第120話 わし 一線を超える

  〜〜〜サンアンドムーン国〜〜〜


   ル〜ルル♪ルルルル〜〜ルル♪


「始まりました、SHKラジオの鉄子の部屋、今日は党首討論を生放送でお送りします」


鉄子「今日は番組を変更して新自民党のツキノ代表と、愛国党のユウスイ代表と極維党のハザン代表と党首討論をします、皆さん、こんにちは」


ツキノ「こんにちは」


ユウスイ「こんにちは」


ハザン「こ…こんにちは」


鉄子「どうですか?告示日までもう1カ月切りましたが意気込みは?」


ツキノ「はい、国民のための政治が出来ると思うと嬉しい限りです」


ユウスイ「国民と共に強く豊かな国を築きたいと思ってます」


ハザン「失われた祖国を取り戻したいです」


鉄子「どの様な政策を行いますか?」


ツキノ「国民経済を豊かにするのはもちろんですが富国強兵でマルクス王国からの経済依存を解消し自立国家を目指します」


ユウスイ「マルクス王国と経済協力し2国とも豊かに発展して行きたいですね」


ハザン「………。」


鉄子「では具体的にどう言った事をしますか?」


ツキノ「新規国債を発行して、積極的に民間に投資して行きます、すると国民にお金が入るので豊かになります」


ユウスイ「はははは、それだと借金大国になりますぞ」


ツキノ「いいえ…適切なインフレを維持すれば、貨幣の価値が下がるので、国債なんて30年もすれば紙切れになります」


ユウスイ「そんな無制限に国債を発行したらハイパーインフレが起こるじゃ無いか」


ツキノ「そうならない様に供給力を高める投資もします、まさか腐るほど麦があって、収入が倍になったら、麦の値段が倍になるんですか?お金をいっぱい刷ったらインフレすると言うのは間違ってます」


ユウスイ「国債の金利はどうするんだ!!毎年毎年、国の借金を増やせば莫大な金利になるぞ」


ツキノ「自国通貨を発行出来るので借換債を発行すれば良いでは無いですか、それに国債は固定金利ですよ」


ユウスイ「借換債?また借金とは笑わせる」


ツキノ「借換債が嫌なら中央銀行に国債を引き受けさせれば、政府の子会社なので連結決算で金利も要りませんよ」


ユウスイ「う……。」


ツキノ「それに民間銀行に金利を払った所で、受け取るのは民間企業ですよ、何か問題ありますか?」


ユウスイ「国の借金を増やすのは大問題だ収入と支出のプライマリーバランスは大事だ」


ツキノ「プライマリーバランス(笑)そもそも国の借金が増えて誰が困るんですか?国の借金が増えた分、国民の資産が増えるんですよ」


ユウスイ「それは…」


ツキノ「困るとしたら格差が広がり、格差は国民の分断に繋がるので、税金として徴収して格差是正するくらいです」


ユウスイ「借金を増やせば…い…いつか破綻する!!」


ツキノ「払えなくなったら破産しますね、しかし数字を書くだけでお金を発行出来るのに、どうやって破綻するんですか?」


ユウスイ「………。」


くそ…バカな王族の娘と思いきや、完璧に理解してる…


ハザン「………。」


まったく分からない…



鉄子「ヒートアップしてますね、他の政策を聞いてもよろしいかしら?」


ツキノ「今は供給不足によるインフレですし、今後も続くと思われます、小さな政府を目指し民間の力を借りて技術立国を目指そうと思います」


ユウスイ「大きな政府を目指し公務員を増やして行政サービスを充実させ中小企業を保護しマルクス王国と共に発展を目指して行きます!!痛みを伴う構造改革も断行して行きます!!」


ハザン「………。」


鉄子「はい3人共よく分かりました、ではお時間になりましたので」


ツキノ「今日はありがとうございました」


ユウスイ「今日はありがとうございました」


ハザン「ありがとうございました」


鉄子「それでは皆さんご機嫌よ〜う」



  ル〜ルル♪ルルルル〜〜ルル♪



 〜〜〜旗艦マルクスⅢ世 医務室〜〜〜



パチ


天井が揺れてる…めまいがしてるのか?


