第12話3-3:コメント
今朝はやらかしてしまった。
私は教室まで来るとすぐに宮本君を探す。
もう一度謝ろうとしたけど何と言って良いのか思いつかない。
「はよー、真菜どうしたの?」
「あ、おはよう七海。あのさ、宮本君なんだけど‥‥‥」
「ちょっとマテ、真菜今なんて言った!?」
七海にガシッと肩を掴まれてコソコソと教室の端に連れていかれる。
そして真剣な顔をして噛みしめるかのように聞かれる。
「あんた、ああいうのがタイプだったの!?」
「はぁ?」
顔が近い。
しかし当人は真剣だ。
「だから宮本君の様な男子が好みなのか聞いているの! 確かに女子の中ではダークホースで、影は薄いけどあの中性的な弱々しさは母性本能をくすぐられるわよ?」
何を言っているのだろう?
どうも話がかみ合わない。
「おはよう、どうしたの二人して?」
「おはよう。何? 朝から?」
ここで咲と優子が登場。
私が挨拶する前に七海がキッとなって二人に目を向ける。
「大変よ、真菜に春が来た!」
「えっ!?」
「誰っ!? ちょっと詳しく聞かせなさいよ!」
七海のその一言で二人は顔を輝かせ食い入るように話し始める。
しかしここでショートホームルームの時間になる。
担任の先生が教室に入って来て私たちは仕方なく席に着く。
ああ、宮本君に謝りそびれちゃった。
後悔と宮本君に話をしなくて済むと言う安堵感が一度に押し寄せる。
おかげで今朝の先生の話は全くと言って良いほど頭に入らなかった。
* * * * *
お昼休みに私は七海たちに拉致られ屋上でお弁当を広げている。
「もう、真菜には驚かされたわよ!」
「いや、それって七海が勝手に勘違いしたのが悪いんじゃ‥‥‥」
「でも宮本君かぁ。一人で教室の端で小説とか読んでいる印象だよね?」
「それは咲も同じでしょうに」
宮本君と今朝に何が有ったかを話して落胆する三人。
まさかの恋バナになるのではと期待をしていたらしい。
でも経緯を話すと三人とも目に見えてがっかりした。
「確かにまだ顔と名前が一致しない男子はいるわよね?」
「そう? 私は全部覚えたし、既に人気投票の上位が誰か分かっているわよ?」
「七海、それ誰が始めてるのよ?」
優子がもっともな事を言うと七海は真逆の事を言う。
そんな二人の様子を咲は笑って見ているけど、私は今朝の事と更新されていないWeb小説の事でお弁当箱にため息を吐く。
「はぁ、小説の更新も無いし、宮本君にも悪い事したし、今日の私はついていないよなぁ」
「そう言えば、今日も更新して無かったね?」
「コメントの返信も止まっているわね?」
「あ、本当だ」
七海も優子も更新状況は確認済みのようだった。
そして咲も今スマホでそれを確認する。
「ん~、じゃあ応援のコメントでも書いてみるかな?」
「あ、それ良いかも。私も~」
七海もスマホを取り出して咲もコメントを書き始める。
「わわわぁ、いきなり何よ?」
「真菜も気になるならもう一度コメントでも書けばいいじゃない?」
優子にそう言われドキッとする。
そりゃぁ小説の続きは読みたいけどあまりに何度もコメント入れたら失礼じゃないかなって思っちゃう。
「だ、大丈夫かな? こんなに短い間にコメント又書いて失礼じゃないかな?」
「何言ってるのよ、凄い人は毎日のようにコメント送っている人もいるわよ? それに気になるのでしょう?」
優子にそう言われ私も自分のスマホを取り出す。
そして画面をじっと見てみる。
「うん、書いてみる」
私はそう言ってコメントを書き始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます