第51話 さつき 2
さつきも要一も懲りずに逢瀬を重ねてるみたいだ。純代によくバレないなと思ってはいるが、そのうちバレるだろ。要一は量産型おっさん体系だし、さつきも女性にしてはまぁまぁ背もあり横幅もある。ベットの上でのぶつかり稽古を想像するだけでオエッってなっちゃうな。
話は変わるが、純代とは俺が入社する前、一度会ったことがある。その頃は結婚してたハズだが、飲み屋に勤めてた。俺はツレとその店に飲みに行ったことがある。熟女専門みたいな店で全員が30歳以上だった。年上好きの熟女好きの俺としては、天国みたいな店だった。何度か行っていい仲になったおねぇ様もいたわけなんだけど、まぁ俺の場合はお店公認みたいなとこもあって、そのおねぇ様とは仲良く過ごしてた。
ある日ツレとまた飲みに行くと、俺らの席に純代がついた。俺は仲いいおねぇ様といろいろ話して、飲んでカラオケ唄ってとしてたんだけど、ツレの方は純代と話し込んでたみたいだった。まぁまぁ飲んで店も終わるからってことで、俺はいい仲のおねぇ様の家で泊まるようにしてたんで、ツレはタクシーで帰すことにした。会計済ましてタクシー乗り場に歩いていこうとするとツレは、
「さっきの店のおねぇさんと飲みにいくから、ここでいいよ。」
「そっか。まぁあまり飲みすぎんようにね。」
と言い、俺らは別れた。
俺はおねぇ様の自宅に行き、風呂入ってワッショイを済ました後、いろいろ話を聞いてみた。もちろんツレと飲みに行った純代についてだ。おねぇ様の話では、
「ウチの店に来てからは2週間程度なんだけど、それまでも飲み屋で勤めてたみたい。噂はちょいちょい入ってきてて、店のお客さんと売春まがいのことをしてたみたいなのよね。店に来てもらう為の枕営業ってわけでもなく、その時その時で金持ってそうな人を物色して、持ち掛けるみたいな感じかな。実際2年ほど前勤めてた店では、それをやりすぎて店がつぶれたみたいだし。変な話で男というのは、女の子を気にいって通ってるって人が大半なんだろうけど、気に入ってる女の子を一度でも抱くと、その店行かなくなるのよね。急激に興味を失うというか、店行って金使うのがバカらしくなるというか。外で会えばいいじゃんって考えだすのよね。あと男って変なプライドみたいなもんを持ってて、たとえ気に入った女の子じゃない子とそういうことをしても、その店行かなくなるのよね。そういうことが結構あるみたい。女はその逆で店の男の子とそういう仲になっちゃうと、店に通い詰める習性があるのよね。」
「けど、俺行ってるよ?」
「キミは損得抜きで人と付き合うから、私も損得抜きで付き合ってるし、仕事は仕事としてやってるけど、キミに営業しようとは思わんしね。だってキミ、そこまでお金持ってないでしょ(笑)。」
「おっしゃる通りでございます(泣)。」
「それにキミといて楽しいしね。自分が年上ってのもあるかもしれんけど、キミを見てるとかわいいなぁと思ってしまうのよ。こういったことを感じられる男の人って初めてだし、今まで付き合ってきた男と全然違うタイプだしね。」
俺はちょっと恥ずかしくなって、その後朝までワッショイし続けた。あの時は若かったな。(トオイメ)
昼頃に目覚めた俺は、おねぇ様の作った昼飯を食べてから自宅に帰った。夕方ちょっとウトウトしてると一緒に飲みに行ってたツレが来た。話を聞くに、