機械音がする、そうか…ここは船内か、そう言えばわしは頭を打って倒れたな、頭を打って寝るとか脳内出血を疑うレベルだが、たぶん最近の寝不足が原因かな


横に目をやると椅子に座ったアリアが寝てる、焦燥しきった表情で寝てるな、きっと良い夢は見て無いだろう


しかし…アガラス連邦か…まさか潜水艦とはな…わしも潜水艦の重要性は知ってたが、航空機に力を入れてしまったわ


自国に帰ったらソナーを磁歪式でBDI(方位偏差指示器)を搭載したQGAソナーの開発と対潜兵器のヘッジホッグの開発を急がせねば


今後は間違いなく潜水艦による通商破壊に頭を悩まされる、歴史が証明してる


戦闘機もP-51マスタングのスペックを開発部に要求しちゃる


わし「ぐふふふふふふふふふ」


ピクッ


アリア「う…う〜〜ん…」


起こしてしまったか…少しイタズラしてやろ(笑)


アリア「マルス様!!目が覚めましたか!」


わし「誰じゃお主?」


アリア「え…?わたしですよアリアですよ」


わし「お前なぞ知らん」


アリア「え?マルス様…記憶が…」


わし「うっ!!頭が痛い…とにかく、わしはお前を知らない」


アリア「そ…そんなぁ…10歳の時に出会ったじゃ無いですか!!」(泣)


わし「10歳?…悪いが記憶に無いな…」


アリア「わたしを良く見て下さい、愛しのアリアですよ!!」


わし「愛しの?わしとお前は特別な関係だったのか?」


アリア「そそそそうです!!もう仲睦まじい、おしどり夫婦と噂されるレベルです」


むちゃくちゃ嘘じゃねーか


わし「夫婦?結婚してるのか?」


アリア「まだですが、結婚は秒読みと噂されるレベルです」


ぜんぶ噂で押し切ろうとしてる…


わし「わしとお前は、そんなに仲睦まじいのか?」


アリア「えーえーそれはもう国中が私達を羨んでると噂してます」


コイツ記憶喪失を良い事に都合よく記憶を改編しようとしてるな…


わし「わしらは、どんな感じだ?」


アリア「そりゃもう毎日ズッコンバッコンです」


他に表現の仕方があるじゃろ…


わし「じゃあ、いつもどんな感じかやってくれ、思い出すかも知れんしな」


アリア「え…?良いんですか!!!」


わし「何じゃ?嘘か?毎日ズッコンバッコンなんじゃろ?」


アリア「おう!!がってんだい!!」


なぜ…江戸っ子?




アリアの肩が震えてる…


わし「なぜ震えてる?しかも泣いてるし」


アリア「生きでで本当によがっだと思いまじて…このまま目を醒さながったら、どうじようと…ひっく…」


わし「………。」


アリア「では!!脱ぎます!!」


わし「なんで宣言するのじゃ?ズッコンバッコンは日常なんじゃろ、嘘つきのアリア大尉」


アリア「え…?アリア大尉って…嘘ですか?記憶あるんですか!!」(号泣)


わし「なんでまた泣く?」


アリア「本当にわだぢを忘れだど…おもいまぢて…あんじんしたら涙が…止まりません」


わし「お前の都合良い世界にしようとしてたじゃねーか!!油断ならん奴め」


アリア「わだぢに都合の良い世界より、不都合だけど、わだしが忘れられて無い世界が良いでずぅ…」


わし「はははははは、そうか面白い答えだな真理に近いな、わしも嘘をついたからな、おあいこじゃな」


脱ぎ脱ぎ…


アリア「傷付いたので損害賠償を請求します!!」


わし「ちょと待て!!意味が分からん、こら脱がすな!!」


アリア「てやんでい!!こんちくしょう」


なぜ…江戸っ子?



ガチャ…


ヴィクトリア「マルス様!!お目覚めですか!!」


ほぼ裸の2人を見て時が凍り付く


ヴィクトリア「し…失礼しました」


バタン…


わし「おい!!帰るな!!おい!!メーデー、メーデー、メーーーデーーーー!!」


アリア「そんなに嫌ですか?」


わし「…嫌では無いが…」


アリア「では良いって事ですよね」


わし「……分かった、しかしだ!!C(調子に乗るな)Q(くだらない嫉妬はするな)B(暴走するな)のCQBだ分かったな!!」


アリア「C(近)Q(接)B(戦闘)ですね了解!!」


それ…クロース クォーター バトルだし


全然ちゃうし…目がイッてる…





ヴィクトリア「マルス様が目を覚ましました」


アルバート「おお…それは良かった、それで容態はどうだった?」


ヴィクトリア「裸でアリア大尉と抱き合ってました」


アルバート「げ…元気そうで何よりだな…やはり2人はそう言う関係だったのか」


ヴィクトリア「奴隷と王族ですか…」


アルバート「お前は!!レイシスト(差別主義者)か!!」


ヴィクトリア「違うわよ!!アリア大尉の事はもちろん尊敬してるし、ただ…ここまで世の中が変わるとはね、貴族とは?と考えませんか?」


アルバート「貴族なんてもう…ただの言葉だな…」


ヴィクトリア「格差の無い社会とは階級の無い社会と言う事」


アルバート「貴族としては複雑だな」


ヴィクトリア「バカ貴族の指揮官と頭の良い奴隷の指揮官どっちに仕えたい?」


アルバート「後者だな…」


ヴィクトリア「私も同意見です、ふふふ初めて意見が合いましたね」


アルバート「ふん」


次回に続く…

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る