第70話 わし 人間査定値について語る

マルクス領内 バッカス砦


わし「今日はここで野営じゃな」


ロリー「マルス様〜お帰りなさいませ、お食事の用意が出来てます、あとマルス様はお風呂好きと聞きましたので、お風呂も用意しております」


わし「おお…用意が良いな」


ロリー「早馬でマルス様の帰還を知りまして、気が利くのは当たり前、淑女の嗜みですわ」


わし「このコタロウも砦に入れて良いか?」


コタロウ「ウゥゥゥゥ」


ロリー「ひぃ!!け…獣じゃ無いですか…マルス様が良いなら、良いんじゃ無いんでしょうか?」


わし「ふむ、じゃあ行くぞコタロウ」


コタロウ「くぅーん」


わし「ああ…腹減った、アリアも早く来い」


アリア「あっはい!!荷物を馬から降ろすので先に行ってて下さい」


ロリー「…………。」


はぁ…何か時間が経てば経つほどマルス様を意識してしまう…昼寝中になんて大それた事を…


なんかボーーとしてしまう、お昼の事はマルス様も気付いてると思うけど、やっぱり私には魅力が無いのかなぁ



         ドン!!



激しく肩をぶつけてしまう…不覚だ、いつもはこんな事は無いのだけど


アリア「すいません」


ロザリー「気を付けなさいよね!!あら…あなたは元奴隷の売女さん?」


こんなのは、マルクス神聖学校でも慣れてる


アリア「すいません、急ぎますので」


ロリー「あらロザリー姉様どうされました?」


あ〜めんどくさいなぁ


ロザリー「薄汚い元奴隷がウロウロしてるのよ」


ロリー「あらほんとですわ、マルス様は獣に奴隷に物好きですわ」


アリア「無礼者!!」 チャキ


私の事は良いけどマルス様を侮辱するのは許せれない…



ロザリー「あら怖い、平民風情が貴族に逆らうの?不敬罪で死刑ですよ」


ロリー「ふふふふふ、その剣を抜いてみなさいよ」


スッ…


アリア「……すいません…失礼します」


ロザリー「あはははははw」


悔しいが、ここでモメてもマルス様に迷惑がかかる、私が我慢すれば済む



コンコン


アリア「アリアです…」


わし「おう入れ」


アリア「失礼します…」


わし「……なんか暗いなどうした?」


あ…顔に出ちゃったかな?


アリア「大丈夫ですよ、何もありません」


わし「そうか…んじゃコタロウと風呂に入ってくる、お前も後で入りなさい」


アリア「え!!一緒にって事ですか!!」


わし「わしが入った後に!!入れだ」


アリア「マルス様は、私が元奴隷だから一緒にお風呂は嫌ですか?」


わし「前から言ってるけど身分とか関係ないな」


アリア「証明して下さい!!」


うおーこえーモードきたわー


わし「ほら、もう良い年頃だし、何かあったらダメだろ」


アリア「元奴隷と何かあったらダメ何ですか?」


わし「いや…そこじゃなくて」


アリア「他の貴族や王族は女を侍らしてお風呂に入ってます!!」


わし「そう言う趣味が無いんだよな」


アリア「では元奴隷には差別意識が無いって証拠を見せて下さい!!」


やけに食い下がるな…めんどくせー


わし「さてはお前シルビアに風呂でわしを気絶させて色々やっちゃえとか入れ知恵されたな!!」


アリア「そんな事言われてません…」

うるうる(目)


う…涙に弱い…


わし「はぁ…わかった…では風呂に入ろう」


アリア「ホントですか!!」


わし「気絶技とかするなよ!!」


アリア「もちろんです♪」



     〜〜〜風呂〜〜〜



風呂っていってもデカい桶にお湯張っただけか…まぁ砦だしな、わしの風呂好きが新聞で伝わり、最近は大衆浴場が人気になってる


しかし極楽過ぎる!!コタロウはめちゃくちゃビビってるな…


アリア「し…ししし失礼します!!」


チャプ…


わし「めちゃくちゃ緊張してるな」(笑)