「あの後、飲みにも行かずにホテルへ行ったんだ。風呂入ってベッドに戻ると、お金のことを言いだしてさ。店でも言ってたんだけど、一回だけでササっと終わるなら1万円。朝まですんごいことしてもらいたいなら2万円と。んでお金は先によろしくねと言われて、俺は2万払ったのよ。まぁ給料も出たばかりだし、ちょっとパチンコでも勝ってたからね。払ってからは人が変わったようにいろいろされて、朝まで休みなしだったのよ。たしかに2万の価値はあったんだけどね。お互いクタクタになったんだけど、シャワー浴びてさあ寝ようかと思ったら、私用事思い出したから帰るって帰っちゃったのよね。俺はそのままひと眠りして帰ったんだけど。んで帰ってきてからサイフの中身を計算してみたんだけど、どうしても1万足りんのよね。んで昨日支払った金のことを思いだそうと思って、ここに来たのよ。」
「あーやられたっぽいなぁ。最初の居酒屋はお前が払って、次の熟女の店は俺が払ったからな。居酒屋ではそこまでまだ酔ってないから、そこまで払いすぎるってことはないだろうし、熟女の店ではお前サイフ出してないからな。まぁ追及しても水かけ論だから、現場で押さえんとどうにもならんかな。まぁお風呂屋行ったと思ってアキラメロン。どのタイミングでやったかはわからんけど、すんごいことされてたんなら、諦めもつくやろ。勉強代と思うんやな。」
ツレはガックリ肩を落として帰って行った。おねぇ様にも一応こんなことありましたよと伝えたんだけどね。それからツレはその店に行かなくなった。まぁそうだろな。ツレが一緒に行ってくれないんで、自然と足が遠のいたが。
それから一ヶ月くらいして1人で行ってみた。純代もいるんだろうなと思ったんだけど、おねぇ様にガードしてもらってるし、大丈夫だろ。座って周辺を見まわすと純代の姿がない。アレっと思いおねぇ様に聞いてみると、
「あの後、キミのお連れさんがやられたことと同じことが、ウチのお客さんから何件も出てきたのよね。急に来なくなった常連さんに営業してみたんだけど、みんな仕事が忙しいって言うのよね。それまでは週2で来てたのに、2週間丸々来ないってことはなかったしね。んで来てた最後の日に誰がついたか記憶を辿っていくと、気に入った女の子か純代しかついてないのよ。そこでお客さんを追及してみたのよね。お客さんもお気に入りの子以外に手を付けたってことで多少の罪悪感もあったみたいで、なかなか話してくれなかったんだけど、もしかしてこんなことなかった?ってキミのお連れさんの話をしてみたのよ。そしたらビンゴ。それから来なくなったお客さんのとこを回って、話聞いていくと全員が同じようなことをされてたのよね。ウチだけでも20人近くやられてるし。そして本人にちゃんと聞いてみたんだけど、確かに金でそういった行為をしたのは間違いないけど、決してサイフからお金は盗っていないと。そりゃそう言うわね。そこは証拠もないし水掛け論でしかないから、ママさんとも話し合って辞めてもらうことにしたんだよね。本人も了承したんだけど、まぁすごい女がいたもんだね。あと過去の店での噂も聞いてみたんだけど、やっぱり同じことをしてたみたいね。ウチはたまたまキミからの忠告で早めに気付いたけど、気付くのが遅かった店は結構な被害を被ったり、中には潰れた店もあったみたいだしね。まぁなにはともあれ、ありがとう。それと今日はママさんからもお礼の意味も込めて、タダでいいからね!それと今晩泊まっていくでしょ。すんごいことしましょ!」
そう言われてうれしかったのは事実だが、タダと言われてもそうそう飲めるものではない。それでもまぁまぁ飲まされたんだけど、なんにせよ被害がこれだけで抑えられてよかった。そして俺は店が終わるとおねぇ様の家に泊まりに行き、すんごいことをされた!(祭りや!)
