第16話3-7:時間
「つまり咲は宮本君と仲良くなりたいと?」
広間の自販機前でジュースをおごってもらいながら咲から聞いた内容をまとめてみる。
「う、うん、まあそうんな感じ」
いくら鈍い私だってここまで話を聞いたら咲の気持ちに気付く。
そして朝一緒の電車だと言う事で面識のある私に咲との仲を橋渡ししてもらいたいと言う事らしい。
「み、宮本君ってさ、教室で大人しいじゃない? いつも一人で本読んでるし、なかなか声を掛けにくいと言うか‥‥‥」
私は上を向いてため息をつく。
「まるであの小説の主人公じゃない? 分かった、宮本君には話してみるね」
「ほんと真菜! ありがとう!!」
友人の喜ぶ顔を見て先に春が来そうな咲をちょっとうらやましく思う私だった。
* * * * *
「やっぱりまだ更新していないなぁ」
スマホを閉じて電車に乗り込む。
今朝の更新もやっぱりされていなかった。
私は電車の所定位置にいるだろう宮本君を探す。
すると予想通りいつものシートに座っていて珍しくスマホをいじっている。
「おはよう、宮本君!」
「えっ!? あ、あぁ、おはよう‥‥‥」
「実は宮本君とお話がしたくてね、今日って時間ある?」
「‥‥‥僕と?」
そう言う私に宮本君は少し驚いた表情で私の顔を見る。
言われてみれば確かに中性的な肌白な顔でちょっと弱々しい感じがする。
「あ、あるよ! 時間ある!!」
宮本君にしては珍しくはっきりとそして嬉しそうに言う。
私は学校の放課後時間を作ってもらう事にしたのだった
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