3、乾杯

 『ピンポ〜ン』…アパートのベルが鳴った。


 「ひと・はち・ひと・よん、帰投〜」…部屋に入るなり、ユイが上機嫌で言った。 


 後ろから、やはり上機嫌の守屋が顔を出し、「ジャンジャジャーン!」と言いながら金ピカのトロフィーを掲げた。


 …まあ予測してはいたが、ユイにとってはサバゲーなど児戯じぎ。チートになるのは気が引けたが、守屋が本当に嬉しそうなので、まあ良いか。


 遠慮して帰ろうとする守屋を引き留め、打ち上げをする事にした。優勝を見越して買っておいたビールが無駄にならなくて良かった。


 三人で乾杯する。ユイは、ストレートティーだ。


 話題は、サバゲーでの守屋のケアレスミスとユイのナイスフォロー、更にユイが敵チームにスカウトされた話などで、大いに盛り上がった。


 宴もたけなわでは御座いますが「では、そろそろ」と守屋が立ち上がった。


 「ここで就寝していけ」というユイに、照れながら「俺、明日デートなんですよ〜」と言う守屋。 …え? お前彼女いるの?


 「逆に、たいらさんは居ないんですか?」 …ああ、居ないさ。それが何か?


 守屋が「いい事教えましょうか…」と耳打ちしてきた。俺の反対の耳から聴こうと、ユイが背伸びして耳を付け、奇妙な団子三兄弟が出来ている。


 「もうすぐ七夕ですよ! お祈りしたら?」


 ふ ざ け ろ !

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