第10話 わし ピンチ 3

人類を永らく苦しめたペスト菌


転生前では抗生物質があるので、死ぬ事は稀だが、まだ抗生物質の無い時代では高い致死率を誇っていた、この時代では対症療法も確立されておらず、罹患した者は放置され死を待つのが現状だ


作戦が決まり、また諸将に軍議があると召集をかける


わし「皆んな夜分に集まって頂き感謝します、これから敵陣に夜襲をかけます」


諸将「打って出るのですか?しかし無謀では…」


わし「神の神通力で敵を殲滅する」


諸将「神ですか?いや…あまりに抽象的な作戦ですし、今日着陣の兵も疲れておりますし賛成しかねます」


わし「援軍の我々が現れても敵は引かないし、食料の備蓄を見たが、1ヶ月も持たない、今日我々が着いたばかりなので、今日の今日に仕掛けて来ないだろうと敵も油断してる、それに不可解な事が多い、ただの予測の範疇だが、それでも僕に命を預けてはくれまいか」


眼光鋭く諸将を見渡す


諸将「分かりました、では全軍を持って夜襲を…」


わし「全軍もいらん、騎馬300ほどで良い」


アダム辺境伯「マルス様…恐れながら浅慮過ぎませんか?それに失礼ながらマルス様は戦のご経験も無いではありませんか」


カイン「マルス様に忠誠と命を預けると言ったでは無いか!!」


ナイスだカインwww


アダム辺境伯&諸将「……。」


わし「わしの私兵から兵を出す、諸将は守りを固められよ」


諸将「ははっ!!」


この時代の戦は多くの文献で目にしてる、やりようはあるが、戦上手と思われても、内外に警戒されてしまう


なんかよく分からないけど勝った、これがベストだ


カインとアベルに作戦の全容を伝える


狐につままれた様な感じだ


アベル「本当にそんな作戦で大丈夫なんですか?」


カイン「マルス様を信じるしか無いだろう」


では夜襲をかける


兵を鼓舞し見送る


門を開けよ!!


    ドドドドドドドドドド!!!


勢いよく騎馬が夜中を駆ける


敵兵に化けさせた、決死隊を敵陣近くで降ろして行く、簡単な仕事


しかし、敵兵も上手く応戦している、油断と夜襲で、もっと簡単に行くかなとは思ったが、中々に手強い


とは言っても、真っ直ぐ敵陣の篝火に進んで適当に敵をいなすだけなので、精鋭300を持ってすれば、速やかに事は進む、この作戦はスピードが命だ、敵が面食らってる間に作戦を遂行せねばならない、敵は大軍、もたもたしてたら包囲殲滅される


カイン「完了した」


アベル「こちらも完了しました」


カイン「では引くぞ!!」


どうやら作戦は上手く行ったみたいだ


後はのんびり、待つだけ


城門を開け、私兵を労う


わし「良くやった皆、今日はゆっくり休め、夜の3時には決死隊が帰って来るから、城内に入れ、大部屋に全員入れて、体を拭いて栄養のある物を食べさせて休ませろ、敵の装備や体を拭いた布は砦の掘りに捨てておけ」


兵達「ははっ!!」


諸将達はわしが何がしたかったのか分かってない様子だ、そりゃそうだ、この時代に電子顕微鏡も無い、病と言う概念はあっても、ウィルスや菌が原因と分かるには、まだまだ先の話しである


密かに炭疽菌も培養していたが、流石に非人道的過ぎる…短期間で死に致死率も高く、人から人に感染せず、使用後の環境修復も簡単で、培養も簡単


侵攻目的での生物兵器としては三拍子も四拍子も揃ってるが…


良心の呵責と言う奴か…


ペスト蔓延作戦はモンゴル帝国が史実として行ってるが、人の業とは深い…


ふと昔に何故人は、酷い事が出来るのだろうか、と考えた事がある


答えは、相手の事をほとんど知らないし認知外の存在だからだ


ホモサピエンスの個人の認知限界は300人(ダンバー数)、名前も顔も一致する人数限界は300人なのだ、これをどれだけ広げるかが国防や富国に繋がって行く、日本人が困ってると聞くと、知らないけど助けたいと思うのが認知革命だ


江戸時代は、日本人と言う感覚は無く、隣の県は他国と言う認知だ、隣の国(神奈川県)が困っていると聞いても、へー大変だねくらいだろう


しかしそれでは、西欧列強に対抗出来ない


そこで明治維新と歴史は流れていく


人は認知によって凄く優しくもなり、凄く残酷な生き物にもなり得るのだ



次回に続く


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る