二本目 この世界にスキルは無い



 最初に言っておくと、この異世界にスキルなんていうシステムは無い。

 カクヨムでこの話を読んでいる現実から逃避したい読者諸君は絶望しただろうか?


 しかし魔法は使えるので安心して欲しい。今も俺が魔法を使って他者からは見えないように肉を焼いている。海の上で。


 目の前ではドラゴン(トラックドラゴンという種族らしい。ドラゴンの種類については詳しくない)が高校生ぐらいの少年少女の四人組パーティーと闘っている。


「お前たち、既に性行為セックスはしたかッ?」


 55歳の童貞おっさんである俺は激しく咳き込んでむせた。肉は自動で回りつづけて焼かれている。


「す、スるわけないでしょ。何考えてるのッ?」

「あ、当たり前だろッ。いきなりナニ言ってんだっ?」


 小舟の上で動揺を隠しきれない男女四人パーティーの面々。


「だが既に夏休みが近いッ! 何次なんじらはうら若き盛りのついた仲の良い高校生四人組のダブルデート中だろうッ? 四人で宿にも泊まったはずだッ! したなッ? 交尾をッ!」


 俺は無心で肉を焼いた。(海の上で)


「高校生だったら誰でもヤッてるなんて思うなよッ? それに俺たちはシテないけど、高校生でSEXしてたらダメなのかよッ!」

「ダメだッ!」


 この世界で異世界転生を司ると自称する異世界転生トラックドラゴンは断言する。


「なんでだよッ?」

「女が妊娠したら子供を育てられるのか?」

「ぐ……。こ、避妊具ゴムコンドームするからいいだろっ」

「男はナマがいいだろう? 夏休みだ。それに避妊具とて完全なる避妊ではない」

「ぐ……」

「親に隠れてやるんだよな?」

「ぐ……」

「未成年で性行為セックスしたいのなら、互いの両親から高校生でもSEXをしてもいいと了解をとってからやれ。未成年には保護者が要るのだからなッ! これは異世界転生を司る異世界転生トラックドラゴンである、この我の完全なる決定っ!」





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