第17話 わし 有能なのバレる

大臣室


ヨミ「デモクリト枢機卿、どうでしたか小倅は」


デモクリト枢機卿「凡庸以下だな、ゴミ同然だ」


ヨミ「そうでしょう、そうでしょうwwwこの国を明け渡した暁には、この国のキュリア王女と結婚し、新しい新興国でお願いします」


デモクリト枢機卿「キュリア王女は、まだ9歳だぞ…(ロリコンめ)しかし衰弱国家にして、対した兵も使わず乗っ取ろうと計画していたが、人口も増え街は賑わってる、本当に財政赤字なのか?」


ヨミ「もちろんですとも、私は財務大臣ですぞ、金の流れは手に取る様に分かります、あと1年でこの国は終わります、仮初めの好景気です、しかし、わしの意見書も殆ど採用されず、腹立たしい」


デモクリト枢機卿「ふーむ…他に税制改革や奴隷改革の他に何かあるのか?」


ヨミ「そう言えば小倅の主導で1年ほど前から学校を3校も作っておりましたね」


デモクリト枢機卿「主導で?ちょと見学できるか?」


ヨミ「よろしいですが、奴隷も一緒に学ばせてる様な場所ですよ、臭くてかなわんです」


デモクリト枢機卿「かまわん」


ヨミ「はぁ…私は行きませんよ…」


マルクス平民学校


デモクリト枢機卿…なるほど、文字や簡単な計算か…奴隷も学ばさせている以外は特に無いか、しかし人材の裾野を広げてるのか、侮れん…


マルクス工科学校


先生「機関部はこの構造を試してみよう、シリンダーが中々効率よく機能しないな」


生徒「小型化にはまだ時間がかかりますね」


デモクリト枢機卿「!!!!なんだこれは?」


先生「これは外燃機関の一種で蒸気機関車のエンジン部分です」


デモクリト枢機卿「蒸気機関車?」


先生「はい、マルス王太子様が設計した蒸気機関と言う物です、レールを蜘蛛の巣の様に張り巡らせ、そのレールの上を走る物です物資や人の輸送を効率良く運ぶ為の機関部を今は作ってますね」


デモクリト枢機卿「馬車鉄道では無いのか!!??」


先生「馬は時代遅れですよ、この蒸気機関はまだ速度は出ませんが馬50頭分の出力が出ます」


デモクリト枢機卿「!!!!???マルス設計だと…」



生徒「先生!!シリンダー・コントロール装置を見て下さい」


先生「わかったわかった、ではゆっくりして行って下さいね、授業風景も見て下さい」


デモクリト枢機卿…どうなってるんだ…我が国より100年は進んでるぞ…


マルクス神聖学校


先生「撃ち方よーい、てぇぇぇ!!」


パン!!パパパ!!パン!!!


デモクリト枢機卿「!!!!!その棒みたいなのはなんだ」


先生「あ〜これは銃と言います、火薬の力で、押し込めた鉛を押し出す構造で、まだ命中精度は高くありませんが、マルス王太子曰く、ライフリングと言う物が技術的に出来れば、鉛がもっと真っ直ぐに飛ぶと言ってましたね、もう半年もすれば今いる生徒全員に行き渡るみたいですよ、あの方は本当に凄いですよ」


デモクリト枢機卿…マルス…一体…何者だ!!



神聖隊隊長シルビア「ハイ♡ハイ♡ハイ♡マッソー!!」


神聖隊員「ハイ♡ハイ♡ハイ♡マッソー!!」


シルビア「じゃあ次は組手よ〜♡、体が密着するからって、興奮し過ぎない様にね」


神聖隊員「ハイ姐さん!!」


デモクリト枢機卿「あ…あのむさ苦しい連中は何だ…」


教官「ああ、国費で雇われてる神聖隊です、ちょっと変わった部隊ですので…色々とアレです」


デモクリト枢機卿「……そうか…アレか…そうか…」フラフラ…



大臣室


ヨミ「おかえりなさいませ、デモクリト枢機卿、こちらは例の賄賂でございます、小倅に渡した貢ぎ物の100倍の価値はあります…どうでしたか視察は、臭い汚いキツい煙いの4Kの場所だったでしょう、私めなど、近寄れませんわい」



