第103話 わし とカインの追憶2

   


   〜〜〜マルクス王城〜〜〜



ヨミ「わっははははは、全て作戦どうりじゃ!!」


ヨミ側近「まさか視察に乗ってくるとは思いませんでしたな」


ヨミ「マルカスと懇意にしてる都市長官の娘を人質に取って、視察に誘えと脅したからな…よし、カインを連れて来い!!わしが直々に処刑を言い渡してやる…ヒヒヒヒヒ」


ヨミ側近「おい!!カインを連れて来い!!」


マルクス衛兵「ははっ!!」


ヨミ「ヒィィィヒヒヒヒ笑いが止まらんぞ!!鬱陶しいカインに英雄王の再来とか言われて調子に乗ってるマルカスを同時に葬れたわ!!」


ヨミの側近「おめでとうございます、あとはじっくり国を衰退させるだけですね」


ヨミ「まぁな、王はじきに死ぬだろうし、子のマルスは甘ちゃんのガキだ…あとは王が死んだら王の私兵を取り上げて、王直属騎士団も解体してしまえば、逆らう奴もおらんな」


マルクス衛兵「連れて参りました」


        ズサッ…


ヨミ「おお〜これはこれはカイン殿、最後に何か言う事は無いか?んん??」


カイン「…………。」


この国は終わった…


ヨミ「そうか…無いか…泣きながら命乞いを期待してたがな…つまらん…では!!申しわた」


バン!!


アベル「カイン様!!ご苦労様です!!縄を解きにきました」


ヨミ「なんだ貴様は!!」


アベル「これはヨミ様、カイン様と結託し、マルカス謀反の鎮圧!!ご苦労様です」


ヨミ「なななな…なんだと??結託??」


アベル「マルカスの遺体からヨミ様直筆の司令書が出てきました、内容はマルカスに謀反の疑いあり、カイン殿はマルカスの間者となり、探りを入れ、謀反が分かれば兵を潜めてる罠に誘導しろ…と…」


ヨミ「司令書を貸してみろ!!」


おのれ……封蝋のシグネットリングも書かれてる文書も、そっくりじゃ…マルカスめ小賢しい真似を…


アベル「その司令書を見られたマルカスが逃げ、追い詰められたマルカスが、カイン許さんと最後まで抵抗してたと兵から報告が上がってます、まさか違うのですか?」


だからあの時カイン許さないと叫んでたのか…忌々しい…まぁマルカスは死んだ、ここは引いとくか


ヨミ「そ…そうじゃな芝居はもう良いか…カインよ…ご苦労であった…」


カイン「…………。」


アベル「さぁカイン様!!こちらへ」


カイン「…………。」


アベル「大丈夫ですかカイン様!!」


カイン「もう死んでも良かった…マルカス様が全ての希望だった…」


バン!!


メイド「坊っちゃま!!お待ちください!!」


マルス王子「うわぁぁぁぁあん!!兄上が!!兄上が!!カインなんでぇ??アベルなんでぇ??兄上が死んじゃた…うわぁぁぁぁあん」


アベル「マルス様…マルカス様は…」


カイン「アベル何も言うな、俺は騎士団を辞める、アベル…後は頼んだ」


私がマルカス様に生かされた理由…


アベル「そんな…辞めてどうするんですか?ヨミの思う壺ですよ!!」


カイン「マルス様をマルカス様以上の君主に教育する!!お前は騎士団長としてヨミを牽制してくれ」


マルス王子「ひっく…ひっく…兄上…うわぁぁぁあああん」


カイン「マルス様…カインはマルス様に永遠の忠誠を誓います、これから厳しく指導するかもしれませんが、立派に国を治める主君になって下さい」


マルス王子「ひっく…ひっく…僕には無理だよぉ…あにうえぇ…」



      〜〜〜半年後〜〜〜



メイド「カイン様、見ました?昨日の彗星、吉凶の兆しらしいですよ」


カイン「ああ…見たよ…75年に一度現れる彗星らしいね、ところで、マルス様の座学は終わったかい?」


メイド「はい…クッソつまらないって言ってました」


カイン「クッソつまらない?困ったもんだ…」


クッソとか言う子じゃ無いのに…少しプレッシャーをかけ過ぎたかな


あれから半年か…マルス様は、母君に似て気弱で優しい王子だ…しかし心を鬼にして鍛えねば…剣の才気は無いが…せめて座学くらいは頑張って欲しい…



ガチャ


わし「なんじゃ?ノックくらいせんか?」


あれ?…いつも剣の稽古の時は怯えてるのに


カイン「あ…すいません、マルス様!!座学がつまらんってどう言う事ですか?」


眼光が鋭くて、思わず謝ってしまった…


わし「全部知ってる内容じゃ、天動説とか間違ってるし、原子説とか、全部説かよ…質量を与えるヒッグス粒子とか心を踊らせる話しは無いんか!!」


なんで怒ってる?


