第八章『第二次攻略作戦』

1、空転

 『ゴオオォ〜ン』


 「これより、軍議を凝らす」


 参謀長の声を聞くのも久しぶりな気がする。


 さて、守屋やこいつら…もとい、衛鬼兵団えいきへいだんのお陰で、ついに鷹音ようおんさんとの交流に成功した。これで、いよいよ、本格的な攻略作戦に移行できる…って事で、軍議を凝らす運びとなった。


 作戦参謀が「閣下の次元では、定石として、如何いかなる手立てをこうじておられるのか、お聴かせを…」と、俺に発言を求めた。


 「通常は、複数のグループ同士で遊びに行って、親交を深める…かな」


 「ふむ、複数の討ちで勝ち抜いた軍が兵となって相手に々ととどめを刺す…なるほど、実に奇想天外な攻略作戦だ…」


 ここまで曲解されると、いっそ清々しい。


 面倒になったので作戦参謀はさておき「…何にしても、俺たちのグループと、鷹音ようおんさんのグループが、お互いに楽しめる『何か』を考える必要があるな。」


 「はいっ」ユイが嬉々として挙手し…


 「『さばげ』か良かろう! 楽しめるぞ!」


 …いや、駄目だって! 鷹音ようおんさんには、ディープ過ぎて、着いて来られないって…!


 「作戦参謀」…参謀長の低音の魅力が木霊こだまする。 ふと見ると、作戦参謀が挙触手していた。


 「我が衛鬼兵団えいきへいだんかつて葬った者共の墓標ぼひょう巡りは如何いかがかな? 我が軍の圧倒的破壊力ジャガーノートを改めて世に示す好機となろう」



 ……会議は空転してしまった…。




 …そんな中、通信参謀がユイの元に移動して、何かを報告した。


 「何…だと?」 ユイは珍しく動揺している。


 ユイが俺を見て「す、すまぬ! 暫時待て!」と言うと同時に…


 …突如として俺だけがアパートに帰還した。


 

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