2day 氷河期世代



 指令契約所ハロークエストを出ると、完全に取り返しのつかない氷河期世代の無職である55歳のオッサンの俺は真っ先に転移魔法で公共領域フリーエリアの外れにある砂漠の更に端の岩場へと瞬間移動すると着地した。


 転移魔法といっても、これは異世界転移ではない。そんな事まで、いちいちカクヨムの読者に説明しなくてはいけないのかと思うと頭痛が痛くなるが(面白い表現だろう? 笑うなッ。白けろッ!)、氷河期世代の無職である55歳のオッサンのこの俺にとって転移魔法は簡単に使える瞬間移動魔法だった。無職なのに魔法が使えるとはこれ如何に? そんなことはどうでもいい。


 氷河期世代の無職である55歳のオッサンのこの俺さまは、正真正銘のこのファンタジー世界に生まれた現地の人間なので地球人ではない。もちろん地球のことも知っているが転生はしていない。この世界では誰もが地球のことを知っているし、公衆でも承認されている。この世界の人間は当然、誰でも地球のことは知っているので地球と同じサンドイッチと呼ばれる食べ物も存在するし、異世界サンドイッチ問題もすでに理解しているし解決もしている。どうだ?凄いだろう? しかもこの世界の誰もが、魔法も使えない下らない地球なんて世界には絶対に転生したくないし住みたくないとも言っている(何気に地球を批判してやったぞ? ありがたく思えっ。クはッ!)


 ちなみに、この世界の言葉は、全世界規模で地球の英語や日本語と全く同じ言語が主に使われている。あと地球の他の国家の言語も、たまに使われることがあるが頻度は地球の日本とほとんど同じだ。パンとかの名称がそれに当たる。

 この世界で使われている文字は英語のほうが好まれている。日本語の文字だと映像アニメ化した時にダサいだろう(挫刹はアニメ化を目指すつもりは完全に無いらしいがなッ)。だから英語が使われている。口語はもっぱら日本語を使っているな。その方が分りやすいだろう。この世界でも間違いなく言語は、英語と日本語が主に使われている。うむ。異世界として分りやすい。

氷河期世代の無職である55歳のオッサンのこの俺様からみると、地球のほうが完全に異世界だ。これは断言しておくが絶対に地球には住みたくない。地球人は良く生きてるな。


 さて、そんな話は置いておこう。

 俺は今、砂漠地帯エリアの端にある岩場の高台にいる。高台とはいっても岩が積み木のように積み重なった小高い丘の更に高い場所に立っているので、頭上には巨大なマナ板のような砂色の一枚岩がイギリスのストーンヘンジのように右端と左端にある二本の岩柱の上に乗っかって屋根になっている物陰に隠れるのにはうってつけの場所だ。ふむ。異世界ファンタジーなのにイギリスのストーンヘンジを例えに出すのは気持ちがいいな。あれ? ストーンヘンジのある国はイギリスでよかったんだよな。何気に俺は不安になってきた。


 岩の屋根の下で、二本足で立っている(他に何で立つ?)既に取り返しのつかない氷河期世代の無職である55歳のオッサンの俺のそばには、赤いベッドと燃え盛る松明たいまつと二つの緑と黄色の宝箱のような箱が存在する。青と赤じゃないのは著作権違反にならない為だ。それ以外の理由がどこにある? ここはファンタジーの異世界だぞ?


 この場所はビバーク地点と呼んでいる。キャンプ地点と言わないのは著作権違反になるからだ。言っておくがこの世界でもモンスターを狩ることはできる。出来るが、全て等しくM級だ。Mとはマグニチュード。お前達カクヨムの読者の地球で言われるマグニチュードと完全に一致だ。マグニチュード級のモンスターを狩れると思うか? 思うと言うのなら東日本大震災の津波を止めてこいッ! それができればこの世界でもモンスターは狩れる。ザコがッ! また通報かッ! まったくカクヨムの読者は通報が大好きだな。今度は一体どんな理由で通報する気だッ? むっ、いかん、挫刹の怒りが俺にまで乗り移ったようだ。まあそんなことはどうでもいい。


完全に取り返しのつかない氷河期世代の無職である55歳のオッサンであるこの俺様は、時々この高台に来て砂漠や岩場にやってきた最近流行りの冒険者というヤツラを眺めて観察しているイヤな奴だ。

 冒険者というのはさっき訪れた指令契約所ハロークエストなどで依頼クエストを受注した人間や無闇矢鱈にモンスターを狩ろうとする人間たちのことだ。概ね四人パーティで年齢は二十歳ハタチ前後。地球の日本でいう高校生や大学生が殆どだな。それ以上の大人は定職に就くか非正規か無職だ。男女混成の場合は昼の活動より夜の活動の方が圧倒的に多い。性的な意味でな。小学生も勉強しておくといい。人間は全て性に支配されている。おっとそんな話もどうでもいい。



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