第92話 わし 忍び難きを忍ぶ



   〜〜〜マルス自由都市〜〜〜



タクト「マルクス王国とラコール民主主義社会主義国が戦争だな」


ツキノ「………。」


ミストリカ「マルクス王国が仕掛けたの?」


タクト「マルクス王国に仕掛ける理由がないだろ、ラコール国の食糧難や物価の高騰が原因だな」


ミストリカ「マルクス王国は勝つの?」


タクト「ラコール国は2〜3万の兵力でマルクス王国は王子自ら出陣するが兵力は2000ほどだな」


ミストリカ「10倍も差があるじゃない!!」


タクト「マルクス王国の軍事情報を見たが、たぶん圧勝だな…」


ミストリカ「なんでわかんのよ!?」


タクト「その確認の為に戦場へ物見遊山と洒落込むか」


ミストリカ「危なくない?」


タクト「こっそり遠くから見れる場所がある、そこに行くぞ」


ミストリカ「本当に人遣い荒いわね!!」


ツキノ「………。」



  〜〜〜マルクス王国 王都〜〜〜



都民「マルス様!!愚かなラコール国軍の撃滅を!!」


都民「マルス様ーーー!!ラコール国軍に天罰を与えて下され!!」


わしが軽く右手を挙げる



    ワーーーーーーー!!


       ワーーーーーーー!!



都民「マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!」


完全に宗教じゃな…



都民「なに?まじまんじって?」


都民「お前、新聞やラジオを見て無いのかよ、愛国心や愛国者ポーズだよ」


都民「へーー愛国心とか聞いた事あるけど、そんなのもあったのね」


都民「へーーーってお前は愛国心とか無いのかよ」


都民「あ…あるに決まってるだろ!!マジ卍!!」



颯爽と蒸気機関車に乗り、パドロ駅都市まで行く、民衆に向け手を挙げ続ける



都民「マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!マジ卍!!!!!」


民衆とは実に愚かだな…国民の幸せなんて為政者次第だな…


アリア「凄い熱狂ですね」


わし「愚かだからな…だから良いんだけど」


シルビア「結局、幸せなら良いんじゃない♡?」


アリア「マルス様を悪く言う人いませんしね」


わし「一部はいるだろ、例えば貴族とか商人には不興を買ってる」


アリア「言わせてて良いんですか?」


わし「問題無い、有力貴族や有力商人で新たなマスコミを作ろうとしてる、それに評価として1番最悪は普通だ、最高の王子で最低の王子と言われて一人前じゃ」


好きな芸能人1位で嫌いな芸能人も1位これが本物である


アリア「そうなんですか…でも大丈夫ですか?マスコミで民衆を扇動出来たり?」


わし「ガス抜きは必要じゃ、それにスポンサー企業に国営関連を入れるし、国税局を使って嫌がらせ出来るしな、民衆には義務教育でわしの偉業や歴史を学ばして、完璧に洗脳されてる」


アリア「私も洗脳されてるんでしょうか?」


わし「さぁ?お前じゃ無いから分からん」


アリア「わ…私は心からお慕いしてます!!」


シルビア「いやーん♡アツいわ♡」


わし「………。」


アリア「今回の戦は勝てますか?随分と兵力差があると思いますが」


わし「まぁ甲種が完成したしな、3輌しか無いが余裕じゃな」


シルビア「塹壕戦って作戦概要を見たけど新しい戦術だわ♡」


わし「現場に着いたら皆んなで穴掘りだ、もう1000ほどの工兵が先遣隊で行ってるけどな」


ピクッ!!


コタロウ「ウウウウゥゥゥ!!」


スゥ…


「マルス様!!」


チャキ!!


アリア「お下がり下さいマルス様!!」


わし「アリアもコタロウも反応凄いな…影部隊のタオだよ」


アリア「狭い車内なのに相変わらず、気配が掴みにくいですね」


シルビア「ああぁぁん、ゾクゾクしたわ♡」


タオ「お…お久しぶりです…敵の動向が分かりました」


わし「どうじゃ?」


タオ「パドロ駅都市に向かって真っ直ぐ進軍してます、陸軍の数は2万です軍艦も2隻を確認し、上陸部隊もいると思われます、リバティ港湾都市に向けて出港した模様、陸軍は2週間でパドロ駅都市100キロ地点、蒸気船も2週間もあればリバティ港湾都市に着くかと」


