第二章『少女の正体』

1、今度は何?

 しばらく走ると息切れしてきた。


 気付くと、帰巣本能きそうほんのうからか、俺のアパート近くまで来ていた。


 立ち止まり「…そろそろマジで家に帰った方が良い。この近くなの?」と聴くが…

 

 少女は無言で首を振る。


 「…はぁ~っ…」


 本日、三度目の溜息ためいきだ。

くそっ! また幸せが逃げて行った…。


 すると、少女が急に座り込み、またうめき声をあげた!


 …こ、今度は何だあ??「どうした!?」


 少女は苦しそうに「こ、骨盤腔内こつばんくうないに違和感を感じる! さっき体内に『タベナ』した液体が代謝たいしゃされるようだ」


 …ん?


 ……体内?


 ……代謝……?


 ………。

 !!!

 ト イ レ か !


 ほんっとに回りくどい!


 「俺ん家はすぐそこだからガマンしろ!」急いでアパートに駆け込み、少女をトイレに押し込む。


 「…ふぅ~っ…」


 ↑言うまでもないが、これは溜息ためいきじゃない。吐息といきだ。これ以上幸せを逃したくない。

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