3、微かな光明

 …頭にクエスチョンマークが浮かんでいるであろう俺に構う素振りもなく、作戦参謀の講義は続く。


 「さて、ここで『戦闘画面』を『模擬戦闘シミュレートモード』に切り替える。ご覧頂こう。」


 …先程の、…なんちゃら?のえき?当時の画面に戻った。『小痩せ』…もとい『小八瀬こやせ』の国、やっぱほっせぇ~っ!


 「『細河ほそがわ』軍の戦闘パラメータに、我が軍の最小因数を加えたものが、こちらだ。」


 うわっ、画面が真っ黄色に!!


 作戦参謀は慌てる素振りもなく「我が軍の最小因数でさえ、この有様だ。 よって更にパラメータを下げる。『手加減する』という意味だ。」


 黄色の部分が収束し、青・黄・赤が、ほぼ同じ面積になった。


 …俺は、ボ~ッと、信号機を思い出していた。



 「これに、現在の地図を重ねると…」


 見慣れた日本地図が表示され、クローズアップされる。


 先程の『信号機』とピッタリと重なった画面をよく見ると…。


 !!


 俺の母校と、鷹音ようおんさんの母校が、黄色をバックに、ピッタリと収まっているではないか!!


 つまり、これは二人の学区が一緒になった…って事だよね!


 これで彼女との接点が出来た!


 こんなに嬉しい事は無い…。



 これにて、ハッピーエンド~! チャン、チャン!!




 …なわけぇだろ!


 武田信玄の時代の話だぜ!!


 まさか『タイムマシ~ン~』って言いながら、ポケットから何か出す気か?


 ちょっと期待してしまった分、落ち込みが大きい。


 目の前が真っ暗になり、脳は真っ白になった…。



 ……。



『ゴオオォ~ン、ゴオオォ~ン』


 以前聴いた事がある、鐘のような音で、我に返った。


 参謀長の「…以上である。 作戦行動を開始せよ!」との声が響く。


 ごめん、俺、聞いて無かった!


 と言う間も無く、議事堂の壁が消え、『衛鬼兵えいきへい』達が慌ただしく立ち回っている。


 少女が、「さあ、行くぞ」と俺の手を引く。


 「行く…って? どこへ??」 


 少女がことげに言った。


 「小八瀬こやせ

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