2周目 氷河期世代 バヴル崩壊



 氷河期世代という言葉がある。

 何を隠そう、俺も氷河期世代と呼ばれる既にもう取り返しのつかない終わった年代の一人だ。地球では就職氷河期と呼ぶそうだが似た様な境遇の人間はこの世界にもいるものだ。

 こちらの世界では周蝕しゅうしょく氷河期という。


周蝕とは魔法の力が一時的に強くなる時期のことで、周蝕活動とも呼ばれる。

周蝕活動は人生の内で何度か発生するが、一番大きな周蝕活動は、概ね未成年が成人を迎える二十歳ハタチ前後で起こり、この瞬間の周蝕を特別に真卒最用しんそつさいようと呼び習わして明確に差別化もしている。巷では真卒とも呼ばれるこの時期の周蝕は人生でたった一度だけしか発生しない非常に重要で強力なもので、これを面接という儀式によって内定化し一時的な上昇効果を永続的な生涯効果として安定させるわけなのだが。この一度きりしかない貴重な真卒の機会を逃してしまうと魔法の強さが永遠に低いままとなり一生取り返しのつかない落ちぶれた人生を送ると言われている。

そして実際に失敗したのが俺たち氷河期世代だ。


 氷河期世代の殆どが迎えた真卒の周蝕活動の質はことごとく悪かった。

氷河期世代の周蝕活動が極端に弱くなった原因は、直前に起こったヴァブル崩壊という現象が最も大きい。これはざっくり言うと氷河期世代より上の世代である段塊の世代とヴァブル世代によって過密化した魔法熱のせいで世界の高温化が加速し快適に住める場所が減少して、慌てて魔法の力を冷却に向かわせた途端に勢いが止まらなくなり魔法熱ヴァブルが弾けて過冷却が行きすぎ、周蝕活動にだけ悪影響を与える周蝕氷河期が長期間、発生した。というのが主な内容だ。


 段塊の世代は他の世代より人口が多く、ヴァブル世代は段塊の世代の人口が多かった為に周蝕活動の質が良好で良かった為に世界を魔法的に加熱するのにに一役買った。




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