2、胸痛

 …ユイと連絡が取れなくなってから、どれほど月日が経っただろう…。


 『暫時待て』と言い残した言葉が、今でも耳に残っている…。 いつもなら、一瞬で戻って来るくせに…。


 俺のアパートには、ユイが使っていた日用品がそのままの状態で残されている。


 鷹音ようおんさんを愛する気持ちとは全く異なる、妹を亡くした『あの日』のつらい気持ちに近い、胸が張り裂けそうな感覚が俺を襲った。


 …あの『軍議』で、俺が司令官に任命された時の事、『小八瀬』での戦国体験、そして、鷹音ようおんさんに、『彼氏』がいない事を喜び合った事、そして、守屋と会話していた時の、嬉しそうな笑顔…そのすべてが、俺の中で、今でもハッキリと心に刻まれている…。


 …自然と、涙が溢れた…。


 ユイ、もし願いが叶うなら、もう一度お前に会いたい!




 …と、祈った瞬間…辺りが暗くなった!

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