5、『Q』

 俺は、発言する為に挙手した。


 「たいら殿どの


 …さ、参謀長! 近いんだから、大声めて! 鼓膜が破れるっ!!



 「これから、ひとつ問題を出します。『模擬戦闘シミュレーション』してみて下さい」



 …壁面がリセットされ、情報参謀が何か準備を始めた。


 「敵の一人が『致死性』の『自分を閉じ込めたり、殺害した相手に感染し、抹殺する』ウィルスを飲んで潜入しました。どうしたら良いでしょう?」



 …参謀たちの表情は全く読めないが、明らかに俺を小馬鹿にしているのは伝わった。    


 作戦参謀にいたっては、「愚問である」と、はっきり口にした。 いっそ清々すがすがしい。



 …ところが…だ。


 情報参謀は、青ざめて(いるのかどうか、良くは分からなかったが…)こう言った。


 「『戦闘継続不能エラー』…我々は敗北しました」


 壁面のモニターは、全て『×ペケ』を示している。



 参謀たちが、驚いて、全員立ち上がった。 議事堂内は、文字通り、大揺れだ!


 彼らは「信じられぬ!」「そんな、バカな!」などと言い、中には「電算機が故障したのか?」と情報参謀に掴みかかる者もいた。


 参謀たちの取り乱しように、少女は腹を抱えて笑っている。


 参謀長が少女に向かって何かを言おうとしているのが見えた! これ以上は、鼓膜がたない! 俺は慌てて机にもぐり、耳を押えた。


 「閣下! 笑い事ではありませんぞ! これは一体どういう事ですか??」


 少女は、笑い泣きしながら…「参謀長、声がデカい。もう少し小声で話せ」と言ってくれた。


 さらに続けて、机の下の俺に向って「みなに回答と解説をしてやってくれ」と言った。


 …机から這い出ると、参謀達が俺の前に集まっていた。


 あ、圧がすげぇ!!



***

 聡明な『人類』の読者の方なら、この答え、もうおわかりですよね。

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