4、What's happened ?

 出会ってからそんなに経っていないが、この少女との会話にも大分だいぶ慣れてきた。


 人間の適応能力ってすげぇな…とか思いつつ、「ははは、この痛みは何を食べても治らないよ。でも、やわらげる事は出来る。つらく、苦しい時や、疲れた時は、心を許した誰かと話をしたり、(ポケットからおもむろにスマホを出し、鷹音ようおんさんの動画をせながら、…)こうやって、好きな人の顔をて、一緒に遊んだり、笑い合ったりする事を想像するんだ。 そうすると、その時だけは痛みがやわらぐ。」


「『その時だけ』? 完治かんちは無理か?」


 今度は『完治かんち』と来たか…。


 「完治かんちかあ… 妹を忘れる事は出来ないけど、この人と恋人になれたら、妹も、きっと喜んでくれるだろうな」…と、軽~い気持ちで言ってみた。


 俺が、「まぁ、絶対、あり得ない事だけどね…」


 …と言い終わる前に少女が立ち上がり「心得た。 あたしの大切ないのちを救ってくれた貴様には感謝せねばなるまい! 暫時ざんじ待て!」


 …と言いながら、ポケットから小さな装置を取り出し、そこに向かって何かをつぶやいた。


 急に辺りが薄暗くなる。


 停電かな? …と思うと同時に、アパートの部屋が急に拡がって見えた。


 …って言うか…


 本当に拡がっている!?


 さらに見た事も無い、不気味な装置? …らしき物が所狭ところせましと乱立した!


 装置の前には、マンガや映画に登場する妖怪やドラゴンのようなクリーチャーが座り、腕やら、触手やらを器用に動かして操作している。


 俺は唖然として声も出ない…。当たり前だ。この状況を素直に受け入れられる人がいたら、褒めてあげます。


 俺が、やっとの思いで絞りだした言葉は…


 「…ほわ!?」



 少女は平然と答えた。

 

 「衛鬼兵団えいきへいだん 前哨ぜんしょう基地。 此度こたびの礼として、あたし達、常勝の衛鬼兵団えいきへいだんが、貴様と『コノヒト』を『コイビト』にする為の戦いをしてやる!」



 これ、夢…だよね? …ほっぺをつねったら …痛かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る