アリア「と…ととと当然です!!夢の1つが叶いましたから」


わし「微妙な夢だな…価値観の差だから否定は出来ないが」


アリア「マルス様は夢があるんですか?」


わし「うーーーん…無いな、ずっと叶ってる途中みたいなもんか」


アリア「どう言う事ですか?」


わし「わしが認知してる人が幸せで元気で働いてるだけで良いからな、ずっと叶ってる途中だな」


アリア「び…微妙な夢ですね…」


わし「はははははは!!言うでは無いか、個人的な欲が無いのだ、ほとんどの物は手に入れたしな(転生前に)、そうなると壮大な暇潰しだ、人生は」


アリア「認知してる人が嫌な人でも幸せを願いますか?」


わし「前にも言ったが、人間は良い人で嫌な人だ、わしが貧乏で地位も無ければ、普通の人は嫌な態度を取る可能性が高いし、身分の高い人は嫌悪感すら抱くだろう、わしが金持ちで地位も高ければ逆の事が起こるだけ、わしから言わせれば金も地位もただの幻想だからな実にくだらん」


アリア「そうですか、幻想か…」


わし「では、もう出る、シャンプーと言う髪専用の石鹸みたいな物を開発したから、使って見ると良い」


アリア「ありがとうございます」


シャンプーの歴史は大正時代からだから、実は最近なのよね、現代人にはシャンプーは必須!!





…体を洗ってシャンプーを使ってみよっと


幻想か…マルス様への好意の気持ちも幻想なんだろうか?それは違う様な気がするけど


シャンプー良い香り…疲れがとれるしリラックスできる


わたしはマルス様の役に立っているのだろうか…自分の存在意義って何だろう…


考えても仕方ないか…


さて出ようと…


ぐるぐると思考がまとまらない


あ…!!!


服が泥まみれでボロボロになってる


物陰から微かに感じる気配


アリア「誰?」


ロリー「ふふふふ…元奴隷にはそれがお似合いよ」


アリア「服を洗って来ます…」


ロリー「生意気なのよ、奴隷の癖にお風呂なんて、どんな汚い手を使ってマルス様に取り入ったのよ」


アリア「………。」ごし…ごし…ごし


ロリー「マルス様も見る目が無いわね、こんな貧相な女が良いなんて」


アリア「マルス様は見る目があると思います、ただ普通の人と感覚が違うんです」


ロリー「それを見る目が無いって言うのよ!!」


アリア「わたしも、なんで側に置いてもらってるのか分かりません、ロリー様には無い何かがあるとは思います」


ロリー「な…生意気な奴隷ね!!」




        ガチャ



わし「のぼせたかと思って心配して見に来たら、くだらない話しをしてるな」


ロリー「マ…マルス様!!」


わし「わしから言わせれば、貧相な元奴隷を気にしてる時点で同レベルだな」


ロリー「私が同レベルですって?地位からして違いますわ」


わし「生まれながらに得た地位などゴミだ」


ロリー「ゴミ?そんなバカな」


わし「わしには明確な人間査定値と言うのがある、まず高い知性(勉強)と技術(スキル)と寿命(若さや時間)だな、この査定値が高ければ高いほど、必要とされるからだ、そう言う人間に金も地位も名誉も後から付いてくる」


ロリー「魅力なら、この元奴隷より私の方が若く美しいと思いますが」


わし「それもゴミになるな、まず美しさや若さは減退する価値だ、40歳になったお前に美しさや若さは求め無いし、そもそも交換可能だからな、ババアになったら若くて綺麗な女に交換すれば良い」



ロリー「で…では!!そこの元奴隷は何が違うんですか?」


わし「わしやお前より、戦闘と言う面で遥かに強い技術(スキル)を持っている、交換するのが難しい価値を創造している」


ロリー「………。」


わし「与えられた地位もゴミで交換可能なお前はゴミだ」


ロリー「ひ…ひどいですわ!!」(泣)


わし「寿命と言う査定値は高いのだから、わしや国の為になる技術や知性を高めるしか無いな」


わし「アリア…もう寝るぞ」


アリア「あ…はい…でも…裸なんですけど」


わし「ふむ…服を取って来てやろう」


ロリー「ひっく…そこに隠してあります…」(泣)


わし「んじゃ着替えて、コタロウをモフモフして寝よう♡」


アリア「私の裸を見て何も思いませんか!!」


わし「うーーむ…貧相だな…」にやにや…


アリア「ひどいです!!」(号泣)




ロザリー「何してますの?」


ロザリー「マ…マルス様!!女2人泣かして、ニヤニヤしてる…」


わし「ちょと待て!!勘違いするなよ」



ロザリー「私も泣かして下さい!!」


あ…変態さんだ…


わし「も…もう寝るからな!!風邪を引いても知らんぞ!!」



ひっく…ひっく…しくしく…




次回に続く…

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