デモクリト枢機卿「……この!!!大馬鹿者め!!!!お前の目は節穴か!!!」


ヨミ「ひぃぃぃ!!!」


デモクリト枢機卿「もう少し気付くのが遅ければ危うく聖カトレイア国がマルクス国に飲み込まれてたわ!」


デモクリト枢機卿「マルクス国のお目付役は解任だ、キュリア王女との婚姻も白紙だ」


ヨミ「そ…そんな…」


デモクリト枢機卿「国に帰って戦の準備だ、今すぐこの国を潰す、ヨミ…お前もこの国と同じ運命を辿れ」


ヨミ「考え直してくだされ!!枢機卿!!枢機卿!!」



その頃わしは



わし「ふぁー最高だわ、やはり日本人は風呂だな風呂、蒸気機関の恩恵と言うかボイラー技術で簡単に毎日お風呂に入れるとは…科学技術が進歩すれば、色々な副産物も生まれるよねー」


カレン「大変ですマルス様」


わし「おおカレンも入るか?」


カレン「お戯れを、それよりデモクリト枢機卿の事で」


わし「おお、なんか適当に手土産持たせて帰ったか?」


カレン「いえ…学校の視察をしてましたわ」


わし「なにーーーーー!!!!」


ザパーーン!!


カレン「前をお隠し下さい」


わし「まだまだ可愛いゾウさんだぞ…とか冗談言ってる場合じゃない、それでどうなった」


カレン「今すぐ帰国し戦の準備をして、この国を潰すと」


わし「……うん、それは困ったね」


暗殺しか無いか、結局領内で大国の重鎮が死んだとなれば、戦争は不可避、それでも、のらりくらりと時は稼げるか


わし「カシムを、なるはやで呼んでくれ、カインには暗殺の指示を」


カレン「御意」



わし私室



移動制限をかければ良かった…油断した…



バン!!


カレン「すいません、暗殺失敗しました、と言うより、着のみ着のまま、お供を連れて領内を脱出してましたわ」


わし「うーむ流石だな、これは敵を褒めるしか無いか」


ドドドドドド!!!


バン!!!


カシム「マルス様、お呼びですか?」はぁはぁ


わし「カシムご苦労、今月の報告書を見せろ」


カシム「はい好景気で税収も増え綿製品は貴族中心に売れ行き好調、他国への輸出も順調で、特に純度の低いサルファ剤がウゴン王国に高値で飛ぶように売れてます、自国の食料自給率も上がり、供給力も鰻登り、そしてそして、なんと不思議な事に金と銀の流出が減り、黒字目前では無いかと」


わし「それでは遅い…」


カシム「え…どうされました?」


わし「数ヶ月もしないうちに、全力で聖カトレイア国が攻めてくる」


カシム「どうしたんですか???」


わし「バレたwww色々とバレちゃったwww」


カシム「バレちゃったって…戦争ですか…国力差は縮んだと言っても、まだ5倍はあります、それに…肝心な戦費が…捻出出来ません…」


わし「まぁ少し早いが奥の手を使う」


カシム「待ってました、その奥の手とは?」


わし「カシム…お前が先程言ってただろう」


カシム「……??」


わし「不思議と金と銀の流出が減ったって」


カシム「はぁ…そうですが、何故です?」


わし「城下町には随分とマルクス紙幣が流通してるし、実際に殆どの店で使える、そんなお前は、いちいち交換所に行くか?」


カシム「はっ!!!」


わし「決済の半分以上がマルクス紙幣や銅貨だ、金貨や銀貨は使われなくなってる、採掘量や外貨獲得量の方が上回って来てるのだ」


わし「だが背に腹はかえられぬ、まずお前は大量にマルクス紙幣を刷れ、そしてマルクス国は金塊を自国レート以上に買いますと他国に御布令を出せ」


カシム「それはどう言った意味が」


わし「まず商人が金塊を持ってくる、マルクス紙幣で払う、商人は自国に帰るのに、我が国の商品を買う、商人の支払いはマルクス紙幣だ、残ったマルクス紙幣は交換所で金貨に替えるだろう、しかしその差額分、我が国に金が増える、そして直ちに交換所&預かり所にしろ、金貨や銀貨は持ち運びに不便だと民も商人も気付いてる、預かった金貨の代わりに預かり証を発行して、それも我が国での決済手段にする、これで、バカみたいに金貨は集まる」


わし「あと武器や馬や糧食をマルクス紙幣で買い集めろ」


わし「とにかく供給力も同時に上げないとダメだ、工場も食料生産もフル稼働させろ、お金の量がどっと増えるから、物不足になれば、たちまち高インフレだ!!」


はぁはぁはぁ…



カシム「ほとんど理解出来ませんが、マルス様を信じてますので、頑張らせてもらいます」


わし「頼んだぞ、あと、カゼハヤに聖カトレイア国の諜報を頼んでくれ、まだまだやる事はいっぱいだ」


はぁ…転生前の不換紙幣なら、金貨の量なんて気にせず、お金刷れるんだが、唯一気にするのは供給力のみなんだよね


次回に続く…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る