第137話 わたし 転生したら女王だった件

私はエリ…


日本最高学府の医学部卒で今は研修医1年目


父は医師で母も医師


学生時代は、周りは皆優秀で、なんとも思わなかったけど、社会に出て見ると、世の中は凡人だらけだ、これからバカに合わせて生きて行かないと思うと憂鬱になる


今日はワクチン接種のバイトだ、時給2万に釣られてしまった


「このワクチンは副作用ありますか?」


エリ「ありますよ」


「え?やっぱり…でも職域接種だし…何か問題が起こったりします?」


エリ「さぁ?嫌ななら辞める事も出来ますよ?」


「いや…打ちます」


なぜ自分で考えないんだろう…ニューロン間の神経伝達が焼き切れてるのだろうか?そっちの方を心配する


エリ「はい、終わりました」


「ありがとうございます」


エリ「次の方どうぞ」


最初の治験のデータより、死ぬ確率高いじゃ無いか、まぁそりゃそうか…治験の期間なんて少しだし、8時間で16万円か、最近気になってる蒙古ヒダの整形でもしようかな…


ガシャン!!


「きゃあああああ!!先生!!先生」


え…?呼吸が上手く出来ない…まさか嘘でしょ、3日前に打ったワクチンの副作用?心筋炎に私がなるとか…だって心筋炎や心膜炎は男の方が圧倒的に多かったじゃん!!



死に際でも割と冷静に物事を考えるなと、自分に関心する



どれくらい時が経っただろうか


人によっては、数秒かもしれないし、数年かもしれない、時間を引き伸ばされた感覚と言った方が早いだろうか


パチ


エリ「病院か…マジで死ぬかと思った、私は実験台じゃねーぞ」


落ち着いて辺りを見渡すと、煌びやかな調度品に大きなベッド、パパが用意してくれたのかな?しかしバイタルセンサー測定器すら無いとか…軽傷だったのかな?いやいや…そんなバカな


コンコン


メイド「おはようございます、エリザベート女王陛下」


エリ「んんんん?エリザベート??あなたは誰?」


メイド「何を言ってるんですかハウスキーパーのクラシエです、今日はエイジア方面についての謁見が多いんです、早く支度しますよ、レディースメイド達!!お入りなさい」


ゾロゾロゾロ…


侍女がゾロゾロと現れる


ガバッ!!


エリ「きゃあああああ!!何すんのよ!!」


クラシエ「まだ寝惚けてるんですか?着替えますよ」


エリ「着替えなんて1人で出来るわよ!!この部屋から出て行って!!」


クラシエ「はぁ…1人では何も出来ないじゃありませんか…皆様…エリザベート女王陛下を取り押さえなさい」


エリ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ぎゅうぅぅぅ…


お腹の辺りから胸にかけてキツく絞められる


コ…コルセット?


エリ「おうっぷ…」


クラシエ「何ですか?情け無い声を出して…さぁ行きますよ」


エリ「ちょと待って待って!!鏡を見せて!!」


クラシエ「もう!!時間がありませんのに」


苦手だこの人…


鏡に映る自分を見る…


リエ「え…美しい…」


スラリと伸びた体躯…7頭身はあるだろうか、髪はプラチナブロンド、目は綺麗な碧眼、美しい鼻と口。顔の表情は魅力的、同時に善良さと甘美さと知的さも持っている


整った顔に見惚れ、思わず頬を触ってしまう


クラシエ「さぁさぁ行きますよ、今日も公務がいっぱいですから」


エリ「え?公務?なんですかもう!!」


クラシエ「相変わらずワガママですね!!貴方は女王陛下なんですよ、まずピエール首相との会談があります、いくらピエール様が気に入らないからと言っても国の首相の会談を2回も3回も断れませんからね!!」


女王陛下??私が??ピエール首相と会談??夢?…いやこれは夢じゃない、異世界転生??


何も分からず混乱したまま、謁見の間の玉座に座る


ピエール首相「エリザベート女王陛下、ご機嫌麗しゅうございます」


エリ「ええ…」


もうヤケクソだ


ピエール首相「では前にも申しましたが、我が保守党が推進している関税の大幅減税と所得税の導入を貴族院議員の方達にも支持して頂きたいのですが」


エリ「所得税?普通導入するでしょ」


日本もしてるし…


      ざわざわ…


        ざわざわ…


ピエール首相「本当ですか!!あれほど所得税導入を渋られていたのに、あとは関税の大幅減税はどうですか?」


エリ「まぁ良いんじゃない?」


よく知らないけど…


ピエール首相「ほほほほ本当ですか!!ありがとうございます、では失礼致します」




ウィリアム財務大臣「エリザベート女王陛下、良いのですか?エイジア地方から入ってくる綿製品が大流行して、我が国の毛織物産業は大ダメージを受けているのですよ、ここは保護貿易にした方が…」


エリ「え?じゃあ毛織物産業の方も綿製品を作れば良いじゃない」


ウィリアム財務大臣「何度も良いましたが、人件費が20倍も違うのです、毛織物業者も綿製品を試作しましたが高くて売れんのです」


エリ「ではエイジア地方や他国から綿花を買い漁って機械を使って大量生産すれば良いじゃない」


ウィリアム財務大臣「た…確かに…最近は機械の進歩も目覚ましいですからな…試みる価値はある」


エリ「そ…そうよ!!コレは命令よ!!早速予算を組んで開発しなさい!!」


ウィリアム財務大臣「はは!!」


      ざわざわ…


       ざわざわ…


貴族院議員「あれほど政務に無頓着だったエリザベート様が…」


ウィリアム財務大臣「あとエイジア地方にある大国のヤマト国ですが、茶の輸入量が多く我が国の金銀の流出止まりませぬ、そこでアヘンを売って外貨を稼ごうかと思うのですが、どうですか?」


なんか中学の時に習ったイギリスみたいね…


エリ「良いんじゃないかしら?」


ウィリアム財務大臣「おお!!ありがとうございます、では直ちに」


こうしてハチャメチャなエリザベート女王陛下の政治が始まった


次回に続く…



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