第4話 実験失敗⁉︎?

 大学の仲間の企業に就職して早2年。会社には大学の仲間男女6人だけしかいなく、小さな会社だ。人手も少なく理想のゲームはまだまだ出来そうにない。


「今まで試作してきたゲームはどれもはっきりと五感を感じられない。これではリアルとは程遠いな」

「やっぱりコストのことを気にしていると難しいね」

「そうは言ってもコストが高すぎると売り物にならないからな」

「まずはコストのことを考えるのはやめて作ってみるのはどうかな?」

「会社の経費のことも考えろ!試作品を作るのにそんなにお金はかけれない。少しは考えて意見しろ」

皆んなイライラしている。でも2年間試行錯誤して作っているのに少しも進歩していない。

 VRを使ってするゲームはたくさんあるが五感を感じられるゲームという現実世界と間違うようなゲームはまだない。

 私はコストがかかっても五感を感じ取れるゲームができたら、それこそ世界で初で、その上大ヒット間違いなしだと思っている。

 私はあんまり会議で意見を言わないがあまりのピリつき具合に発言した。

「頭にチップを埋め込むのはどう?そのチップから脳に刺激を与えてみたら五感を感じれるかも!?」

「試してみたいけど、誰が実験台になるんだ」

「誰か実験してくれる人を雇ってもいいんじゃない?」

「危険だし、やってくれる人はいないだろう」

私はイラッとした。すぐに否定して試してみようとしない。私は衝動的に「私が試すんで」と言ってしまった。

それからというもの皆で1年かけて頭に埋め込むチップを作った。

「ほんとに埋め込むのか?危険だと思うけど知らないからな」

そういうと契約書にサインを求められた。その契約書には何があっても責任は取らないと書かれていて、少し不安だったがサインをし試作品のチップを頭に埋め込んでみた。

 VRと連動していざ始めてみるとそこはリアルなゲームの世界に立っていた。ゲームの内容はRPGだったのだか、物の感触や食べ物の味などは本物とほとんど変わりがなかった。

 まずスタート地点から少し移動すると、街が見えてきた。街ゆく人々は私に「こんにちわ」と話しかけてくる。脳波をチップがキャッチしてゲーム内の行動を制御するので、走りたいと思えば走り、ジャンプしたいと思えばジャンプする。

 ゲームの試作品はほぼ完璧だ。あと少し試してからログアウトをしようと思いゲームを進めていくとモンスターと遭遇し戦闘モードに入った。

 初期のモンスターのくせに強くて攻撃を受けるたびに相当な痛みが身体中にひびいた。

 痛すぎて意識が朦朧としている時にモンスターに倒されてしまった。

 現実の私は鼻血を垂らして痙攣して糞尿を垂れ流しながらオナラをしていたみたいだ。

 そのまま意識がなくなって気がつくと体がふわふわしていた。下を向くと私がいた。

「また死んだの!!!!」



…。


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