第9話 わし ピンチ 2

1人で馬に乗れないわしは、アベルの馬に乗り共にカイン屋敷まで赴く


カイン「マルス様すいません、事が急でして、アベルを使いに出しました」


カインは勿論、私兵も武装済み


ふーむ…騎士様って感じ


時代遅れって感じ


わし「状況報告頼む」


カイン「はい、国境のバッカス砦の物見の話しでは、敵は5000ほど、マルス様は城で報告お待ちくだされ、必ずや撃退の報をお届けします」


あれ?大国の割に動員兵力が少ない、まぁそんな事に思慮を巡らせる余裕も無く、とりあえずは一大事ではある


わし「て言うか、わしは何しに来たの?」


カイン「兵たちを鼓舞して欲しいのです」


わし「わしも行く」


カイン「え?しかし危険です、砦にはアダム辺境伯の1000の兵、マルス様の私兵が1500ほどで、我々は2500の寡兵ですし、砦も強固な砦では…」


わし「だから行くんだよ、命令だ、連れて行け」


カイン「しかし…」


アベル「カイン様、マルス様って、こんなキャラでした?もっとウジウジした感じでしたよね?」ひそひそ…


カイン「前に言ったであろう、人が変わったみたいって」ひそひそ…


わし「何ブツブツ言ってるのじゃ、そんなヒマがあれば早く連れて行け」


アベル「では行きますか?危うくなれば、脱出してもらいますね」


わし「まぁ大丈夫じゃろう、それに鼓舞するなら砦までしないとな、士気は大事じゃ、では行軍速度重視で行くぞ」


カイン「では…命に代えてもお守りします」


おお…いい部下だ


では出発


馬の駆歩は時速20~30km並足で40km〜50kmほど走行可能


どうやら急いでも馬が疲れるので馬の徒歩くらいで進む方が効率が良いみたいだ、馬を何頭も連れて乗り換えれるなら早いみたいだけど


国境沿いのバッカス砦まで140キロはある


最短でも4日はかかるじゃねーか


尻…凄く痛い…泣ける…せめて馬車が欲しい


早く内燃機関開発してバイクか車を作ろう


わしの尻以外は道中何事も無くバッカス砦付近に着く


砦は包囲されていて、好戦的な感じでは無い、やはり動員兵力から見ても威力偵察的な感じかもしれない


となると敵国の意図が分からない


それでも、攻城戦は3倍の兵力が必要なので、砦は向こう側が本気出せば吹けば飛ぶ感じではある


砦まで後少しと言う所で敵側の偵察部隊と遭遇戦がいきなり起こる


カイン「マルス様お下がり下さい!!」


わし「なるべく捕縛しろ!!わしに考えがある!!」


カイン「ははっ!!」


敵の偵察部隊と言っても10数人なので、全員捕縛に成功


我が軍の練度も中々じゃ無いか


わしの命令で敵兵の装備を鹵獲、敵の偵察部隊に我々は5000の兵で来てると言い釈放


我が軍は陣形を整えて砦の様子を観察してると


捕虜の話が伝わったのか包囲が緩やかに解け敵側の陣形変えるタイミングで


わし「今じゃ!!全軍バッカス砦に向かって駆けろ!!」


わしの号令と共に城めがけて突撃


勢い良く騎馬部隊で駆けてくマルクス王国軍に敵兵は蜘蛛の子を散らす様に包囲が解けていく


あまりに上手く事が進み過ぎてる


やはり威力偵察か


敵との交戦も無く砦に入城


アダム辺境伯「まさかマルス王太子様が直々に援軍に来ていただけるとは!」


わし「堅苦しいのは良い、よく守ってくれた、で…状況はどうだ?」


アダム「はい、1週間ほど前に我が領土に侵入し、包囲網を築かれました、1000の兵では如何ともしがたく…」


わし「なるほど分かった、とりあえず諸将を呼んで軍議を開こう」


アダム「ははっ!!」


アダム辺境伯や諸将を呼び軍議を開くが、籠城で意見はまとまった、それは良いのだが



マズイ…糧食が足りない…



急いで来た為、準備不足だ…



もって3週間だし、不自然な点の多いウゴン大国の出兵、王都を長い事留守に出来ない


やはり…奥の手だな


カインやアダム辺境伯に忠誠心が高く、身のこなしが軽い健康な兵を数十名を募る様に命令


カイン「マルス様の仰せのままに集めて来ました」


わし「ご苦労、後はわしに任せなさい、フヒヒヒwwwww」


カイン「…顔が…こ…怖いです」


わし「良いから下がってよしwww」


カイン「は…はぁ…」


会議室に集めた兵に、バックから汚い布や汚水が入った小瓶を渡す


わし「勇気ある諸君、集まってくれてありがとう、早速だが、今日の夜に夜襲をかける、そして、敵の偵察部隊から鹵獲した敵兵の鎧を着て、敵陣に紛れ込み、飲み水や食べ物に、この布や汁を混ぜろ、特に飲み水に重点的にだ明け方の3時に合図で城門を開けるから帰還しろ」


兵達「????」


まぁその反応は分かる、この小瓶の中身の布にはペスト菌がべっちょり、城下町の清潔化計画の時にスラム街からゲットした一品だ、天然痘が良かったけど、自軍が蔓延したら本末転倒だし、天然痘患者らしき病人は居なかった、その点ペストは治療法を知ってるので、問題無い、ミッション後は決死隊は隔離するし


ちなみに治療法は


塩酸、アニリン、硫酸などからN-アセチルアニリン化合物を作成した


サルファ剤の一種だ


この時代の設備でもN-アセチルアニリンは比較的合成が簡単だ


1.スルホン化

2.スルホン酸 → スルホンアミド化

3.N-アセチル基の加水分解


実際は抗生物質では無く抗菌薬だけどね、ペスト菌に有効なのは証明されてる


設備が微妙な中で作ったので、純度と数に問題はあるがな


ファーwww楽しみだわwwwww


次回に続く…

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