第140話 わし 祝福される

王子誕生は次の日には新聞発表で瞬く間に王都中に知れ渡り、朝には王城まで国民が駆けつけて祝福してくれる


   ワァァァァァアーーー!!


     ワァァァァアーーー!!


    おめでとうございます!!


     マーシャル様万歳!!!


   ワァァァァァアーーー!!


       ワァァァァアーーー!!


わし「おおお…凄い数だな」


乳幼児の死亡率が下がったと言え、転生前の時代より50倍も高い、もし死んだら物凄い落胆しそうだな


これを機に七五三を導入して、国民イベントを作り消費を促すか、人間は一生の思い出とかに弱いからな


アルバート「マルス様、そろそろ良いですか?カシム様やアキナ様からの定例報告があります」


わし「うむ…私室に戻る」



     〜〜〜わし私室〜〜〜


カシム「おめでとうございます!!」


アキナ「おめでとうございます!!」


わし「あと何回祝福されるんじゃ!!」


カシム「あれ?嬉しく無いんですか?」


わし「まだまだ乳幼児の死亡率は高いからな、7歳くらいまで油断出来ん」


カシム「そうですね…では定例報告します」


わし「うむ」


カシム「工業や重工業の進歩で供給力がさらに高まり、このままではデフレになりますね、国民の預金が増え、格差も広がって来てますね」


わし「ふーむ…戦争になるやもだから、デフレでも良いけどな、戦争になれば嫌でも買い占めが起こってインフレするからな」


アキナ「どうしますか?」


わし「さらに供給力を高めるか、農業を中心に軽工業や重工業にさらに投資して行こう」


アキナ「デフレが加速しますね、金利はどうします?」


わし「とりあえずは0金利じゃな、デフレなのに金利まで付いたら、ますます金を使わないからな」


アキナ「分かりました」


100万円を銀行に預けても金利0なら次の年も額面は100万円のままだ…しかしお金は増えてる


何故ならデフレ(物価下落)だからだ


100万円の米は次の年に95万円になったりする、となれば95万円で同じ量の米が買え、尚且つ5万余るからな


わしの親の時代は銀行に預ければ8%の金利が付いた時があるが、実は銀行に預けると損してる、何故ならその年のインフレ率は112%だから


100万円預ければ108万になるが、米は112万になる大損じゃ…インフレ率が金利を下回ってるなら分かるがな


カシム「さらに預金が増えますね」


わし「まぁ増えても問題無いが、イベントを国主導で増やして行く、七五三やお祭りや盛大な結婚式を奨励とかな」


カシム「しちごさん?」


わし「子供が3歳、5歳、7歳になったら健康を盛大に祝うのじゃ」


カシム「なるほど、マーシャル様の健康を祝う祭りですね」


わし「いや…全国民の子供じゃな、マーシャルが7歳になったら終わるじゃろ」


カシム「あ…確かに」


アキナ「格差はどうしますか?」


わし「所得税の引き上げに、法人税も引き上げる」


アキナ「それだと税率も人件費も安いサン&ムーンに企業が移るかもですよ」


わし「国が軽工業や重工業に研究開発費を投資するから問題無いな、高級高品質のブランド化を進めて行く、サン&ムーンに行きたい企業は行けばよい」


アキナ「そうですね、ブランディングによって利益を高めれば、高い税率でも問題無いですもんね」


わし「うむ」


カシム「しかし戦争ですか…」


わし「人類はいつの時代も常に資源を争ってるからな、人口の増加は指数関数的に増え食糧生産は加算数だからな、腹減れば奪う為に戦争になる、ここに理屈は無い」


アキナ「何とかならないんですか?」


わし「カシムには教えたが、全ての資源を限りなく無限に供給する事じゃな、無限に供給される空気も太陽の光も買わないから所有と言う概念も生まれないから、奪い合う事も無い」


