第21話4-5:駅


 あれから一週間が経った。



 大好きだったWeb小説の更新が止まってもう二週間近く経つ。

 それなのに私はまだ朝早めに家を出て駅のホームで更新の有無を見る。



 「今日も更新されていない‥‥‥」



 宮本君も一週間学校を休んでいた。


 目の前に電車が来て乗る。

 そしていつものシートに座り対面を見ると宮本君はいない。



 私はため息をついた。




 * * * * *



 「それで真菜は宮本君をどうするの?」


 「どうもこうも、学校にも来ていないじゃない‥‥‥」



 咲は朝から私の机に来ていてそう聞いてくる。


 当人はもう吹っ切れたから大丈夫だと七海や優子にも宣言して「私の理想の男子はやっぱり本の中にいる!!」などと危険な事を言いだしていた。



 「宮本君、もう一週間も休んでいるわね?」


 「真菜ぁ~、何とかしなさいよ。あの小説の続きも読みたいってのに~」



 優子や七海も私の机に来てそう言う。

 そして咲も。



 「真菜のせいで続きが読めないのだから責任取りなさいよ!」



 「なんで私が?」


 少し八つ当たりが入っているその言葉。

 でもそれに私は反応する。



 「小説の続き‥‥‥」



 「だから真菜が何とかしなきゃダメなんだぞ?」


 「そそ、あの物語は全て真菜にかかっている!」


 「まあ、せっかくだから最後まで読んでみたいわね」


 

 七海も咲も優子もそう言ってスマホをかかげる。

 そしてこう言う。



 「「「言いたい事が有ればコメントに書けばいいじゃない!」」」



 三人同時に一字一句同じ事を言う。

 それを聞いて思わず笑ってしまう私。


 確かにそうかもしれない。

 私はあのWeb小説が読みたい。

 そして宮本君をもっと知ってみるのも悪く無いのかもしれない。


 だったら‥‥‥




 私は帰りの駅でみやむーさんこと宮本君にコメントを送るのだった。

  


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る