2、アパートにて

 しばらくして少女がすっきりした表情で出て来て、「助かった。着衣も代謝産物たいしゃさんぶつに汚染されずに済んだ」などと言いながら、ペタンと座った。


 さっきは公園の暗がりで良く見えなかったが、部屋の明かりに照らし出された少女の顔は…


 うわっ! すっげぇ可愛い!!

 

 …可愛らしさの中にも凛とした高貴さがあり、あと数年もすれば、誰もが振り返る美人になるだろう。


 「…やっと落ち着いたね。良かった」と微笑ほほえみかけた俺に、少女は怪訝けげんな顔で、「…どうにも理解出来ない。貴様らは、なぜ殺気が無いのだ? それに、なぜ見ず知らずの者を受け入れられる?」


 このむすめ、まだ懲りてない!


 「腹が減り過ぎてまぼろしでも見たのか? どうでも良いけど家はどこ? …近くまで送るよ」


 少女は更に真剣な表情で「…貴様に頼みがある。貴様らの事について詳しく教えてくれ」と言った。


 冗談を言っているようには見えないし、病気でも無さそうだ。


 「…わ、判った。俺が知ってる事なら教えるよ。…ただ、今日は遅いから家に帰りなさい」


 少女は「そうはいかないのだ…」と、自分の身の上 ばなしらしきものを話し始めた。


 『らしき…』と言うのは、少女の話が、にわかに信じられなかったからだ。

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