アキナ「確かに…」


わし「それは究極系だが、もう一つ方法がある」


アキナ「方法とは?」


わし「プランクトンのパラドックスじゃな」


アキナ「プランクトンのパラドックス?」


わし「同じ場所で同じ資源(水や餌)を共有する似た生物は競争排除則でもう一方を絶滅に追いやる事が多い、だがプランクトンではこれが起こらず多種多様なプランクトンが共存しておる」


アキナ「プランクトンはどう違うんでしょうか?」


わし「プランクトン同士の相利共生、片利共生とか空間や時間的に優位性がコロコロ変わるとかじゃな」


アキナ「ふんふん…」


わし「その中でも相利共生や片利共生が重要じゃな、片利共生の例として、グンタイアリの後をつけるアリドリやオニキバシリの例がある、グンタイアリのコロニーが林床上を移動すると、さまざまな昆虫がそこから飛んで逃げる、グンタイアリの後をつけていた鳥は、林床から飛んで逃げ出した昆虫を捕える、この例では、鳥はグンタイアリによって利益を得る一方、グンタイアリにとっては何の利益も害もないからな」


アキナ「その様な社会を作るんですね」


わし「そうじゃな、例えば人間に限り無く能力が近いロボットとかじゃな、SEX可能なら尚良いな」


アキナ「………。」


わし「超絶わし好みにして、労働搾取に性の搾取に…」


ガシャン!!


アリア「何の話ですか?SEXに性の搾取??」


わし「いや…ロボットの話しをしててだな」


アリア「アキナさんに向かって言ってたじゃないですか?」


アキナ「男の人は、すぐそう言った方向に結び付けるのは不潔です!!」


わし「ちょ…例えばの話しじゃ」


アキナ「いいえ…完全に変態の目をしてました」


アリア「やっぱり!!私じゃダメですか?魅力ありませんか!!」


わし「カシム!!助けてくれ」


カシム「なるほど…ロボットですか、確かに」


アキナ「失礼します!!」


バタン!!


アリア「私も顔をカレン様にオッパイも巨乳に整形します!!」


わし「アホかwww全員巨乳で同じ顔だと競争排除則になるかもだろ!!」


アリア「きょうそうはいじょそく?」


また一から説明かよ…めんどくせ


コツン…


わし「ん?お前が落としたコレはなんじゃ?」


アリア「そうです!!良くぞ聞いてくれました、コレはビール神のニンカツ様です!!どうです王都一の匠に作らせました」


はっや…昨日の今日だぞ…匠が可愛そう…


わし「ああ…そうですか…」


アリア「それで今日は布教活動のお赦しを貰いに来ました」


わし「あ…どうぞ…」


アリア「ありがとうございます、これで私も…」


わし「おい!!飲み過ぎはダメじゃからな!!適度な量じゃ無いと逆効果だからな!!」


アリア「やはりマルス様も私との子が欲しいんですね」


わし「そうそう競争排除則にならんからな」


アリア「そうですか!!嬉しいです!!なんか分かった気がします!!」


わし「………。」


確かにアリアなら相利共生、片利共生にはなるな…

愛によって一方的に与えれる、強者は弱者に愛によって施すと言う認知革命か…だが…やはり難しいか


アリア「では失礼します」


バタン


カシム「なんだかんだ平和ですね」


わし「全人類が平和を祈ってるのに、為政者が努力せんからな」(笑)


カシム「世界征服して、全人類を平和にすれば良いんでは?」


わし「んな事せんでも、小さい国なのに超豊かな方がインパクトあるし、真似しようと思うじゃろ、それで良い」


カシム「それは為政者の努力しないにあたるのでは?」


わし「実際は相利共生、片利共生が無ければ、強者が弱者から搾取する構造だからな、普通の人が普通に生きて行く為に動物は殺され木は切られて行く、全人類の平和など、他の生物にとっちゃ迷惑な話しじゃ」


カシム「難しい問答ですね、結局は平和を願ってる普通の人が生きて行く為の資源が無くなれば戦争になるって事ですもんね」


わし「そう言う事じゃな」



次回に続く…



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