第13話3-4:返事


 コメントをまた送って翌日、今朝もやっぱり更新はされていなかった。



 「うーん、本当にみやむーさんどうしちゃったのかなぁ?」


 スマホを閉じようとしてお知らせが入っている事に気付く。

 後で見れば良いかなと思いスマホをしまって電車に乗り込む。



 そして宮本君を探す。



 するとなんて事は無い、私がいつも座っているシートの対面に座っていた。



 「あ、宮本君おはよう」


 「えっ? あ、あの、おはよう‥‥‥」



 宮本君は私が挨拶すると驚いたように目線を逸らす。

 うーん、嫌われちゃったかな?



 「電車一緒だったんだね?」


 「‥‥‥う、うん」



 そして沈黙。

 

 え、えーと‥‥‥



 「その、昨日はごめんね」


 「‥‥‥ 気に‥‥‥ してないから」


 

 またまた沈黙。 


 くっ、話題が続かない!



 「あ、そうだ、私って結構毎朝ここでWeb小説読んでいるんだよ」


 「‥‥‥そう、見たいだったね」



 そして沈黙。


 「み、宮本君ってWeb小説とか読まないの?」


 「……よ、読まないよ(ぼそっ)」


 ん?

 何か言った⁇

 

 そして沈黙。



 あ”あ”ぁ”っ! 

 どうしたらいいのよこの間っ!!



 内心叫びたくなる私だったけど程無く目的の駅に着く。

 何か話そうと必死になっている私を他所に宮本君はするりと電車を降りて先に行ってしまう。



 う”う”ぅぅ、本気で嫌われたのかな私?

 知り合いに嫌われるのって結構地味にこたえる。



 私はとぼとぼと学校へ向かうのだった。



 * * * * *



 「真菜っ! あんたコメントの返事見たの!?」


 「へっ?」



 学校に着くなり七海が私の机に飛び寄って来た。

 そして自分のスマホを見せながら私に聞く。



 「何この返事! 凄くない!?」


 「なによ?」



 言われて七海のスマホを見るとそこにはコメントに対しての返事が書き込まれていた。

 そして気付く。


 

 「これって、私の最初のコメント‥‥‥」



 慌てて自分のスマホを開き通知機能からコメントの返信を見る。



 『コメントありがとうございました。実はこのヒロインは私の通っている高校のとある女性をモデルにしています。あまり面識とか無いですけど、とても明るい方で失礼ながら勝手にモデルにさせていただいています。ですが、どうしてもこの後のお話を書くにあたり構想が浮かんできません。大変申し訳ありませんがもうしばらく更新はお休みさせていただきます。わざわざ読んで頂きありがとうございました! みやむー』



 返信が来ていた。

 初めてもらう作者さんの返信。

 私はもうそれだけでうれしくてうれしくてたまらなくなってしまった。



 「凄いよね、あのWeb小説書いているが同じ高校生だったなんて! しかもこの文面からはきっとそのモデルの人のこと好きなんだよ、みやむーって作者さん!!」


 「えっ?」



 七海は興奮気味にそう言う。

 あまりにも突然なそれに私は一瞬頭が真っ白になってしまった。


 作者のみやむーさんはモデルにしているその人が好き?

 

 確かに主人公が思いを寄せる彼女とはなかなか上手く行かない。

 でもそれが現実にいる人物をモデルにしているだなんて!



 そしてこのWeb小説を書いているのが同じ高校生だなんて!!


 

 「七海! すごい、スゴイ、凄いっ!!」


 思わず私も目を輝かせ七海とハイタッチしてしまう。

 朝からハイテンションになってしまう。 




 でも、その時はまだ次のコメントについての返信を読んでいなかったのだった。

 

 

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