カイン「ちゃんと授業を受けて下さい」


わし「そんな事より税制や自国産業に人口、他国の軍事力とかの方が重要じゃろ」


カイン「おお…国政に興味を持ちましたか!!」


わし「当たり前じゃ!!んで?なんか用か?」


あれ?…まるで別人だ


カイン「剣の修行でございます」


わし「おう!!剣の修行か!!座学は退屈じゃったが…ふはははは100敗は覚悟しとけ!!」


カイン「おお!!マルス様!!ついに剣にも目覚めましたか!!カイン厳しく指導しますぞ!!」


わし「わはははははははは!!飛天御○流の実験台にしてくれるわ」


飛天御○流??とにかく、やる気があるのは良い事だ



   〜〜〜ボッコボコにされる〜〜〜



わし「やってられっか!!チートねーし!!体格差があり過ぎる、痛ぶって面白いか!!児童虐待で訴えるぞ!!」


いつも泣いてるけど…泣き虫は治ったようだ……


カイン「さぁ!!もう一度…剣を取ってください」


わし「せんわ!!アホらしい」


カイン「な!?軟弱な!!」


わし「だまれサディストめ!!」


カイン「なぬ!?マルス様は、この国の王子として、私も心を鬼にして厳しく指導…」


わし「ほう…わしは王子なのか?」


わし?


カイン「そうです!!王族では最後の男子です、お忘れですか?兄のマルカス様みたいな英雄王の再来と呼ばれるくらい立派な主君に」


わし「マルカス?それで?お前はわしに何を望む?」


マルカス?兄上と言っていたのに…それにお前?喋り方も違う…


カイン「この大陸全土に覇を唱えて頂き平定を!!」


わし「は?覇?…お前は阿呆か大陸を平定とか馬鹿がする事だぞ」


阿呆?馬鹿?


カイン「マルス様!!流石に怒りますよ!!」


わし「アホめ…良いか、よく聞け、平定とは他国に侵攻する事じゃ、その度に重税やら物不足で民が疲弊する、勝てば良いが、現実は防衛側のが圧倒的に有利じゃ、それに戦が長期化したら目も当てられんぞ」


カイン「そうですが…」


わし「勝つのが難しいのに侵攻して、民を疲弊させるのが英雄王か?蛮勇王の間違いじゃないのか?分かってるなら平定などやめとけ」


カイン「しかし…国民全員が豊かで笑顔になる国をですね」


わし「笑顔?豊か?がはははははは、笑かすな!!だから侵攻の度に民が疲弊すると言っておる、笑顔や豊かに1番遠い行為じゃ」


カイン「では…どうするんですか?」


わし「まぁ見ておけ…数年もすれば、お前など、わしが人差し指を少し動かせば楽に殺せるわ」


人差し指?そんなバカな、人格や喋り方を変えた狙いが分かったぞ!!


カイン「はぁ…訓練が嫌すぎて、煙に巻く気ですね、少し知恵が付いたくらいで、サボる言い訳になりませんよ!!」


グイッ!!


首根っこ掴まれる


わし「まて!!まてまて!!誰かおらぬか!!コイツに!!殺される!!」


カイン「はいはい…人差し指で何とかなるんでしょ、続きしましょうね♡」



わし「ぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!!」



パチ…



カイン「夢か…懐かしい夢だな…平定なんてしなくても、国民が笑顔で豊か…か…、今思えば、あの彗星は吉兆だったか」


ホウトク「おおカイン殿、お目覚めか?さっき情報が入ってさ、マルス様がラコール国との塹壕戦で空前の圧勝だってよ」


カイン「はははは、そうですか、空前の圧勝ですか、例えるなら?」


ホウトク「もう銃の時代だからね、赤子の手を捻るどころか、人差し指を少し動かしたくらいでしょうな」


カイン「人差し指を少しですか…それはまた凄いですね」


ホウトク「カイン殿?泣いてます?」


カイン「あ…いや、凶兆と吉兆が同時に来る様な夢を見ましてね」


ホウトク「珍しいですね、それでどっちです?」


カイン「もちろん吉兆ですよ、戦勝報告を聞きましたし」


ホウトク「確かに」(笑)



次回に続く…


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