っとまぁ、これが入社前に純代と会った時の一連の出来事なんだけど、おそらく今でも同じことをやってるな。純代の勤めてる店のことも調べたが、朝方までやってる店ではないしね。要一の話では経営者であるママさんは1時で帰るけど、そのあとは純代自身がママになって朝方までやってる。店で酔いつぶれて9時になっても帰ってきてないこともあると。怪しいと思い追及したこともあったけど、借金のことを言われたら何も言えないらしい。まぁもっともらしいことは言ってるんだけど、人間の根っこはなかなか変わらんからなぁ・・・・。
純代とはそれから5年ほどしての再会だったわけなんだけど、支払いのことを考えると、どうしてもそっち方面に走っちゃうかもなぁってのが正直な感想。要一にしても、下半身がだらしないから面白い方にいってしまうんだろう。まぁどっちもどっちだな。特に要一は彼女が他の男に抱かれてるのを知っても、そんなに関心持たないような気もする。
さつきはダンナの機嫌を見ながら、要一は同僚からせっせとお金を借り、純代は夜な夜な身体を売りながら支払っていってる様は、こんなにはなりたくないなぁと再認識させられる。
しばらく経ったある日、要一が電話で書き換えを言ってきた。住所とか変わりないか?と聞いたら引っ越したと言ってきた。むむむ?引っ越したのは1人というから、あーついに別れたんだろなと思ったが、仕事としては書類を全部書き直さなければならない。三人で出てくるように言ったが、要一はあまり乗り気ではなかった。純代がダメって言うかもしれないと。それなら別な保証人立てるしかないねと電話を切った。しばらくて電話が純代を行かすという電話があったんだが、先に要一にきてもらうようにした。これは電話で聞いた住所と実際書類に書き込む住所が違ってたら二度手間になるからだ。先に免許証等で住所を確認して、それを本人に書き込まし、そのあと保証人に来てもらう方式にしてる。まぁ俺が昔それでポカやったからなんだけどね。
要一とさつきが先にきて書類を書いていった。さつきを先に降ろし、どうしてこうなったかを要一に聞いた。
「3週間ほど前、純代が仕事に出かけた夜、自分は非番でさつきと会う約束をしてた。どこ行こうかと2人で思案したが、お金も心もとないからウチへ来ることになった。純代が帰ってくるのは朝方だから、その前に帰れば問題ないし、ホテル代も浮く。そう思いさつきを引っ張り込んだ。そしてワッショイしてダラダラ話してると日付も変わったので、そろそろさつきは帰ると言い出した。あまり遅いとダンナがうるさいらしくって。んじゃ帰る前にもう一回ワッショイしてる時に純代が帰ってきた。そこから修羅場が始まって、純代も包丁出してきて喚いてたけど、自分とさつきはとりあえずそこを逃げ出し、車を走らせてさつきを送って行った。その後車で一晩過ごして9時くらいにパチンコへ行って昼くらいに話をしに帰ったのね。一応そこでは冷静に話をしたんだけど、今のままで一緒にいても意味がないという結論がでて、結局別れることになった。部屋の名義や家具家電はほぼ純代のモノだから、自分が出ていくことになって、部屋探して引越ししました。」
なるほど・・・・。こいつもなかなかのクズだわな。おそらくさつきが通い妻みたいになってるんだろな。それにしても純代がよく保証人になったなとは思ったけど、現状考えるとそれしかないもんなぁ。
今までにも何度か書いたとは思うけど、要一の分から純代が抜けるとなると、当然のように要一は書き換えが出来ない。そのまま支払っていくか、保証人の差し替え、もしくは金額を下げてという感じになるかと思う。まぁこれに関しては各々業者の裁量によるんだけどね。しかし、純代に対しても同じことが言える。要一の分から抜けようとしてる純代に対して、要一だけが純代の保証人になる義理はない。純代にとっても要一は保証人であるから、なかなか付き合いを断れない状況にあるわけだ。純代が突っぱねてこのままいくとおそらく要一は潰れる。そうなると純代本人に火の粉が振りかかってくるのは確実だし。渋々ながらも了承しなければならない立場なんだろな。
とりあえず要一を帰して、その後純代に来るように伝えてもらった。しばらくして純代が来て書類を書いてるんだけど、なかなか機嫌が悪そうだ。要一から話は聞いてたものの、一応確認の為何があったか聞いた。概ね要一の話と同じなんだが、純代にしても早めに別れたかったらしい。んじゃなんで包丁持ちだしたんだ?と思ったが、自分が働いてる時に自分の部屋に女引っ張り込んで、自分がいつも寝てるベッドでワッショイしてたのが許せなかっただとさ。まぁそりゃそうだわなぁ。あと、ちょいちょいサイフからお金を抜かれてたのも腹立ってたらしい。よくそんな男と一緒に居れたなぁと感心すらしてしまった。
まぁそんなこんなで書類も書き上げて、無事書き換えを執行したわけなんだけど、なんか変な2人だわなぁ。まぁそこにさつきが入ってきて、こんなになったわけなんだけど、2人共とりあえず誰かに依存しときたいタイプかもしれんな。
そして少しずつ少しずつ歯車が狂いながら、破滅へのカウントダウンが始まろうとしていた・・・。
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