わし「そうか…こちらには時間的に余裕があるな、ではジャア大佐にヤマトと駆逐艦での出撃命令を出してくれ、見つけ次第、撃破しろと」


タオ「ははっ!!あと…ジャア大佐が何やら色々と発注してましたが、よろしいのですか?」


わし「発注書を見せてみろ」


タオ「こちらです」


職人50名…備品多数…備蓄多数…


わし「なんじゃ職人とか備品や備蓄の詳細な情報は無いのか?」


タオ「意図的に隠してるかと…」


わし「まぁ良いじゃろ…大した額でも無いしな、一応なにかしらの考えがあると信じて見る」


タオ「何者ですか?隠蔽工作が出来るとなると結構な権力があるかと、カゼハヤ様にも、命が惜しければ、これ以上探るなと言われましたし、まさか王族の庶子とか…」


実は王様なんだよね…


わし「まぁそんな所じゃ」


タオ「やはりそうですか…分かりました、では海軍局に作戦を伝えておきます」


わし「うむ…」


アリア「情報が早いですね」


わし「情報網や電話と色々と張り巡らせてるからな」


アリア「ジャア大佐って誰ですか?」


わし「関わるとアホになるからやめとけ」


シルビア「ほら噂の赤い彗星よ、仮面を着けて筋骨隆々のマッスルなの♡出生は謎に包まれてて、惹かれるわ♡」


親父自ら吹聴してそうだな…


アリア「へぇ〜興味出ますね?マルス様は正体知ってるんですよね?」


わし「まぁ…そうだが関わらない方が良い…」


シルビア「あぁぁん♡気になるわ、亡国の王子様って噂よ、やっぱりウゴン王国の王家筋よ、あり得るじゃ無い、時期的に♡」


わし「………。」


カゼハヤ…マジで頼んだぞ…



  〜〜〜リバティ港湾都市〜〜〜



マルクス王国海兵「ジャア大佐、大本営からの電話でヤマトと最新駆逐艦で哨戒活動を強化し、敵艦を見つけ次第、撃破との事です」


ジャア大佐「君は何か足りないと思わないか?」


マルクス海兵「え?……と…分かりません!!」


ジャア大佐「それは赤さ…」


マルクス海兵「は?…」


ジャア大佐「今すぐ注文してた職人と塗料を用意したまえ」


マルクス海兵「ははっ!!」


ララン「わたくしの船もお願いしますわ」


ジャア大佐「ラランは賢いな…」


ララン「そう言う言い方、嫌いです、大人っぽくて」


ジャア大佐「そうだな、気をつけよう」


マルクス海兵「用意出来ました!!」


ジャア大佐「まず船体を赤く塗れ、艦橋はピンク色かな艦名の名前はムサイに改名したまえ、駆逐艦は緑に塗装しエルメスと名付ける」


マルクス海兵「ははっ!!しかし…哨戒活動は?」


ジャア大佐「赤より大事な事があると思うか?」


ララン「思うか?」


マルクス海兵「あ…いえ…分かりません」


ジャア大佐「フッ…坊やだからさ…」


ララン「だからさ…」


マルクス海兵「はぁ…」


ジャア大佐「では、早速作業にあたらせろ」


マルクス海兵「…ははっ!!」


カゼハヤ「何をしてるんですか?」


マルクス海兵「ははっ!!ジャア大佐が戦艦を赤く塗れと」


…噂以上のアレな人だ…しかし…


カゼハヤ「どれくらいかかる?」


マルクス海兵「職人が言うには全塗装に1週間〜10日ほど…」


1週間なら間に合うか…あえて忍べきか


カゼハヤ「1週間で終わらせるように、職人の報酬も倍だす」


マルクス海兵「ははっ!!やはり赤は重要なのですね!!」


まずは相手の意見を飲み込んでから、譲歩させる


ジャア大佐「分かってるじゃないかガルマ…いや、リバティ方面軍司令官ガルマ・カゼハヤ少将とお呼びすべきかな」


ガルマ??


カゼハヤ「ははははは…その代わり、哨戒はちゃんとやりましょうね」


ジャア大佐「あせるな、奴らは我々の庭に飛び込んだヒヨコだ、まだチャンスはある」


チャンスを潰してると思いますが…


カゼハヤ「はははは………。」


これは過去最高に難度の高い依頼だ


次回に続く…

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