第96話 わし 平和を祈る

    



    〜〜〜ラコール陣営〜〜〜


ラコール「わははははは!!1000挺ほどの銃なら騎馬の突撃で破れる!!実戦で証明済みだ、よし次いで槍歩兵も突撃だ!!」


ラコール国槍歩兵「うおおおおおおおおおお!!」


マスケット銃1000挺と野戦砲じゃ騎馬と槍歩兵の突撃を止めれまい…


フィリップ軍師「マスケット銃部隊と野戦砲部隊はどうしますか?」


ラコール「そのまま待機だ、数で押し切れる!!」


ドドドーーーン!!ドドドーーン!!


ドドドドドドドーーーーーン!!


野戦砲のある方向から爆発音がする


ラコール「何事だ?」


フィリップ軍師「野戦砲を狙い撃ち?そんなバカな!?」


ラコール「なんだと?野戦砲を移動させろ!!


フィリップ「ど…どちらにですか?」


ドドドーーーン!!ドドドーーン!!


ドドドドドドドーーーーーン!!


ラコール「こ…後退…いや前進させろ!!」


     

    〜〜〜塹壕陣地〜〜〜



最初の斉射で何百騎は倒せたが騎馬部隊の勢いは止まらず距離を詰めてくる


そして騎馬部隊の背後から一斉に駆け出す槍歩兵



   ドドドドドドドドドドドド!!



わし「よし!!銃歩兵は装填後直ちに射撃!!重機関銃と野戦砲を撃てぇぇぇぇ!!」



ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


ボボン!!ボボン!!ボボン!!ボボン!!


第一次世界大戦の開戦直後、西部戦線において戦線が膠着し、戦いが塹壕と鉄条網に代表される陣地戦に移行すると、陣地防御において機関銃が極めて有効であることが明らかになった、たった1挺の機関銃でも旅団規模(1500〜6000名)の突撃をも食い止めることができたからだ


ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


ボボン!!ボボン!!ボボン!!ボボン!!


永遠に続くのかと思う様な小気味良い重機関銃の発射音と、絶え間なく続く野戦砲の重厚で激しい発射音


銃火器斉射の号令を出して数秒後には


人も馬も溶けて行く様に肉塊になって行く


わし「この世の地獄だな…」


そんな安っぽい言葉しか出ない、見たまんまの世界だ


手足が吹き飛び、血飛沫が舞い臓腑をぶち撒け肉塊の大量生産だ


アリア「…うっぷ…酷い…」


わし「正しい反応だ、これで良い、戦争は悲惨で残酷で無いと人類は戦争を好きになり過ぎる、平和であれば、子が親を埋葬するが、戦争は親が子を埋葬する悲しい出来事で無いとな」


ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


ドガガガガガガガガガッガガガガガ!!!


戦場に響き渡る死に神の音


アリア「…これで…正しいのでしょうか?」


わし「平和を欲さば、戦争の準備をしろだな」


アリア「………。」


わし「戦争する気を起こさせないほど、戦争の準備をすれば平和になる」


アリア「なんか矛盾して悲しいですね…」


わし「うむ…少なくとも平和は無料では無い」


  

 〜〜戦場から10キロ離れた小高い丘〜〜



タクト「やばいな…マルクス王国」


ミストリカ「え?まさか負けそうなの?」


タクト「逆だ…敵が弱いんじゃ無いマルクス王国が強すぎる…」


ミストリカ「マルクス王国に勝っては欲しいけど、元ウゴン国民だと思うと複雑ね…」


ツキノ「………。」


タクト「見ない方が良いなコレは…血の海と肉の塊が広がる地獄だ…。」


ミストリカ「………。」


ツキノ「………。」


タクト「乙種は飛んでないか…甲種は出して来ないのか?」


ツキノ「私にも見せて下さい…」


タクト「おすすめ出来ないぜ」


ツキノ「………………うっ……。」


タクト「ほらな…」




「貴様!!そこで何をやってる!!手を上げて、ゆっくり振り向け!!」


背後から怒号の様な声が飛んでくる


チッ…ラコール国の奴だと不味いな…


タクト「遊びに来てたら、ドンパチやってて気になって見てるだけだ」


20名ほどいるな…装備からしてマルクス王国と思うが、軍旗が無い


ユリウス「望遠鏡を持って遊びか?怪しい奴め!!ラコール国かレガシィ大帝国の者か?」


やはりマルクス王国の者か…


タクト「俺はマルクス王国のタクト侯爵だ」


ユリウス「侯爵?証拠を見せろ!!」


タクト「ほら…シグネットリングを見てみろ」


ユリウス「シリュウ分かるか?」


シリュウ「うーーーん…たぶん本物ですね」


ユリウス「誰かこの中でタクト侯爵を知ってる者はいるか?」


マルクス王国兵「はい、私は見た事あります!!タクト侯爵で間違いありません」


ユリウス「ふん!!戦争中とだと言うのに女連れでピクニックとはな」


シリュウ「まぁまぁユリウス少佐、タクト侯爵様ここは危ないですから帰った方が良いですよ」


タクト「言われなくても帰る所だ、車に戻るぞ」


甲種を見たかったが…仕方ないな


ミストリカ「いーーーーだ!!」


ユリウス「何だ?貴様!!」


ツキノ「こら、ミストリカ、すいません、すぐ帰ります」


ユリウス「ふん!!」




シリュウ「しかし、無茶苦茶強いですね」


ユリウス「俺がマルクス王国軍に突撃を仕掛けた時に速射砲も重機関銃も無くて良かったわ」


シリュウ「蜂の巣ではすみませんね…」


ユリウス「全くだ…」


シリュウ「そろそろ甲種が出て来ますよ」


    

    〜〜〜ラコール国軍〜〜〜



ラコール「な…何なんだ…あの弾幕は…あんなの突破出来る訳無いだろ」


フィリップ軍師「ど…どうしますか?兵は戦意喪失してます、野戦砲も半分は潰されました、か…数ではまだ有利ですが…」


ラコール「い…一旦森まで引くぞ!!退却の号令をかけろ」


フィリップ「ははっ!!…ん…?…何ですかアレは?」


遠くから異質な音が聞こえる



  キュラキュラキュラキュラ…



  ドォォォォォオオオオオン!!!



爆発にも似た射撃音がした瞬間、陣地近くに土煙と同時に人が弾け飛んで行く


ラコール「なななな!?何だアレは!?」


フィリップ「銃や砲弾を物ともせず進んで来ます!!」


ラコール「た!!直ちに撤退だ!!早く!!早く号令を出せ!!」


フィリップ「了解しました!!」



   キュラキュラキュラキュラ…



  ドォォォォォオオオオオン!!!



音がしたと思った瞬間にフィリップが消えた


キーーーーーーンと耳の奥が鳴る…


音が聞こえない…目の前は土煙が上がって私は地面に突っ伏してる…何が起こったのか把握出来ない


逃げ惑う我が国の兵士達…


誰か…俺も連れて行け…


意識が遠のく…誰か…


誰か…



次回に続く…

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