第105話 わし 暗躍してみる2

  

 〜〜〜サンアンドムーン国 首都〜〜〜


ヨミ「この国は貧しい…もっと愛の手を差し伸べねば」


ヤミー「お疲れ様ですヨミ様」


ヨミ「良いのです、愛が平和を平和が秩序を生むのです」


ヤミー「マルクス王国から布教用の資金が10億マルクス振り込まれてますが」


ヨミ「そうですか、マルス様は慈愛の神の化身ですね食糧支援や生活難民の保護にありがたく使いましょうか、質素倹約に勤め、勤労で真面目に生きましょう」


ヤミー「ははっ!!」



    〜〜〜タクト州〜〜〜


タクト「あの暗躍王子の狙いが分かった、新しい宗教を布教させてるな、この州でも布教活動していて、物凄い勢いで信者を増やしてる」


ツキノ「問題あるのですか?そもそもお父様のヨミ様は出馬出来ないでしょう、政教分離原則があるじゃ無いですか、信教の自由を保障した上で、宗教団体が国から特権を受けることや、国や自治体が宗教教育などを禁止してます」


タクト「いや票集めだな…浄化学会と共鳴党は繋がってる、愛国党ってのも名簿や支援者を見た感じマルクス王国の党派だな、宗教かなるほどコスパ良いし信者は確実に投票に行く」


ミストリカ「どうすんの?」


タクト「そりゃ表もあれば裏もあるさ、こっちはマフィアを使う」


ミストリカ「ツキノ様!!こんな奴に付き合ってたらロクな事になりませんよ!!」


ツキノ「かまいません!!」


ミストリカ「あばばばばば」


タクト「タクトアミューズは興行もやってるし、その興行の警備は俺の暴力組織のクラシキ組だ、この国にも支部がある」


ミストリカ「え?あのマルス自由都市の建設とか警備とかしてるクラシキ組って暴力組織なの?ガラ悪いけど、良い人達じゃない」


タクト「表ではな、裏では薬以外全部やってる」


ミストリカ「ツキノ様!!コイツ危険です!!」


ツキノ「ミストリカ、黙りなさい」


ミストリカ「………。」


タクト「とりあえず、この国のラジオ放送の放送枠を結構買った、音楽番組やスポーツ番組やニュース番組をする、そこでツキノをキャスターとかアナウンサーとして出演させて行く、ツキノ歌とか歌えるか?」


ミストリカ「ツキノ様を見せ物にする気ですか!!」


ツキノ「私…歌います!!」


ミストリカ「あががががががが」


タクト「さて、首都にも影響力を伸ばして行くか」


ミストリカ「でもさ、浄化学会の教義を読んだけど、愛が平和を平和が秩序を生みます、質素倹約に勤め、勤労で真面目に生きましょう、って書いてるけど、この方が真っ当じゃない」


タクト「お前の様なバカの琴線に触れるだろうな、愛で平和にはならない、平和も秩序も暴力だバカ、平和なのは、相手も同じ暴力を持ってるから、秩序は取り締まる側が暴力を持ってるからだ」


ミストリカ「う…」


タクト「嘘だと思うなら、街に出て人を斬って来い、愛が秩序を生んでるなら、お前は愛によって許されるはずだ、実際は、お前が暴れてたら暴力によって無力化され拘束され相応の刑を受ける、これが秩序だ」


