にする話ではないね。」


そういいながら弁当の中のおかずをほいほいと口にほおり込んでいる。


「そうだね。でも少し気にならない。そのうわさが本当なら

この学園の生徒とかが狙われる可能性だってあるって考えちゃわない。」


「なにぃ!この学校で猫の死骸が見つかったのか!?」


「あぁ、そうだそれが今朝の話ってやつだ。あとご飯粒を

機関銃のように飛ばすのはよせ。」


「じゃあ…やばいじゃん…」


立ち上がった美園はしょんぼりした様子でゆっくりと着席し

飛ばしたご飯粒をティッシュに集めている。


「ただ少し気になっていることがあってだな。

もし現場に猫の死骸があるのが本当だとしたら

犯人はなぜそんなことをするのだろうかと思ってな。」


瑠衣は答える。


「それは…犯行予告とか?」


「犯行予告ならもっとシンプルなものを選ばないか?

猫の死骸を用意するのもかなり大変だと思うぞ。」


美園が答える。


「きっと番犬ならぬ番猫なんだよ。犯行時に見つかりにゃぁにゃぁと

鳴くから勢いでやったんだよこれが。」


「そんな都合いいことがあるか?」


「まあ当事者に話を聞くのが一番か…」


そんな話を続けていたら雷のような

男子の声が私たちの会話を両断した。


「河野ーーー!ミルクティーーーだーーーーー!」


「うぉぉ!うるせぇ!赤池!」


「美園、君もうるさいぞ。」


大声で飛び込んできた赤茶髪の短髪は赤池あかいけ とおる

昼食戦争の敗戦者だ。

いくつかのパンを両手にイルカへの献上物であるミルクティーを差し出した。


「まどか、おまえの分も買ってきてやったぞ!」


「ありがとう、徹」


答えるのは篠木しのぎ えん、あまり話したことはないが

クラスの中心にというかいつも騒いでる赤池と仲のいい

眼鏡の男子、良くも悪くも普通の男子高校生だ。


「ところでお前も懲りないねぇ。われらがイルカ嬢に小テストで

勝てるわけないのに」


「へっ、勝てないからこそ挑むんだろうが!」


そういうところはイメージ通りだ弱気を助け強きをくじく

こんな身なりだから勘違いされやすいが誠実な少年だ


「だけど勝てるようにしてから挑むのも大事だよ徹」


「そうだな明日は絶対に負けねぇ!」


いややはりわかってない。

円と瑠衣は同じことを思ったが口には出さないこととした。


赤池徹は篠木円と大親友だ。それはこの学校の全員が理解している。

かつてその誰もが赤池を嫌っていた。民主主義とは時に残酷だ。

どんなに霧のような噂でもありえない真実まで昇華させてしまう。

そんな状況を打破したのが篠木円だった。

それ以来この二人は学園でも有名なコンビになったのだった。


「ミルクティありがとう赤池。ところで君に聞きたいことがある。

例のあの事件のことだが…」


「えぇ!野次馬って赤池君のことだったの!?」


「例の事件ってあれか連続野良猫怪死事件のことか?あぁあれは嫌な事件だったぜ、

先週3丁目であった事件を見に行ったんだ、あそこちょうど帰り道だったし、それで・・・」


まとめると、赤池が事件現場を見に行くとき、あるいは帰り道

その道中に絶対に猫の死骸があるらしい。それを彼が話すうちに

事件の前には猫が死ぬという噂ができたとか。

そしてイルカが口を開く。


「おそらくだがこの怪死事件は関連しているが関連していないものなんじゃないかと思ってだな…」


昼食談話は続く。











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