第11話3-2:待ち続ける


 「あれ? 今日も更新していない??」



 駅のプラットホームでスマホの画面を見ながら私は困惑した。

 あれだけ毎日更新をしていたWeb小説が二日も連続で止まってしまっている。


 「みやむーさん何かあったのかな?」


 そうつぶやく私の前に電車がやって来た。


 

 ぷしゅ~



 扉が開き周りの人がぞろぞろと電車に乗り込む。


 はっとなって私も慌てて電車に乗り込むもいつものシートに座る訳でもなく扉近くで再びスマホの画面を見る。


 何度見ても同じ画面。


 仕方なしに近況ノートを開いてもこちらも前のまま。

 私の書いたコメントにも返事は来ていない。

 

 他の人のコメントには律儀に全部返事を返してくれているのに私のコメント以降は全て返信も止まっている。



 「やっぱり何か有ったのかな‥‥‥」




 「あ、あの、鈴木さん降りないの? 扉しまっちゃうよ?」



 突然かけられた声に驚き見ると同じ学校の生徒が私に声を掛けて来ていた。

 そして扉の開いているそれを見て慌てる。



 「あっ! 降ります!!」



 私は慌てて電車から降りてプラットホームに出る。

 私のすぐ後ろで扉の閉まる音がする。



 ぷしゅぅ~。



 「危なかった。乗り越す所だった‥‥‥ あれ? そう言えば??」


 一息ついてから周りを見る。

 するとすぐ目の前に同じ高校の男の子がいた。


 「ありがとう、えっと‥‥‥」


 男の子の顔を見て私はしばし‥‥‥



 誰だっけ?



 「あ、その、余計な事したかな? 鈴木さんいつもこの時間に同じ電車乗っていたから‥‥‥」


 私はそう言って来る彼の顔を見てしばし‥‥‥



 「み、宮崎君?」


 「‥‥‥み、宮本です。それじゃぁ」



 しまった! 

 確か同じクラスの男の子だった!!



 「ご、ごめん! ほらその、クラスの男子と私ってあまり交流無かったから、その!」


 「い、いや、良いんだ。僕あまり目立たない方だから‥‥‥」



 そう言う彼は何となく肩を落としていた。



 しまった、悪い事した!

 せめて名前くらい覚えるべきだった!!



 平謝りする私に彼は乾いた笑いをしながら手を振って先に歩き出す。

 何とか取繕う為に一緒になって歩きながらあれやこれやと話を始める私。



 「その、本っ当にごめんなさい! 悪気が有った訳じゃなくて、私クラスの男子の名前まだ全部覚えきっていないと言うか‥‥‥」


 「大丈夫だよ。僕の方こそ声かけて悪かったね」



 とぼとぼと歩きながらそう言う彼。

 私は本気で焦った。



 「いやその、何時も読んでいたWeb小説が更新されていなくて私も動揺していたと言うか、何と言うか!」



 思わず関係の無い事まで口走ってしまう。

 しかし彼はその言葉を聞いて足を止める。



 「Web小説?」



 「そ、そう、それ! 毎日更新しているWeb小説がこの二日間更新されていなくてそれで動揺しちゃって!!」


 と、そこまで言ってはたと気付く。

 私は一体何を言っているのだ!?


 しかしそんな私に彼は何も言わず踵を返して歩き始める。


 

 しまった、変な女と思われた!



 「あ、あの‥‥‥」



 何か言おうとしてもこれ以上話題が出てこない。

 そんな彼の後姿を追う事も出来ずしばし呆然と私はしてしまうのだった。


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