ミストリカ「う… 質素倹約に勤め、勤労で真面目に生きましょうはどうよ!!」


タクト「矛盾してる、質素倹約してたら経済成長しない、これだと勤労で真面目に働いても豊かにならない、酒池肉林の為に勤労で真面目に働くなら分かる」


ミストリカ「げっす…ゲスい!!」


タクト「じゃあ入会して来いバカ」


ツキノ「でも国民が質素倹約してても、マルクス王国みたいに国がお金を発行して経済を回せば良いのでは?」


タクト「まぁそうだな、流石に金が余れば使う、それに全員が全員質素倹約になる訳ないしな、人間の欲は深い」


ツキノ「そうですね」


タクト「とりあえず、この街や首都のならず者や屑人間の受け皿として暴力団を大きくして行く、それに人間教育もしないとな」


ツキノ「必要悪だと思います」


ミストリカ「必要な悪…わかんない…」


ツキノ「太陽がある様に月もあるって事ですよ陰と陽です」



   〜〜〜マルス自由都市〜〜〜


カツン…カツン…


ハマー「もう松葉杖で歩ける様になりましたね、驚きの回復力です街に出たいって何か買い物ですか?」


ラコール「ああ…欲しい物があってだな、しかし物凄い大きな街だな…終わりが見えないぞ…」


ハマー「急速に発展してますからね」


    ブロロロロローー


ラコール「何だあれは!?」


ハマー「自動車です、最近増えて来ましたね、この前はトラック?だったかな、あの自動車より大型の車が走っててビックリしました」


ラコール「この足でも移動が楽そうだ…あの赤黄緑に光ってるのは何だ」


ハマー「信号機って奴ですね、これも最近増えて来ましたね」


ラコール「その信号機の横に付いてる掲示板みたいなものはなんだ?」


ハマー「あれはマルス王子が広告を出したいお店や施設は、お金を出せば信号機に付けてくれるサービスですね、うちの病院の様な重要な施設は国がお金を出して看板を出してくれてますけどね」


ラコール「こんな豊かで未来的な国とはな…そりゃ戦争に負ける…私は愚かだ」


ハマー「………、私は医者なので良くわかりませんけどね、それで欲しい物とは?」


ラコール「ああ…蛇口って奴と電球って奴が欲しくてな」


ハマー「蛇口と電球ですか?それなら、すぐそこのデパートで売ってますよ」


ラコール「デパート?この大きな建物か」


ハマー「はい、では行きましょうか、見張りの兵士さん車椅子を出して下さい」


兵士「ははっ!!」


ラコール「なるほど、階段もあるが、車椅子用の坂もあるのか…」


ハマー「じゃあ行きますね」


ラコール「凄い商品の量だな…しかも安い」


ハマー「大量生産の大量消費ですからね」


ラコール「ちょっと待て!!高級品の砂糖が300マルクスだと…」


ハマー「最近、南の島で栽培を初めたらしく安くなって来ましたね、欲しいなら買ってきますよ」


ラコール「ああ…すまんな」



ハマー「買ってきました」


ラコール「買った?紙を渡してたが、盗んだの間違いじゃないのか?」


ハマー「いや、紙幣って奴ですよ、これがお金です」


ペラペラ


ラコール「もう何がなんだかサッパリだ、紙を貰って嬉しいのか?」


ハマー「まぁこれで何でも買えますからね、えーと家電は4階なのでエレベーターで行きましょうか」


チーーン


エレベーターガール

「いらっしゃいませ何階ですか?」


ハマー「4階をお願いします」


ラコール「何だこれは?」


ハマー「エレベーターと言って自動で上に上げてくれます」


ラコール「もう魔法の国だな…」


チーーン


エレベーターガール

「4階になります、電気製品に工具用品を取り揃えております、今は自動洗濯機が人気です」


ハマー「どうもありがとう、えーーと…蛇口と電球……と…ありました、どうぞ」


ラコール「おお!!これだ!!これだ!!ではちょっと試してみる」


ハマー「はぁ…」


グリグリグリグリグリ…


ハマー「ラ…ラコールさん何やってるんですか!?」


ラコール「これは不良品だな、光が付かないし水も出ないぞ」


ハマー「いや…電気が通ってる所じゃ無いと光りませんし、水道が通ってる所じゃ無いと水も出ませんよ」


ラコール「そうなのか…仕組みが全然分からないな」



日本統治下の台湾はずいぶんと進歩していた、その後に中国国民党が台湾に上陸した際

国民党の兵隊たちは台湾で白い砂糖を初めて見て驚いた、という話や蛇口を壁につけて水が出ると思った、と言う逸話が残されてる


ハマー「では病院に戻りましょう」


ラコール「私はこの国が好きになりそうだ」


ハマー「良い事です、僕も好きですね」


次回に続く…




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